経営を学ぶ-経営学・MBA・起業・ネットビジネス・リアルビジネスなど

経営を学ぶ~経営学・MBA・起業~

組織文化を考える その3

【良き組織文化】
組織文化は、組織内の社会的メカニズムから発生したものですが、組織の経済活動に大きな影響を与えます。

 

中でも、実効性のある戦略を立案するためには「良き組織文化」を持つ必要があることを理解しておかなければなりません。

 

それでは、「良き組織文化」とはどのようなものでしょうか。

 

本来、文化については良い悪いという視点はなく、どちらがよいかは個人の好みの問題であるということができます。

 

ただし、両者に違いがあることは認める必要があります。

 

ここで使用している「良き」という言葉には、第一義的に経済的意味で効用があるということを表しています。

 

組織の活動は、社会的メカニズムに従うだけではなく、経済的メカニズムにも従っています。

 

そのため、「良き組織文化」とは、まずは経済的価値をもたらす文化ということができます。

 

組織文化が組織活動を通じてもたらす経済的価値は大きく2つに分けられます。

 

一つは、組織内部の人にもたらす価値と、もう一つは組織外部の人に提供する価値です。

 

組織内部の人にもたらす価値とは、端的には給与・賃金であり、その前提となる雇用を指します。

 

給与をはじめとする処遇内容に満足すれば、メンバーは仕事に時間とエネルギーを注ぎ、目標を達成できるように努力するようになります。

 

組織外部の人に提供する価値とは、製品やサービスになります。

 

消費者やユーザは製品やサービスに満足して初めて、対価を組織に支払います。

 

消費者やユーザが満足するような製品やサービスを提供できるかは、組織文化に負うところが大きいのです。

 

たとえ、組織内部のメンバーに対して経済的価値を提供することができていたとしても、優れた戦略を実行して顧客が満足するような製品・サービスを提供することができないのであれば、組織内部で分配するような経済的資源を獲得することはできないのです。

 

それでは、どのような文化が経済的価値をもたらす「良き組織文化」と言えるのでしょうか。

 

良き組織文化の特徴としては、以下のような3点が考えられます。

 

 

?多様性を奨励する

 

?変化を作る

 

?社員を大切にする

 

組織文化

 

では、こちらも順に見ていきましょう。

 

 

?多様性を奨励する
この数年、日本でも「多様性」「ダイバーシティ」という言葉が盛んに使われるようになりました。

 

組織においては、多様性を認めるということは組織としての統制を失うというリスクがあります。

 

しかし、カリスマ指導者の指揮下にある組織は、時に機能マヒを起こすことがあります。

 

組織メンバーが、指示待ちの受け身の状態となり、自ら考え行動することができなくなってしまうのです。

 

顧客との直接的なやり取りや、生産現場で生産性向上のための工夫などに取り組んでいる現場のメンバーが問題を発見し、その解決策を考える必要があります。

 

変化する環境の最前線に立つ社員が自ら考え行動するという意味での多様性を保証し、奨励することによって、環境の変化に対して適切・迅速に対応できるようになります。

 

また、特定の問題の解決を図る際にも、多様な視点を導入することによって解決速度を速めることができます。

 

そのため、問題が発生しそれに対応するという場面以外にも、会議の席上で広く多様な意見が交わされることは望ましい状態と言えるでしょう。

 

 

?変化を作る
外部環境が変化した後でその変化に対応しようとするのでは、後手に回った解決策しかとることはできません。

 

そもそも、企業組織を取り巻く環境は常に変化し続けているので、そのことを念頭に置いて行動する必要があります。

 

むしろ、自らが進んで変化を起こすことが重要なのです。

 

変化は会社組織にとってプラスとなるだけではなく、個人の成長にとっても大きなプラスとなります。

 

過去の成功体験に甘んじることなく、常に挑戦し続けていくことは組織の活性化にもつながっています。

 

 

?の社員を大切にする
多様性や変化を起こしていくのは、組織メンバーである人間です。

 

人間を大切にしない組織は将来生き残れるかどうかが危ぶまれます。

 

メンバーが生き生きとして働くことができるからこそ、多様性が生まれ新しい変化が生み出されるのです。

 

組織メンバーはビジネスのための道具などではなく、ビジネスの果実をもたらしているのはすべてメンバーの営みによるものであると認識しておく必要があります。

 

 

以上のように、良き組織文化とは経済的な成果から判断できますが、経済的な成果だけで文化を考えると矛盾にぶつかることがあります。

 

「会社のためにはできることは何でもする」という組織文化があったとします。

 

そのような組織文化は組織メンバーのコミットメントの高さを示しており、そのような組織は凝集性の高い組織であるということができます。

 

凝集性の高さは、企業がある方向へ進もうとする際に大きな力となりますが、進む方向が間違っていた時には、好ましくない結果をもたらすこととなります。

 

以上から、組織文化にもう一つ、「組織は良き市民として行動しなければならない」という視点を加える必要があります。

 

これは、組織全体だけでなく、その組織のメンバーひとりひとりについてもあてはまることなのです。

 

 

次のページ 「組織文化を考える その4」

 

前のページ 「組織文化を考える その2」


HOME
HOME メルマガ登録 プロフィール お問い合わせ