「背景」の書き方
今回は背景の書き方について説明していきます。
この文章を読むことで、企画書の背景に「何を」「どのように」書けばいいのか、について学ぶことができます。
背景に何を書くのか
「背景」は、「まえがき」の部分を除けば、企画書本文の最初に来るパートです。
次のパートの「目的」に至るきっかけや、理由を書いていきます。
つまり、「どうしてこの企画書を書いているのか?」「どうして今回の企画を提案できるのか?」などを書いていくことになります。
では、具体的には、どのようなことを書くのでしょうか?
これも決まりがあるわけではないですが、次のような「背景」を書くとよいでしょう。
・作成理由
・現状分析
・前提条件
それぞれ個々に説明していきます。
作成理由
まず、「作成理由」です。
これは上記のように、「なぜこの企画書を作成・提案するのか?」という部分です。
例えば、社内向けの企画書であれば、「従業員の間に○○という不安があり、このままであれば離職率が高まる恐れがあるので、今回の企画を提案することになりました。」というようなことが背景になります。
現状分析
次に、「現状分析」です。
そもそも企画書は、「現状」と「目的」のギャップを埋める「提案」をするものです。
よって、「現状」がないと企画書がスタートしませんので、「現状分析」を背景に書くことになります。
また、「作成理由」を説明するにも、「この現状があるから作成する理由がある」という説明になる場合もあるので、「作成理由」と「現状分析」を両方書くこともあります。
では、現状分析とは具体的にはどのようなものなのでしょうか?
これは社内の企画書であれば、提出する側も提出される側(読み手)も現状の共通認識がある場合があり、背景は省略したり簡潔に述べたりするだけで済むこともあります。
しかし、社外へ提出する場合や、社内でも本格的な改善提案などであれば、現状把握・現状分析は重要となります。作成者の単なる主観ではなく、客観的なデータなどに基づく現状分析が必要です。
それは、経済や景気のような外部環境であったり、顧客のニーズの変化であったり、社内体制の状況であったりと幅広いため、企画内容にあったデータを提示する必要があります。
アンケートやヒヤリングなどで集めることもあれば、官公庁や研究機関のデータや新聞雑誌などで公表されているデータ、民間の調査会社などのデータなどを集めることもあります。
しっかりと、次の「目的」につなげるだけの説得力のあるデータを集め、現状把握・分析を記述していくことがポイントとなります。
前提条件
最後は「前提条件」です。これは、最初の「企画書の作成理由」と同様です。
つまり、自主的に作成する場合であれば作成理由を書きますが、相手から企画書を依頼された場合で、相手が企画書の前提条件を決めていれば、それが作成理由となります。
以上のように「背景」を書いていくことなります。
【事例】
プリンターメーカー勤務のAさんは、新製品のプリンターをB国に輸出販売するための企画書を会社に提出しようと考えました。Aさんには、「B国はこれから伸びる市場だ」というイメージがありました。
しかし、そのイメージだけでは説得力のある企画書になりません。
そこで、B国の現状把握をしたのです。それは、人口や景気の状況、B国のトレンド、競合他社の状況などです。
その結果、「B国は、人口が年間10パーセントの伸びを続けており、景気は継続的に良い方向に向かっている。その景気を支える企業数も10万社ずつ増加しており、パソコンやその周辺機器の需要も高まっている。
その中で、安価なプリンターは普及しているが故障が多く、73%の企業が「今のプリンターの性能に不満を持っている」という統計資料がある。」という現状把握・分析となったのです。
このように、企画書の背景を記述した企画書を提出したところ、その企画が採用され、B国へのプリンターの輸出が決まったのでした。
まとめ
・企画書の「背景」には、「目的」に至るきっかけや理由を書く
・企画書の内容に応じて、「背景」には次の3つを書くと良い
1.作成の理由
2.現状分析
3.前提条件
・現状分析は、自分の主観だけで書くのではなく、客観的なデータに基づいて書くと、説得力のある企画書になる
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