ストーリーを作る
今回はプレゼンテーションにおける「ストーリー」について説明していきます。
この文章を読むことで、「聴き手がワクワクするプレゼンの作り方」を学ぶことができます。
ストーリーを作る
プレゼン上級者(スティーブ・ジョブズやTEDのプレゼンターなど)は、聴き手がワクワクする、驚くようなプレゼンをします。
では、そのようなワクワクや驚きのプレゼンを作るにはどうしたらよいでしょうか?
結論から言うと「ストーリーを語ること」です。
ストーリーを語ることによって、聴き手は淡々と内容を話されるよりも、「共感し、ワクワクし、驚きを覚える」のです。
もしかすると、上級者のプレゼンを見たことのある人であれば、「ストーリーを語るのはなんとなく重要そうだな」とは感じているかもしれません。
しかし、実際に自分がプレゼンを作る場面になると、それを忘れてしまいがちです。
それは、プレゼンの準備に取り掛かるときに、「プレゼン用ソフト(パワーポイントなど)でいきなり作成してしまうから」です。
プレゼン用ソフトでは、箇条書きにするテンプレートが入っていることも多いです。初めてのときやゼロから作成する場合には便利ですが、箇条書きですべてを伝えようとすると前後の文脈が分断され、ストーリーとして伝えることが難しくなります。
プレゼンでプレゼンソフトを「使うな」という意味ではありません。初心者はまずプレゼンソフトでの箇条書きなど、基本的なことを覚えなければなりません。
しかし、上級者はプレゼン用ソフトで作る前に、徹底的にストーリーを考える必要があるということです。プレゼン用ソフトを使うのはストーリーが完全に出来てから、ストーリーを伝えやすくする手段として使うのです。
これにより、初心者の域から徐々に上級者のプレゼンになっていくのです。
また、「ストーリーを語る」というと、「自分には話せるような経験がないので、ワクワクする話や驚きのストーリーを語れない」と言う方もいるかもしれません。
しかし、自分の今までの人生を棚卸ししてみれば、「全く何もストーリー(経験など)がない」ということはありません。
例えば、受験や部活、恋愛、仕事で上手くいったこともあれば、逆にそれらで失敗したこともあると思いますし、悩んだり行き詰ったりしたこともあるはずです。
そして、そういうときに誰かの助けやアドバイスを受けるなど、何らかのキッカケがあって乗り越えてきたはずです。
そういった自らの経験をストーリーにしていけば、聴き手がキッカケや共感を得られるようなプレゼンになっていきます。
<事例>
塗料メーカーのNさんは営業担当になって2年目です。1年目は先輩のプレゼンを見ながら自分でもプレゼンの練習をしてきました。そして、最近では自分一人でプレゼンをする機会も増えてきました。
先輩とNさんは別の商品をプレゼンする訳ではないので、伝える内容自体に大きな差はありません。しかし、先輩のプレゼンは聴き手を飽きさせないのに対し、Nさんのプレゼンでは明らかに聴き手がつまらなそうにしている場面があります。
そこで、先輩に「何が違うのか?」を聴いてみました。すると、Nさんのプレゼンを見た先輩は、「プレゼンの作り方」について教えてくれました。
Nさんのプレゼンは資料を作ってあるものの、その資料をただ読んでいるだけになっていたのです。これでは先方に資料を渡せば済む話で、Nさんがプレゼンをする必要はない状態でした。
そこで、先輩は「最初に何を伝えたいのかを考え、それを伝わりやすいストーリーに置き換えることが重要だ」と言いました。
さらに、「その後で、ストーリーを伝えやすくするための資料作りをする流れが大事だ」と教えてくれました。
確かに、先輩のプレゼンでは冒頭からストーリー性のある話で聴き手を引き込んでいました。一方、Nさんのプレゼンでは、最初から商品説明や他社と比較しての優位性など、「営業」の部分が前面に出たつまらないプレゼンになっていました。
今回の件でNさんは、ストーリーの大切さを初めて痛感したと同時に、今後は「ただ資料を読むだけ」ではなく、「ストーリーを持ったプレゼン」を行うようにしようと心に決めたのでした。
まとめ
・聴き手がワクワクしたり、驚いたりするプレゼンを作るには「ストーリーを語る」ことが重要である。
・プレゼンの準備に取り掛かるとき、プレゼン用ソフト(パワーポイントなど)でいきなり作成してしまうと弊害がある。何故なら、箇条書きですべてを伝えようとしてしまうことにより、前後の文脈が分断され、ストーリーとして伝えることが難しくなるからである。
・「自分には大して経験がないのでワクワクするストーリーを語れない」と言う人がいるが、自分の今までの人生を棚卸ししてみれば、全く何もストーリー(経験など)がないということはない。自らの経験をストーリーにしていけば、聴き手がキッカケや共感を得られるようなプレゼンになっていく。
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