ロードマップと重要な数字「3」
プレゼンの冒頭部分は非常に重要です。
なぜなら、聴き手の集中力が一番高いのはプレゼンが始まってすぐ、つまり「冒頭部分」だからです。
ここで興味を引ければその後の話も聴いてくれますが、興味が引けなければ、集中して話を聴いてくれなくなってしまうのです。
冒頭部分での聴き手の心を掴む方法は様々ありますが、今回は「ロードマップを伝える方法」をお伝えします。
ロードマップとは、「このプレゼンを聴くとどんなメリットがあるのか、そのメリットを受けるにはどのくらいの時間がかかるのか」などの全体像を伝えることです。
効果的なロードマップの伝え方
例えば、「今日は1時間ほどで、あなたの収入が30%アップする話をします。そのポイントはたった3つです。その3つのポイントとは・・・」というように話を始められれば、「収入をアップしたい人」にとっては、この先が気になって集中して聴いてもらえるようになります。
つまり、冒頭で今日のプレゼンの「概要」「メリット」「時間」の3つを伝えることで、聴き手はプレゼンのロードマップ(全体像)を掴んで、「今日の話を聴くべきか、そうではないか」を判断できるようになります。
もちろん、しっかりと「メリット」が伝わるようなロードマップでないと、逆効果にもなりますので注意は必要です。
さらに、ロードマップをより良くするためのテクニックがあります。
それは、上記の例で言うと「3つのポイントがあります。その3つのポイントは・・・」というように、冒頭で「ポイントを3つに絞って伝える」ことです。
このように「3つのポイントを伝えます」と冒頭で言うと、聴き手は「ポイントは3つなのか。では1つ目は何だろう、2つ目は何だろう、3つ目は何だろう」とプレゼンを聴く気持ちになりやすいのです。
また、ポイントは「3つ」である方が良いのです。それは、多すぎると理解しづらくなりますし、消化不良を起こします。少なすぎても伝わりません。よって、「3つ」が一番適当なのです。
世界的なプレゼンターのプレゼンを見ていても、この「3つのポイント」を使っているケースは多くあります。例えば、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学で講演をしたプレゼンは有名ですが、その冒頭で「今日は3つの事をお話します」という話からスタートしています。
もちろん、この「3」を上手く活用すると、冒頭部分で興味を引くだけでなく、プレゼン自体もより伝わりやすくなります。
プレゼンを3部構成として全体像を考えると、伝わりやすいプレゼンになるのです。
例えば、?「現状」、?「問題点」、?「改善点」というような3部構成にすると、聴き手が理解しやすい構成になります。
このように冒頭部分や構成を考えるときに「3」という数字を意識すると、プレゼンをより良くすることが出来ます。
<事例>
Qさんはシステムエンジニア(以下SE)で、様々な会社のシステム開発をしています。新規のシステム開発を受注するときの営業活動は営業担当が行うのですが、最終決定を促すときの技術的なプレゼンは、Qさん自身も行うことになります。
そのときのプレゼンはどうしても難解な技術的な話になるので、聴き手の興味を引きにくく、Qさんはプレゼンで「あまり伝わっていないかもしれない」と感じていました。
そこで、Qさんは動画サイトで過去の有名なプレゼンターのプレゼンを見て勉強しました。その中で、有名なプレゼンターの多くは「冒頭部分でメリットを伝えていること」に気づいたのです。
Qさんは、それまで最初から最後まで技術的な話しかしていなかったのですが、その後のプレゼンでは冒頭で相手のメリットを伝えるようにしました。このような冒頭部分からスタートすることにしたのです。
「当社でのシステム開発のメリットは3つあります。それは、『業界でもトップクラスの技術力を持つこと』『競合他社より開発期間が1ヶ月短縮できること』『コストを10%カットできること』の3つです。では、本当にそうなのかを、30分ほどかけて技術的な部分を説明させていただきます。」と冒頭で伝えました。
これにより、冒頭で聴き手の興味を引くことが出来たので、その後の技術的な話も興味を持って聴いてもらうことが出来るようになったのです。
まとめ
・聴き手の集中力が一番高いのはプレゼンが始まってすぐのため、「冒頭部分」は重要である。ここで興味を引けなければ、その後集中して話を聴いてくれなくなってしまう。
・冒頭部分で聴き手の心を掴む方法の一つとして、「ロードマップを伝える方法」がある。
・ロードマップとは、「このプレゼンを聴くとどんなメリットがあるか」を伝えつつ、「そのメリットを受けるにはどのくらいの時間がかかるのか」を伝えることである。
・ロードマップをより良くするためには、ポイントを3つに絞って伝えることが効果的である。
関連ページ
- プレゼンテーションとは
- ストーリーを作る
- プレゼンに対する3つの誤解
- プレゼンの際の注意点
- 目的に合った服装をする
- 身体を使ったコミュニケーション
- プレゼンの終わり方
- 大衆の敵を登場させる
- 失敗への対処法
- 他者の助けを借りる
- ヒーローを登場させる
- ユーモアを盛り込む
- インパクトのある表現を使う
- 紹介文を用意する
- 聴き手を導く①(何を伝えるか)
- 聴き手を理解する
- コアメッセージを伝える
- 数字を装飾する
- 効果的なオープニング
- 練習の重要性を認識する
- プレゼン準備の3ステップ
- スライド以外の演出方法
- 小道具を活用したデモンストレーション
- プレゼンの目的をおさえる
- 究極の目的意識を持つ
- リハーサルでのチェックポイント
- ロードマップと重要な数字「3」
- 台本は使わない
- 上級者のプレゼン
- シンプル・イズ・ベスト
- 状況に合わせた演出テクニック
- 上級者のスライド作り
- 「現状-問題提起-解決策」の構造
- 効果的な話し方
- 聴き手に驚きを与える
- 短いキャッチフレーズを作る
- 聴き手を導く②(どのように伝えるか)
- 構想は手書きで
- スライド作成ノウハウ