失敗への対処法
今回は、プレゼンテーションの失敗について説明していきます。
この文章を読むことで、「失敗が起こったときにどのような対応を取るべきか」について学ぶことができます。
プレゼンテーションの失敗とは
プレゼンの準備や練習は、上級者ほどしっかりとやっています。一方で、それほどしっかりと準備・練習をしていても、失敗は起きてしまいます。
では、プレゼンの最中に失敗が起きたときは、どのように対応するべきなのでしょうか?
入念に準備と練習を積み重ねて本番に臨んでいるあのスティーブ・ジョブズのプレゼンでも、失敗は多々起きています。プロジェクターが動かなかったり、スライドが映らなかったりしているのです。
しかし、聴き手は「ああ、失敗だ」とはあまり思いません。なぜなら、それらのトラブルに対してもプレゼン自体を楽しんで、気にせず焦らず、そして面白おかしく対応しているからです。
聴き手は、内容を聴きたいだけでなく、プレゼン自体が楽しく聴けるかどうかという点も求めているのです。
よって、少々の失敗やトラブルだけでプレゼンの良し悪しを決めていません。逆に、少々の失敗やトラブルがあっても、全体として素晴らしいプレゼンであれば良いのです。
つまり、プレゼンでの本当の意味での失敗は、トラブルが起きたときに焦ってしまったり、トラブルを気にしすぎて続けられなくなってしまったりして、プレゼン自体の本来の目的(聴き手に伝えて、聴き手の行動を促すこと)を達成できないことです。
逆に言えば、少々の失敗やトラブルは、本来の意味での失敗ではありません。
失敗やトラブルが起きても、それを気にせず楽しめるくらいになれば、プレゼンの本来の目的は達成できるのです。
<事例>
Jさんは広告代理店勤務で、プレゼンを多く行っています。完璧主義のJさんは、プレゼンをするにも準備や練習を怠りません。
しかし、完璧主義過ぎて、プレゼンの途中で機器のトラブルなどが起きると不機嫌になったり、準備をした部下をその場で叱ったりしてしまうのです。
聴き手としては気持ちよくプレゼンを聴きたいのに、ちょっとした機器トラブルであまりに厳しく部下を叱るので、場の雰囲気が悪くなってしまいます。
そういうときは結局契約につながらず、プレゼン自体の失敗につながっています。しかし、Jさんは自分のせいではなく、機器トラブルが起きたためにプレゼンが失敗したと思ってきました。
するとある日、クライアントの中に大学時代の同級生がいて、その点を指摘してくれたのです。
『あのときの君の対応は少しまずかったね。機器トラブルくらいだったら部下を叱ったりせずに、「どうやら機材セッティングをした部下から嫌われてるみたいですね(笑)」とか言ってユーモアを入れてみたり、「機器トラブルといえば前に〇〇といったことがあったんですね。復旧するまでの間少しお話しさせていただきます。」なんていうふうに他の話を事前に用意して対処すれば、うちの社員もそれほど気にならなかったはずだよ。もちろんきちんと謝罪することは大事だけどね』
彼の指摘を聞いて、Jさんは目から鱗が落ちた気がしました。
こうして、Jさんはトラブル自体が失敗ではなく、それに対して自分自身が焦って部下を叱り、プレゼンの雰囲気を壊してしまうことが本当の原因だとやっと気づいたのです。
その後のプレゼンでは、準備・練習は今まで通り行っていますが、途中でちょっとした失敗やトラブルが起きても、プレゼン全体の雰囲気を重視するような対応に変えていったのです。
<解説>
プレゼンは内容さえ伝えればよいというわけではありません。内容を伝えるだけであれば、企画書などの書類だけでも良いはずです。
スライドなどを使って対面し、口頭で伝える際には、内容にプラスしてその場の雰囲気も大切になります。
その場にいるのが辛いような雰囲気で聴いても、内容は聴き手の耳に入っていかないのです。
ジョブズが少しの失敗やトラブルでも楽しんでプレゼンをしていたのは、自分自身が楽しくプレゼンをすることによって聴き手も楽しい気分になり、内容が伝わりやすいからだったはずです。
Jさんのように誰かから指摘を受けることは少ないと思いますので、自分自身で自分のプレゼンを振り返って、失敗への対処法を身に着けていきましょう。
まとめ
・聴き手は少々の失敗やトラブルに対してそれほど気にしない。全体が良ければ、内容に納得して行動ができるプレゼンであると感じる。
・プレゼンの本当の意味での失敗は、本来の目的(聴き手に伝えて、聴き手の行動を促すこと)が達成できないこと。
・少々の失敗やトラブルが起きても、それを気にせず楽しめるくらいになれば、プレゼンの質は上がっていく。
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