効果的なオープニング
今回は、プレゼンテーションの効果的なオープニングについて説明していきます。
この文章を読むことで、「どのようなオープニングをすれば聴き手が興味を持って話を聞く姿勢になるか」について学ぶことができます。
プレゼンテーションのオープニング
プレゼンの基本的な全体構成は、「オープニング⇒メインパート⇒まとめ」です。メインパートで「本当に伝えたいこと」を話すことになります。
しかし、オープニングで聴き手に興味を持ってもらえなければ、メインパートを集中して聴いてもらえません。聴き手がオープニングで集中している時間は、最初の1分もないと言われています。
つまり、オープニングで聴き手の心を掴めないと、メインパートも集中して聴いてもらうことが難しく、「プレゼン自体が失敗に終わってしまう」か、失敗までいかなくても「メインパートで挽回をするのがかなり大変になる」ということなのです。
では、効果的なオープニングとはどのようなものなのでしょうか?
聴き手に興味を持ってもらうためには、「聴き手の感情を動かすこと」がポイントとなります。
感情を動かすには、次の3つの方法が効果的です。
1.疑問を提示する
2.非常識を提示する
3.体験談を語る
それぞれ見ていきましょう。
1.疑問を提示する
冒頭で「なぜ〜なのでしょうか?」というような疑問を提示すると、その答えが「気になり」「見つけよう」として、プレゼンへの興味が湧くことになります。
しかし、疑問形であれば何でもよいわけではありません。
プレゼンのテーマと全く関係のない疑問では、聴き手の興味を引くことができないからです。
2.非常識を提示する
「聴き手が常識だと思っていること」を覆すようなショッキングな事実(非常識)を提示すると、興味を持つことになります。
例えば、ある業界で「処理速度の限界で、1分あたり10個しか生産できない」という常識があるとします。
このときに、冒頭で「今日は1分あたり30個生産できる技術をお伝えにきました」と言えば、その業界の常識が強ければ強いほど、高い興味を持ってプレゼンを聴いてもらえることなります。
また、常識とは反対のことを主張するのも効果的です。
例えば、健康食品のプレゼンで、一般的に健康に悪いと考えられている食品Aがあった場合に、「Aを食べることは健康に良い」と主張したりすると、聴き手の興味をひくことができます。
ただし、当然しっかりとした根拠があることが前提ではあります。
3.体験を語る
聴き手は、論理的な話よりも体験談のような個人的な話に興味も持ちやすいものです。
そこで、自身の体験談を冒頭に語るのも効果的でしょう。その際、なるべく興味を高めるために話を具体的にしていきます。
具体的とは、体験している時の状況を聴き手も想像できるようにしていくことです。
誰かの言葉や体験を話すのではなく、自分自身の体験を話します。その時の想いや、その場で話した会話などを臨場感あふれるように話していくのです。
それによって聴き手の興味をひきつけることができ、スムーズにメインパートへ移ることができます。
これもまた、ただ単に体験談であればよいのではなく、プレゼンのテーマに即している体験であることは必須です。
以上のように3つの方法から選択し、聴き手の興味を引き付けるオープニングを作成していきましょう。
<事例>
Lさんは「大学生の就職のためのキャリア講座」の講師をしています。普段の講義とは違い、就職活動のために開かれている講座ですので、学生もしっかりと話を聴く姿勢かと思っていました。
しかし、学生もまだ就職に対して現実味がなく、なんとなく聴きに来たという者も多かったのです。
そこで、Lさんは講座の冒頭部分にも力を入れることにしました。自分の学生時代の就活体験談を語って、なるべく学生たちに「就職活動をしていくというイメージ」が出来るようにしていったのです。
また、別日の講座では「なぜ就職活動をしなければならないのか?」という疑問に答えるスタイルで始めてみました。
そして、次の講座では「意外と知らないかもしれませんが、就職活動で成功した先輩の78%は〇〇をしていなかった」という先輩学生のデータから、「就職活動では常識と言われていることをしていなかった先輩たち」の就職率が高いことを伝えていったのです。
このように、冒頭で学生の興味を高めてメインパートに入ることによって、講座全体の質が上がっていったのです。
<解説>
プレゼンターも「プレゼンで伝えたいこと」をしっかりと考えてきていると思います。
しかし、プレゼンの冒頭で興味を持たれなかったら、その後の聴き手のメッセージの受け取り方が全く違ってくることを知らない人も多いようです。
Lさんのように、冒頭に話すことを意識してプレゼンを行うようにすれば、上級者のプレゼンに近づくことができるでしょう。
まとめ
・オープニングで聴き手に興味を持ってもらえなければ、メインパートを集中して聴いてもらえないため、冒頭で話す内容にも注力すべき。
・オープニングで聴き手の心を掴めないとプレゼン自体が失敗に終わるか、失敗までいかないまでもメインパートで挽回をすることが難しくなる
・聴き手の興味を高めるために、次の3つの方法を使って「感情を動かすこと」がポイントとなる。
1.疑問を提示する
2.非常識を提示する
3.体験談を語る
関連ページ
- プレゼンテーションとは
- ストーリーを作る
- プレゼンに対する3つの誤解
- プレゼンの際の注意点
- 目的に合った服装をする
- 身体を使ったコミュニケーション
- プレゼンの終わり方
- 大衆の敵を登場させる
- 失敗への対処法
- 他者の助けを借りる
- ヒーローを登場させる
- ユーモアを盛り込む
- インパクトのある表現を使う
- 紹介文を用意する
- 聴き手を導く①(何を伝えるか)
- 聴き手を理解する
- コアメッセージを伝える
- 数字を装飾する
- 効果的なオープニング
- 練習の重要性を認識する
- プレゼン準備の3ステップ
- スライド以外の演出方法
- 小道具を活用したデモンストレーション
- プレゼンの目的をおさえる
- 究極の目的意識を持つ
- リハーサルでのチェックポイント
- ロードマップと重要な数字「3」
- 台本は使わない
- 上級者のプレゼン
- シンプル・イズ・ベスト
- 状況に合わせた演出テクニック
- 上級者のスライド作り
- 「現状-問題提起-解決策」の構造
- 効果的な話し方
- 聴き手に驚きを与える
- 短いキャッチフレーズを作る
- 聴き手を導く②(どのように伝えるか)
- 構想は手書きで
- スライド作成ノウハウ