シンプル・イズ・ベスト
今回はシンプルなプレゼンテーションについて説明していきます。
この文章を読むことで、「人に伝わりやすいシンプルなプレゼンテーションにするために大事なこと」について説明していきます。
シンプルなプレゼンテーション
プレゼンの初心者で失敗してしまいがちなのが、スライドを自分のカンニングペーパーにしてしまうことです。
例えば、話すことをすべてスライドの中に文章として盛り込んでしまい、プレゼン自体がただそれを読んでいるだけというものです。
これではスライドの意味がありませんし、聴き手の心に響くプレゼンにもなりません。
文章をそのままスライドにすることの一番のマイナス点は、「何を伝えたいのか?」がプレゼンターにも聴き手にも分からないという点です。
それを避けるためには「何を伝えたいのか?」を明確にし、それをシンプルに伝えることです。
人に伝えようとすると、「あれもこれも」と欲張ってしまいます。しかし、「あれもこれも」と情報が過多になると、逆に伝わりにくくなるのです。
シンプルにするには、聴き手が「聴きやすい」「理解しやすい」「行動しやすい」状態にまで情報をそぎ落としていく必要があります。
この部分について、スティーブ・ジョブズは非常に考えていた人です。
まず、プレゼンの前の段階で、アップルの製品自体がとてもシンプルです。製品自体をシンプルにし、どんな特徴があるかを明確に消費者に伝えたかったのでしょう。
だから、iPodやiPhoneなどを見ても、ゴテゴテした見た目ではなく、機能もシンプルです。
そして、iPodやiPhoneなどの新製品発表時のプレゼンを見ても、すごくシンプルにわかりやすくしています。動画などで見ていただければ分かりますが、ジョブズのプレゼンはスライドで書かれた文字数が少ないのです。
これは、「短いキャッチコピーを作る」のところでもお話ししましたが、プレゼン全体でも短いキャッチコピーの方が伝わるように、スライドの一枚一枚でも、短いシンプルな文章にした方が伝わりやすいのです。
もっとシンプルに伝えるために、文字ではなく画像で伝えたりもしています。
このように、無駄な情報を削ってシンプルにすることによって、より聴き手に伝わりやすくなるのです。
<事例>
Tさんは大学生で、ある企業へインターンシップに行きました。インターンシップ期間が終わりに近づいた時期に、最後の「インターンシップで学んだこと」というテーマで、役員会議でのスピーチをすることになりました。
Tさんは多くの人の前で話したことはほとんどありません。そこで、スピーチの原稿をそのままスライドにして、役員会議に臨もうとしたのです。
しかし、役員会議の前に、練習として先輩社員の前でスピーチをする機会がありました。
その中で、先輩社員から「話す内容をそのままスライドにしたら、スライドの意味がない」「今のままでは何が言いたいのかが伝わらない」「話す内容を要約してスライドにしてみたら」というアドバイスをもらいました。
そこで、Tさんは文章をそのまま書くのではなく、無駄な部分を削り、必要な部分だけ要約したものをスライドにしていくことにしました。
例えば、「私がインターシップで学んだことは、個人の能力の向上の必要性とチームワークです。」とそのまま話す内容をスライドにしていたのを、「個人能力」と「チームワーク」という文字だけにしたのです。
そのスライドを言葉で説明することで、プレゼンがシンプルで分かりやすいものになりました。
このように繰り返し練習したおかげで、本番では要約した部分を見るだけで十分に話したい内容をスピーチでき、聴き手からも分かりやすかったという評価を得ることが出来たのです。
<解説>
Tさんの場合は大学生と企業の関係ですので、もしそのままスピーチ(プレゼン)をしていたとしても、最後まで聴いてくれたと思います。
しかし、これが新製品のプレゼンや営業の場のプレゼンであれば、「聴き手は聴いてくれたけれど伝わりづらい」というレベルではなく、聴き手が途中で聴くのを止めてしまうかもしれません。
それほど、聴き手はわかりずらい話を聴いてくれないのです。
わかりやすく聴き手にしっかり聞いてもらうようにするためにも、シンプルにする必要があるということなのです。
まとめ
・プレゼンの初心者で失敗してしまいがちなのが、スライドを自分のカンニングペーパーにしてしまうこと。ただそれを読んでいるだけではスライドの意味もないし、聴き手の心に響くプレゼンにもならない。
・伝わるプレゼンは「何を伝えたいのか?」を明確にし、それをシンプルに伝えること。情報が過多になると逆に伝わりにくくなる。
・スライドの一枚一枚でも、短いシンプルな文章にした方が伝わりやすい。
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