台本は使わない
今回は、プレゼンテーションにおける台本について説明していきます。
この文章を読むことで、「棒読みではないプレゼンを行うために、台本をどのように扱うか」について学ぶことができます。
台本の扱い方
プレゼンに慣れないうちは、どうしても手元に台本を持ち、それを見ながらの棒読みのプレゼンになりがちです。
少し慣れてくると、台本を片手に話すのではなく、スライドに文字を映し出し、それを読むというプレゼンをする人もいます。しかし、これも棒読みであることに変わりありません。
スティーブ・ジョブズのプレゼンを聴いていると、「友達と話すような感覚」で話しているように聞こえます。以前も書いたように、「友達と話しているような感覚」になるように、準備と練習をしているのです。
では、なぜ「友達と話しているような感覚」になるようなプレゼンをするのかというと、「聴き手にとって一番聴きやすいから」です。
「ジョブズは上級者だからそのような話し方ができるけれど、自分は上級者ではないからそこまでしなくても良いかな」と思うかもしれません。
しかし、聴き手にとってはプレゼンターが上級者かどうかなどは気にしていません。プレゼンの内容が自分自身にとって役立つかどうかだけです。
プレゼンの内容をより確実に伝えるには、相手にストレスなく、そして聴きやすいプレゼンを行う必要があります。
だからこそ、ジョブズなどの上級者のプレゼンを習って、「友達と話しているような感覚」になるレベルのプレゼンを身につける必要があります。
では、どのようにすれば「棒読みではないプレゼン」が出来るのでしょうか?
それには2つの要素があります。
1つは「スライド作りの段階で文字数を減らすこと」、2つ目は「練習をすること」です。
もう少し具体的にいうと、以下の4つのステップになります。
?今まで通り、自分の話す言葉をそのままスライドに反映させて練習する
?練習の中で一枚のスライドのエッセンス(要点)をまとめる
?そのエッセンスを一つの言葉にする
?シンプルになったスライドを使用して、「友達と話しているような感覚」になるくらいまで話せるように練習を繰り返す
このように、最初の段階では台本を作って練習を始めるのですが、最終的には台本を使わなくても良いレベルまで練習をすることが必要です。
<事例>
Iさんは新入社員研修でプレゼンの練習を行っています。練習内容は「コピー機の営業担当」になったつもりでプレゼンをする、というものでした。
初めは、どうしても台本をそのままスライドの文字してしまい、棒読みになってしまっていました。
しかし、4つのステップで徐々にスライドの文字を減らし、話し方もスムーズになるように練習して行ったのです。
ステップ?では、「このコピー機は1ヶ月前に発売開始されたばかりの最新式のコピー機です。〇〇という最新技術を導入したコピー機となっております。この最新技術により、今までは消費電力量が1,000Wだったものが、その半分の500Wとなり、電気代が約半分となります。経費削減をお考えの御社にとって非常にお得なります。」と台本をそのままスライドに書き、それを練習していきました。
ステップ?では、上記の文章のエッセンス(要点)を選び、スライドの文字もそれだけにしました。
「〇〇という最新技術を使ったコピー機が新発売」「消費電力が1000Wだったものが半分の500Wになりました」「経費削減につながります」という3点に絞ってスライドに書くことにしました。
?で練習をしているので、一字一句台本の文章がなくても、この箇条書きで十分に話をすることができたのです。
ステップ?で、さらにスライドの中で最重要点だけを書くようにしました。
「1000W⇒500W!これで経費削減へ」という言葉だけです。
ステップ?、その最重要点だけに絞ったスライドを使いながら、さらに練習を積み重ねて伝わりやすいプレゼンにしていったのです。
<解説>
棒読みにならないプレゼンをするためには、スライドの文字を極力減らすことです。
しかし、初めから文字を減らし過ぎると覚えることに意識が向いてしまい、なかなか棒読みから脱出できません。
そこで、上記のように4つのステップにして、徐々にスライドの文字を減らしながら練習を繰り返していけば、スライドの質も上がり、話し方も徐々に上達していくのです。
まとめ
・初心者は、台本やスライドの棒読みプレゼンになりがち。上級者は台本を読んでいないだけでなく、「友達と話しているような感覚」になるようなプレゼンをしている。
・棒読みではないプレゼンをするには、「スライド作りの段階で文字数を減らすこと」と「練習を繰り返すこと」がポイント。
・具体的には4つのステップを踏むと良いプレゼンになりやすい。
?今まで通り、自分の話す言葉をそのままスライドに反映させて練習する
?練習の中で一枚のスライドのエッセンス(要点)をまとめる
?そのエッセンス(要点)を一つの言葉にする
?シンプルになったスライドを使用して「友達と話しているような感覚」になるまで話せるように練習を繰り返す
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