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組織文化を考える その1

【組織文化とは】
今回は組織文化について解説していきます。

 

今回の文章を読むことによって、組織文化とは何かについて学び、企業組織の経営に対してどのような影響を及ぼしているかを理解します。

 

そして、最後に組織文化の事例としてトヨタ自動車のケースを取り上げます。

 

まず、組織文化とは何かについて考えていくことにしましょう。

 

組織文化とは、「組織構成員の間で共有されている信念や価値観」と定義されます。

 

人が集まっても、バラバラに行動していたのでは組織と呼ぶことはできません。

 

明示的あるいは暗示的な行動のルールに従い、一定の目的に向かって意識を合わせて行動することによって、人の集まりは組織として機能するようになります。

 

そのような行動ルールの中でも、特に何について価値を見出すかという価値観が共有されている場合、それは組織文化と呼ぶことができます。

 

組織文化が明示的に表現されることはありませんが、その組織のメンバーであれば時間の経過に合わせて受け入れるようになり、自覚することなく組織文化の中で行動するようになります。

 

組織文化の持つ影響力はとても大きなものであり、カリスマ経営者の能力を超え、時間とともに強化されていきます。

 

そして、組織文化によって、組織メンバーが価値をいかに見出すかやいかに価値を創造するかが規定されていきます。

 

それでは、組織文化は企業組織の経営に対してどのような機能を持つのでしょうか。

 

組織文化の機能について、次の3つの視点から考察してみましょう。

 

 

?実務面の効果

 

?心理的な拠り所としての効果

 

?マイナスの効果

 

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

 

?実務面の効果
組織文化の実務面の効果としては、次の3点が挙げられます。

 

 

a.意思決定や行動の迅速化

 

b.凝集性の向上と自由の付与

 

c.知恵の結晶

 

組織文化

 

それでは順番に見ていきましょう。

 

 

a.意思決定や行動の迅速化
組織文化があることによって、ある事柄をどのように解釈すべきかという判断基準を組織メンバーは持つことができます。

 

つまり、判断に迷った時に組織文化によって示された判断基準に従うことによって、メンバーは問題解決ができます。

 

価値判断の基準が組織内で合意され、共有されているので、ある程度手順を踏めば意思決定を行うことができ、様々な案件を扱う上で効率がよくなります。

 

もちろん、組織文化に従えば自動的に問題を処理できるというわけではなく、あくまでも価値判断のときの拠り所になるということです。

 

判断の拠り所があるということは、ルーチンワーク的な仕事をこなす時よりも、不測の事態や難しい判断を伴うような場面でより強みが発揮されます。

 

例えば、リッツカールトンではクレドと呼ばれるカードに企業としての価値観をまとめて、従業員一人一人に配っています。

 

従業員は、常にクレドに記載された価値観を判断基準として行動することによって、顧客に対して上質のサービスを提供することができているのです。

 

 

b.凝集性の向上と自由の付与
企業組織は、組織文化に基づいて行動することによって、組織一丸となって意思決定を行い、行動することができます。

 

つまり、組織文化に反する、価値観に合わない意見は取り上げられることがなくなり、組織としての求心性を維持しやすくなります。

 

そして、組織文化に従って行動している限りは、行動の自由度も高まります。

 

組織文化に従った行動であれば、細かいルールによって行動を制限する必要はないからです。

 

その分だけ、組織メンバーの裁量の余地は広まり、弾力的に行動できるのです。

 

将来のことを100パーセント完璧に予測することは不可能であり、事前に完璧な対策を準備することはできませんが、組織のメンバーが一定の価値観に従って行動できる規律を持つことが重要と言えるでしょう。

 

 

c.知恵の結晶
組織文化は、長期間にわたって組織メンバーの行動基準となっており、メンバー個人の能力以上の確かさを持っているということができます。

 

つまり、組織文化とはその組織で働いてきた人たちの知恵の結晶であるということができます。

 

このような知恵は、数多くの人々の経験に基づいたものであり、長い時間をかけて洗練されてきたものです。

 

組織文化に従って考えることは、多くの人の経験に裏付けられた確かさを持って考えることということができるのです。

 

 

組織文化の実務面での効果は以上のようなものがあります。

 

組織メンバーが組織文化に従った行動をとることによって、結果としてその組織の持つ外部環境への適応力が高まっていくことになります。

 

 

?心理的な拠り所としての効果
それでは次に、心理的拠り所としての組織文化について考えていきましょう。

 

企業の業績が向上し、企業市民として尊敬されるような文化を持つ組織に所属しているということは、そのこと自体が誇りとなります。

 

そしてメンバーは、優れた組織のメンバーであること自体を誇りに感じるとともに、自分自身も優れた人材であるという感情を抱くようになります。

 

このような感情は、メンバーのモチベーションを高め、積極的に仕事に取り組む態度を形成するのに役立ちます。

 

一般に、自己に対する肯定的な感情は積極的な行動の要因となります。

 

そして、その行動の結果が好ましいものであれば、さらに行動は強化されるようになります。

 

仕事を通じて一度自信を持つと、次の仕事もできるように思えるようになります。

 

このようにして、組織文化は組織メンバーの心理的な拠り所として機能を果たしているのです。

 

 

?マイナスの効果
一方で組織文化には、企業組織にとってプラスの効果を持つ機能だけではなく、マイナスの側面もあります。

 

悪しき組織文化がいったん根づいてしまうと、組織自体の存続も危うくなってしまいます。

 

悪しき文化によって内部が乱れ、誰もが自分勝手に行動するようになってしまうことがあります。

 

また、顧客に目を向けることや顧客の要望に応えることよりも組織内で生き残っていくことを優先し、社内政治に走ってしまうようなケースもあります。

 

このような状況が外部へ伝わってしまうと、企業のイメージは低下してしまい、結果としてその企業の製品やサービスが市場からの支持を失ってしまうことになります。

 

組織文化とは、プラスの面でもマイナスの面でも、そのように大きな影響力を持っているのです。

 

 

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