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分業を理解する

【分業とは】
今回は分業について説明していきます。

 

この文章を読むことによって、企業組織内で分業を行うことのメリットと分業が成立するための条件を理解することができます。

 

例えば、電化製品を製造・販売している会社を想像してみましょう。

 

社員全員が製品を製造しているわけはなく、また、家電量販店で販売をしているわけではありません。

 

製品の品質管理を行っている人や原価管理を専門とする人、製品の販売先の開拓を行っている営業担当者など、製品の製造・販売にかかわる仕事をしている人がいるだけでなく、社員の給与計算や外部への支払いを担当している人などもいて、最終的に会社としての利益獲得に貢献しています。

 

組織が協働システムであるため、それぞれのメンバーの役割が明確になっていることはとても重要なことです。

 

自分がその組織において何をすべきか、組織にどのように貢献すべきかを明らかにすることによって初めて協働が実効性のあるものになるのです。

 

そのため、どの職務を誰が担当するか、何人で担当するか、複数担当者がいる場合は最終責任者を誰が担当するかなどを決めることは、組織として協働するうえで重要な決定事項となります。

 

企業組織の規模が小さいときは、一人の人間が経理を担当しながら製造や営業を手伝うことも可能ですが、組織の規模が大きくなり多くの人が働くようになると、分業は必要不可欠なものになります。

 

組織において分業することのメリットには次の2点があります。

 

 

?効率性の向上

 

?専門性の向上

 

分業

 

それでは順に見ていきましょう。

 

 

?効率性の向上
まず、効率性の向上ですが、分業することによってある特定の業務を専門的に担当することにより、時間の経過とともに業務に習熟し、仕事の結果を早く出すことができるようになります。

 

例えば、ベテランの営業社員であれば、商談の場で顧客のニーズはどのようなものか、どのような条件を満たせば購入に至るかを熟知しているため、短時間のうちに結論を導き出すことができます。

 

 

?専門性の向上
時間の経過に伴って担当業務に関する知識が蓄積されるため、専門性が高まります。

 

担当業務を進めるうえで工夫したことが業務知識として蓄積されるだけでなく、問題発生時に誰に相談すべきかといった組織的ノウハウも身につけることができます。

 

それでは、組織において分業が成り立つためには、どのような基本条件が満たされる必要があるでしょうか。

 

分業が成立するための条件としては、次の2つとなります。

 

 

1.業務が手順通りに遂行されること

 

 

2.責任範囲や指揮命令系統を明らかにすること

 

分業

 

こちらも順番に見ていきましょう。

 

 

1.業務が手順通りに遂行されること
これは言い換えるならば「担当職務が合理的に遂行される」という期待が満たされることと言うことができます。

 

例えば、製造の現場であれば、部品の組み立てや検品の手順は定型化されており、定型化された手順に従って仕事を進めることが求められます。

 

手順通りに製造がなされないのであれば、求められる品質を満たすことができず、企業としての信頼を維持することができなくなります。

 

製造現場に限らず、それぞれの業務担当者が担当職務独自の論理に従って仕事を進めていくことが、事業を円滑に運営するうえで必要となります。

 

 

2.責任範囲や指揮命令系統を明らかにすること
組織の分業が進むと、職務間の関連性が希薄になり、時として利害が対立する可能性があります。

 

例えば、突然の顧客からのクレームに対応するために、大量に部品を交換しなければならなくなったようなケースを考えてみましょう。

 

販売担当者が経理担当者に対して、緊急の出金依頼を出したとしても、経理側の出金ルールに従って判断して、出金できないと断ることがあります。

 

販売担当者側は顧客中心の論理を優先し、経理担当者は経理の論理を優先することにより、うまく調整がつかないのです。

 

このような場合には、最終的には対立した両者の共通の上司が判断することにより解決することになります。

 

このように分業を前提に組織構造を検討する場合には、誰が何に対して責任を取るかという点(責任範囲)と、上司部下の関係(指揮命令系統)を明確にしておくことが重要です。

 

このように責任範囲と指揮命令系統が明確になっていれば、一見相容れない要望や指示を受けた際にも、適切な人物に相談して指示を仰ぐことによって、組織にとって望ましい行動をとることができるようになります。

 

組織では通常、指揮命令系統が公式に決められています。

 

そのため、担当職務で何か問題が発生した場合には、まずは直属の上司に相談し、それでも解決できない場合はさらにその上司へ相談するという形で問題の解決を図っていくこととなります。

 

このように、組織は分業を前提として、様々な専門性を持った担当者が集まって業務を進めています。

 

組織において分業が成立し機能するためには、各担当者が手順に従って業務を行うことや責任範囲・指揮命令系統の明確化が求められています。

 

このように分業して業務を行うことにより、企業組織は業務を効率的に進め、担当者は自らの専門性を高めているのです。


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