リハーサルでのチェックポイント
今回はプレゼンテーションのリハーサルでのチェックポイントについて説明していきます。
この文章を読むことで、「どのような点に気をつけてプレゼンのリハーサルを行えばよいか」について学ぶことができます。
プレゼンテーションのリハーサルのチェックポイント
プレゼンの準備というと、「パワーポイントなどの資料の作成」の部分に目がいってしまいがちです。しかし、しっかりとリハーサルを行うことも大切です。
例えば、劇でもドラマでも、必ずリハーサルをしてから本番に入ります。リハーサルがないと本番で良い演技が出来ないからです。
もちろんプレゼンでも同様です。リハーサルを行うことで、本番でも良いプレゼンが出来るようになるのです。
では、リハーサルではどのような点に気を付けるべきなのでしょうか?チェックポイントとして、以下のようにまとめてみました。
1.「本番」を想定してリハーサルをする
2.聴き手からの「見栄え」を意識する
3.聴き手の「心を掴む」ことを意識する
4.自分に「自信」も持てる状態にする
5.「最後」まで手を抜かない
それでは、項目ごとに詳細を説明していきます。
1.本番を想定してリハーサルをする
「リハーサルはあくまで練習だ」という気分でやっていると、リハーサルの意味がありません。どんな状況で、どんな雰囲気で、どんな形でプレゼンをするのかを明確にするためにリハーサルを行います。
例えば、応接室で対面しながらのプレゼンなのか、十数名入るような会議室なのか、大きな講堂なのかでプレゼンの仕方も変わります。
出来れば先方から事前に当日の状況を聞くなどして、どのような場所でプレゼンするのかを知っておくべきです。
プロジェクターやマイクなどの機器の準備の中でも説明しましたが、各会場でそれらの使い勝手も違いますので、それも想定してリハーサルや準備が必要なのです。
もし当日の状況がわからない場合は、可能性の高い2〜3パターンを想定し、リハーサルを行うのが良いと思います。それも難しい場合は、最低でも想定される状況を頭の中でイメージしておくことが大切です。
2.聴き手からの「見栄え」を意識する
リハーサルをしておかないと、プレゼン当日、緊張のあまり手元の資料ばかりに目がいってしまったり、スクリーンの方を見過ぎて聴き手に背を向けて話してしまったりすることがあります。
また、プレゼンの中で不要な口癖が出たり、話のつなぎ部分がスムーズにできなかったりすることもあります。
これらは自分で気付かないことも多いので、リハーサルで他の人に「聴き手」の立場から見てもらい、意見をもらう事が良いのでしょう。
遠慮して意見が言えないようでは意味がないので、上司や同僚など、適切な意見が言える方に依頼するようにしましょう。
3.聴き手の「心を掴むこと」を意識する
プレゼンは、内容が良いものはもちろんの事、それを「伝えること」が大切になります。
例えば、内容は良くても、冒頭で聴き手の心を掴むような言葉(キャッチコピー)が弱ければ、その後の話を真剣に聴いてもらえないかもしれません。
また、プレゼンの中で「特にこれを伝えたい」という部分があるはずです。それをしっかりと伝わるようにしていくためにもリハーサルが必要になります。
強調したい部分で「声のトーンを変えてみたほうが良い」「スライドにインパクトが欲しい」など、リハーサルで分かることも多いからです。
4.自分に「自信」も持てる状態にする
自信のないプレゼンでは聴き手を納得させることはできません。
たとえ内容に自信があっても、人前で話すことに自信がなければ、聴き手には「自信がない」と思われてしまいかねないのです。
よって、自信を持って話すことが大切です。
しかし、緊張や練習不足では、いくら自信を持とうとしても持てません。
そこで、本番を意識したリハーサルをしっかり行うことによって、自信をもって話すことが出来るようになるのです。
5.「最後」まで手を抜かない
上述したように、プレゼンでは聴き手の心を掴むことが大切です。
しかし、それを意識しすぎてしまっては、プレゼンの冒頭部分にだけ力を入れてしまいがちになりますが、もちろんプレゼンの最後も大切です。
プレゼンの目的は「納得して行動してもらうこと」だからです。
例えば、「取引開始を目的とするプレゼン」で、聴き手にプレゼンが面白いと思われていても、最後に取引を開始してもらえるようにならなければ意味がありません。
よって、プレゼンの最後で「聴き手に行動を促すことが出来ているかどうか」をリハーサルでチェックするのです。
以上、リハーサルでのチェックポイントを説明してきました。できる限りしっかりとリハーサルを行うことによって、プレゼンの質も上がります。
しかし、急なプレゼンの場合、リハーサルの時間がそれほど取れないこともあります。
そのような場合は全体のリハーサルが出来なくとも、プレゼンの最初の部分や最後の部分、重要な部分だけはリハーサルをした方が良いです。時間がない場合でもできる限りのリハーサルを行えば、それだけ良いプレゼンになります。
プレゼンに臨む前にしっかりとリハーサルをして、本番でよいプレゼンが出来るようにしていくべきなのです。
<事例>
ホームページ作成業者のAさんは、Z社の総務担当に対し、ホームページ改良の提案を行っていました。そこで、「Z社の社長へのプレゼンをして欲しい」という依頼がありました。
Aさんは、「社長と担当者にだけ応接室のようなところでプレゼンをするのだろう」と勝手に思っていました。
しかし、当日Z社に訪問すると、20名は入る会議室に通されて、社長、各役員、総務部長、営業部長、その他各部の担当者など、総勢10数名がプレゼンを聴きに来たのです。
パワーポイントで資料は作成してあったものの、大きな会場でのプレゼンを想定していなかったので、文字が小さすぎて見えにくい状態でした。また、「社長と担当者だけならその場で対話しながら進めていけば大丈夫だ」と、リハーサルも何もしないで臨んでいたのです。
しかし、上記のように大人数に対しての一方的なプレゼンになったので、「資料も見にくく、聴き手の心を掴むような場面もなく、Aさん自身も自信がない状態で焦ってばかり」というような、「伝わらないプレゼン」になってしまったのです。
このように、Aさんは想定が甘く、リハーサルを怠ったためにプレゼンは失敗に終わりました。
Aさんはその後、この反省から本番当日のプレゼン内容の想定をしっかり行い、リハーサルも必ずするようになったのです。
まとめ
・リハーサルを行うことで本番でも良いプレゼンが出来るようになる。
・リハーサルでのチェックポイントは以下のとおり。
1.「本番」を想定してリハーサルをする
2.聴き手からの「見栄え」を意識する
3.聴き手の「心を掴むこと」を意識する
4.自分に「自信」も持てる状態にする
5.「最後」まで手を抜かない
・急なプレゼンでリハーサルの時間が多く取れない場合でも、重要な部分だけでもいいので、できる限りのリハーサルを行う。
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