小道具を活用したデモンストレーション
今回は、小道具を活用したデモンストレーションについて説明していきます。
この文章を読むことで、「プレゼンテーションでデモンストレーションを行う有用性」について学ぶことができます。
デモンストレーションの効果
プレゼンのときに、「小道具を使ったデモンストレーション(以下デモ)」を行うことで、聴き手の興味を引くことができます。
スティーブ・ジョブズも、プレゼンのときに小道具を使ってデモを行うことが多かったのです。iPhoneやiMacの発表の際、舞台上で実際に使ってみたり、観客に実物を渡したりしていました。
ジョブズのようなトークの上手い上級者でも、「言葉だけで伝わる範囲には限界がある」という意味に捉えることもできます。
つまり、小道具を使ってのデモは、プレゼンにおいて言葉以上に強い説得力があるのです。
小道具を使ったデモンストレーションの注意点
しかし、気を付けなければならないのは、「単に小道具を使ってデモをすれば良い」というものではないという点です。
例えば、プレゼン中デモの準備に手間取ってしまっては、聴き手の注意力を削ぐことになります。また、デモを行っても多くの事を詰め込みすぎてしまっては、注意力が散漫になってしまいます。
このように、小道具を使ってのデモで気を付けるべき点は以下のようなものがあります。
1.準備に手間取らない
2.短くシンプルにする
3.解決策の提案
1.準備に手間取らない
上記の例のように、デモの準備で手間取っていてはプレゼンの流れが寸断され、聴き手にはマイナス面として捉えられてしまいかねません。
プレゼン全体としてスムーズに進行できるように準備をしておきましょう。
2.短くシンプルにする
デモが聴き手にとってインパクトがある理由は、話だけでは伝わらない部分を実際に目にすることできるからです。
しかし、デモが長すぎるとそのインパクトが薄れます。
つまり、長々とデモをしてしまうと逆効果になってしまうことがあるのです。
例えば、パソコンのデモをする場合に、パソコンのすべての性能を話していたら、本当に伝えたい部分がぼやけてしまいます。
それを避けるためにも「本当に伝えたい部分」に絞り込んで、短くシンプルにデモをした方が良いのです。
3.解決策の提案
小道具を使ってデモをすれば、どんなものでも聴き手に興味を持ってもらえるわけではありません。
元々興味がないものであれば、いくらデモをしても聴き手に響きません。
つまり、デモは「聴き手が問題を解決する手段」を提案するために行うのです。
よって、デモをする場面で「聴き手が何を欲しているのか」を知っている必要があるのです。
これが分かっていれば解決策を提案できますし、前述した「余計なものを省いたシンプルなデモ」ができるようになるのです。
<事例>
Bさんは化粧品メーカーの営業担当です。多くの小売店が参加する展示会でプレゼンをすることになりました。
Bさんが扱っているのはハンドクリームで、「言葉だけで説明するより実際に見てもらうほうがよい」と考え、プレゼンの中でデモをすることにしました。
しかし、大きな会場の舞台の上でプレゼンをするので、手元が見えにくく反応は良くありませんでした。
そこで、途中で舞台を降りて参加者一人ひとりを回り、手元を見せて行ったのですが、時間がかかった上に全員に見せることもできませんでした。
しかも、その後のプレゼンで商品の特徴10個全てをアピールしてしまったので、聴き手からすると「何がこの商品の一番の特徴か?」が不明瞭になってしまったのです。
聴き手に伝わりやすいようにデモをしたのに、結果として伝わりにくいプレゼンになってしまいました。
<解説>
Bさんは「プレゼンにデモを取り入れよう」と考えたのはよかったのですが、会場の大きさまで想定していませんでした。
そのため、デモの部分で無駄に時間がかかってしまい、流れの悪いプレゼンとなってしまいました。
これは、細かい部分の準備を疎かにしてしまった結果です。会場の大きさを想定しておけば、手元をプロジェクターに映し出すなどの用意が出来たはずなのです。
また、デモをすると「あれもこれも」伝えたくなりますが、聴き手からすると自分のメリット(問題の解決策)を知りたいので、余計な情報が多いとポイントがあいまいになってしまいます。
そこで、シンプルに一番伝えたい内容に絞って伝えたほうが伝わりやすくなるのです。
まとめ
・プレゼンのときに、小道具を使ってデモンストレーションを行うことで聴き手の興味を引くことができる。
・小道具を使ってのデモには言葉以上の説得力がある。
・小道具を使ってのデモで気を付けるべき点は以下のようなものがある。
1.準備に手間取らない
2.短くシンプルにする
3.解決策を提案
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