上級者のプレゼン
今回は上級者のプレゼンについて説明していきます。
この文章を読むことで、「感動的なプレゼンを生み出すために意識するべきこと」について学ぶことができます。
上級者のプレゼン
前回までプレゼンの基本的な部分をお伝えしてきました。基本的な部分をしっかりとプレゼンに生かしていくことによって、より良いプレゼンになっていきます。
ですが、プレゼンの基本的な事が分かっていたとしても、それだけで感動するプレゼンのレベルにはなりません。
このように言うと、「とりあえず大きなミスのないプレゼンが出来れば良い。感動するプレゼンのレベルまで求めていない。」と思うかもしれません。
しかし、ここで考えていただきたいのは「相手(プレゼンの聴き手)」の事です。聴き手は貴重な時間を割いて、あなたのプレゼンを聴いています。
さらに、聴き手は感動的なプレゼンに慣れてきています。現在ではYoutubeなどの動画サイトで、アップル社の元CEOのスティーブ・ジョブズのプレゼンや、世界的に有名なプレゼンターの動画が配信されているTEDなどで、感動的なプレゼンを見る機会が増えているからです。
つまり、「プレゼンをする人(プレゼンター)」という意味では、聴き手にあなたのプレゼンと有名なプレゼンターのそれとを比べられてしまうということです。
もちろん、世界的に有名なプレゼンターに急にはなれません。しかし、「ミスさえなければ良いというレベルで満足しているプレゼン」と、「感動するレベルに近づこうというプレゼン」では、大きな差が出てきます。
よって、聴き手を感動させるほどのプレゼンを目指すべきなのです。
ここで考えるのは、「ジョブズのような感動的なプレゼンは、彼にカリスマ性があったから出来ただけで、私にはとても無理では?」ということです。
確かに、世界的なプレゼンターはカリスマ性があるから聴き手もしっかり聴くという傾向はあります。しかし、世界的なプレゼンターもカリスマ性だけでプレゼンをしているわけではありません。
カリスマ性のあるプレゼンターでも、人を引き付ける一定のポイントを押さえてプレゼンをしています。つまり、その一定のポイントを押さえておけば、人を引き付けるプレゼンに近づくことはできるのです。
このポイントは、「短いキャッチフレーズを作る」「適役を登場させる」「ストーリーを語る」などたくさんありますが、次回以降で詳しく説明していきます。
<事例>
税理士のAさんは、税法改正がある度に企業の経理担当者向けのセミナーに講師として講演依頼を受けます。
Aさんの方から何か売り込むものではなく、純粋に税法改正の内容を聴きたい受講者が来るので、プレゼンをしているという意識はあまりなく、今までは淡々とセミナーをこなしているだけでした。
よってAさんは、セミナーで寝ている受講者や話に飽きてしまっている人がいても、「最近の受講生は集中力がない人が多いな」と思うくらいで、特に何も感じていませんでした。
しかし、ある日Bさんという別の税理士のセミナーを聴く機会がありました。Bさんは最近税理士として独立したばかりでしたが、多くの顧問先を抱えていました。
独立してすぐに多くの顧問先を獲得した理由の一つに、「セミナーが面白いから」という噂がありました。そこで、Bさんのセミナーに参加させてもらうことにしたのです。
Bさんのセミナーは、「単に税法改正の内容を伝える」というレベルではなく、「興味のある話を聴いているうちに、税法改正の内容が自然に理解できる」という流れになっていました。
つまり、急に難しい法律の話をするのではなく、まずは例え話など聴き手の興味のある話をすることによって、受講者を「聴く態勢」にします。そして、徐々に法律の話を絡めていくという流れになっていたのです。
Bさんのセミナーを受けたAさんは、「必要最低限のことを伝えれば良い」というレベルでは、その「必要最低限のことすら伝わらない」ということに気がつきました。
Bさんのように、受講生の立場に立ってセミナーを作ることによって、初めて「必要なことが伝わるセミナーになる」のだと分かったのです。
まとめ
・プレゼンの基本的な事が分かっていたとしても、それだけで感動するプレゼンのレベルにはならない。
・Youtubeなどの動画サイトで気軽に世界的なプレゼンターの動画が見られる現在では、自分自身もそれらのプレゼンターと比べられる対象になりうるということを自覚すべき。
・世界的に有名なプレゼンターに急にはなれないが、「ミスさえなければ良いというレベルで満足しているプレゼン」と、「感動するレベルのプレゼンに近づこうというプレゼン」では大きな差が出る。
・カリスマ性のあるプレゼンターでも、人を引き付ける一定のポイントを押さえてプレゼンをしている。つまり、その一定のポイントを押さえておけば、人を引き付けるプレゼンに近づくことはできる。
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