マネージャーとは
マネージャーと聞くとどんな人を思い浮かべるでしょうか。
野球部のマネージャー、芸能人のマネージャー、ホテルの支配人、企業の管理職など色々なところでこの言葉は使われています。
ビジネスの場ではよく経営管理者と言われることがあります。
しかし、これもマネージャーの本質を表していません。
マネージャーとは肩書によって定義されるものでもありません。
企業においての一つの定義は「組織の成果に責任を持つ者」です。
自らの成果や数人の部下の成果に責任を持つものではありません。
組織全体の成果に責任を持って仕事に取り組む人です。
また現代組織は、高度に専門家され、その専門職につく人々の集まりです。
しかし、専門家のアウトプットは知識であり情報であるため、それ自体が単独で成果を生み出すことはありません。
専門家のアウトプットは他の人間に利用されて初めて成果と結びつきます。
そしてその専門家のアウトプットを組織全体に有効なものとして位置づける者がマネージャーです。
組織の目標を専門家に理解させ、逆に専門家のアウトプットをそれを利用する人間にわかりやすく翻訳することがマネージャーの仕事です。
言い換えると、専門家が自らのアウトプットを他の人間の仕事と統合するうえで、頼りにすべき者がマネージャーです。
よってマネージャーは肩書によって定義されるものではありません。
また、マネージャーが専門家よりも地位が上である必要はありません。
確かにマネージャーとはその仕事上多くの専門家を管理する必要はありますが、それはそのまま専門家の上司にならなければならないということではないのです。
軍では昔から地位と機能は切り離されています。
少佐と聞いただけではその人の仕事が大隊長なのか軍医なのかわかりません。
少佐というのは地位を表し、大隊長や軍医は機能を表します。
実施されているところは少ないですが、本当は企業も軍のように地位と機能は分けるべきなのです。
専門家は自分一人でも組織に対して多大な貢献ができる人がいます。
しかし、そういった人間が部下を管理できないからといって貢献に見合った地位を与えられないことは組織を弱体化しかねません。
報酬に関しても同じことが言えます。
プロ野球を見てみますと、監督よりも多くの報酬をもらっているスター選手が大勢います。
企業ではこういったことはほとんど見られませんが、しかし本来プロ野球チームの報酬体系の方が組織として健全な状態なのです。
企業でも、例えば平社員の花型セールスマンが多大な成果を上げている場合は、営業一課の課長よりも多くの報酬をもらっていても本来不自然ではないのです。
むしろ組織全体の成長を考えるなら、こういったことを例外としてはならないのです。
マネージャーも専門家も機能は異なっていても同じ組織に貢献するマネジメントの一員なのです。
ではマネージャーの役割とはどんなものなのでしょうか。
マネージャーの役割は大きく二つあります。
第一に、投下した資源の総和よりも大きなものを生み出す生産体を創造することです。
これは企業のあらゆる階層で行われています。
社長は企業全体に対して、営業部長は営業部全体に対して行っています。
企業はヒト、モノ、カネ、情報といった資源を投下して成果を生み出しますが、投下した資源と同等の価値しか生み出せなければ存続することができません。
よって、マネージャーは投下資源の倍、10倍、100倍となる成果を生み出すべく、効率的で効果的な生産体をつくらなければなりません。
これに基づき事業のマネジメント、人と仕事のマネジメント、社会的責任の遂行という三つを同時に行う必要があります。
第二に、あらゆる決定や行動において、現在必要とされているものと将来必要とされるものを調和させることです。
例えば、人事におけるマネージャーは新規採用に関して、今現在人手不足の部門の人員補充と、将来の新規事業を担う人材の確保という二つの必要をうまく調和させなければなりません。
予算上の都合でどちらかを犠牲にしなければならないのなら、その犠牲による損失を最小に抑えるよう計算しなければなりません。
もちろんマネージャーの仕事は多岐にわたりますが、大きな役割としてはこの二つが基本的なものとなります。
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