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人的資源管理の変遷

【人的資源管理の変遷】
今回は、人的資源管理の変遷について説明していきます。

 

今回の文章を読むことによって、「人事管理」と「人的資源管理」の違いを学び、人事管理から人的資源管理へどのように変化していったのかを学ぶことができます。

 

それではまず、人事管理と人的資源管理の違いから説明していきます。

 

「人」を単なる労働力としてのみ捉えていたのは、そんなに昔のことではなく、人的資源管理の考え方が発生してきたのは1980年ごろと言われています。

 

人的資源管理は、アメリカにおいて製造業の競争力が低迷する中で、「経営における人的資源管理を有効活用することによって競争力を回復させる」という考えの下、従来の人事管理から一歩進めた考え方として誕生したと言われています。

 

それでは、従来の人事管理にはどのような特徴があったのでしょうか。

 

人事管理は、労働者の管理のために、採用管理から賃金管理や業績評価システム等、人事に関連する各制度を集めた、個々に独立した機能として認識されていました。

 

経営戦略との関わりについては特に意識されずに、個別の機能として管理されてきました。

 

人事管理の主な特徴は、以下の5点となります。

 

 

?短期的視点(志向)
?人事管理の機能面を重視
?従業員を労働力としてとらえる
?戦略との連動性が乏しい
?内部志向的(目標達成型)

 

 

それに対して、人的資源管理では従業員を重要な経営資源の一つとして捉えます。

 

人的資源管理とは、企業の経営戦略や組織文化との結びつきを常に意識しながら実行していく必要があり、採用や評価など、単に機能を集めてそれぞれを個別に管理することではないと考えます。

 

人的資源管理の主な特徴は、以下の5点となります。

 

 

?長期的視点(志向)
?人事管理の戦略性を重視
?従業員を全人格的に尊重
?戦略との連動性が高い
?外部志向的(目標探索型)

 

 

以上のように、人的資源管理では人事や労務を包括しながらも企業の経営戦略に直結しているところに、従来の人事管理との違いがあります。

 

人事部は、企業の経営戦略を担う部署として存在し、それらの意思決定に主導的にかかわる各スタッフやマネージャーが存在しているという考え方です。

人的資源管理の変遷

この人事管理から人的資源管理への変化の中で、一番大きな変化は人の捉え方です。

 

従来の人事管理において、人は労務管理の対象として、「コスト」として捉えられてきました。

 

それが人的資源管理においては、戦略的な「資源」として捉えられるようになったのです。

 

人的資源管理において、人事は企業の業績を回復するうえで重要な手段の一つとして、「戦略的な存在」として認識されるようになっています。

 

このような変化は、海外の経営学の教科書の内容にも色濃く反映されています。

 

人事管理から人的資源管理へ変化した後では、「調達」や「労使関係」に関する内容が減っていたのに対して、働く「目的」に関する内容が増えているのです。

 

目的の中でも、特に「方針」や「戦略」に関する記述が増えているようです。

 

これは、人事に関する諸施策と経営戦略の結びつきが強くなったためということができます。

 

また、このような人的資源管理の考え方は、従来の日本型の経営では昔から重視されてきたことでした。

 

しかし、日本企業の人事部においては、人事管理と経営戦略との結びつきを考える戦略的思考が苦手だったようです。

 

日本では、人的資源開発(HRD)という考え方はありましたが、学問として体系化はされてきませんでした。

 

人的資源管理の元になる考え方は日本企業にもあったのですが、欧米の企業が日本的経営の考え方を取り入れていく中で、人的資源開発の考え方を取り込み、現在のような人的資源管理の考え方へ発展させてきたということができるでしょう。


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