アイディア発想法
今回は、アイデアの発送方法について説明していきます。
この文章を読むことで、様々なアイデアの発想方法と、アイデアを出す際の注意点について学ぶことができます。
アイディア発想の基本
アイディアを発想することは、企画書を作成する上で重要度が高いです。
それは、企画書が「アイディアを具体的に計画し、文書化したもの」だからです。
アイディアがないと、そもそも企画書がスタートしないのです。逆に言えば、アイディアがあれば、様々な形で企画書を考えることが出来ます。
一つのアイディアしかなくて、それを基に企画書を作成しても、「良い企画書になる確率」と「あまり良くない企画書になる確率」は同率となってしまいます。
ということは、たくさんのアイディアがあれば、「その中から厳選して良い企画書を作れる可能性が上がる」ということなのです。
よって、「アイディアをたくさん発想出来るようにしておくこと」は、良い企画書を作るためのスタート地点となるのです。
では、どのようにすればアイディアは浮かぶのでしょうか?
アイディアは「突然降って湧いてくる」ようなことはほとんどありません。「何かと何かの組み合わせ」や、「何かを見て、それがキッカケになって新しいアイディアが浮かぶ」ものです。
例えば、「うちわ」と「電気」の組み合わせで「扇風機」という発明が生まれました。
このように、「既存のもの」×「既存のもの」を組み合わせるだけで、全く新しいアイディアが出来るのです。
そして、新しいアイディアであった「扇風機」も、次には「既存のもの」となります。
そこで、さらに「扇風機」がどのようなものかを知っているから、「扇風機の羽根の部分が危険」という悩みとの掛け合わせで次のアイディアが浮かび、「羽根のない扇風機」というアイディアが発想されるのです。
つまり、アイディア発想の基本として、様々な情報や知識、言葉を知っている必要があります。
よって、アイディアマンと呼ばれる方は、いい意味で「遊び人」と呼ばれる人が多いのです。
ここでの「遊び人」とは、闇雲に遊んでいるという意味ではなく、「どんなことにも楽しみや興味を持つことが出来る人」ということです。
しかし、急に様々なことに興味を持てと言われても、なかなか難しいかもしれません。
そこで、簡単に楽しみながら様々なことに興味が持てる場面というのがあります。
それは、「毎日いる場所とは違う場所に行く事」、つまり旅行です。
異文化に触れると新しいことをたくさん学び、いろいろな刺激を受け、アイディアが浮かびやすくなるのです。
でも、アイディアを出したい時に、旅行にばかり行くわけには行きません。
ここで考えるのは、遠くに行かなくても「自分がいつもいる場所以外の所に行けば、刺激を受け、アイディアが出やすくなる」という点です。
このように、旅行の場合は「自分のいる場所から距離的に遠い所に行く事」になります。
でも、自分の知らないことで刺激を受けることが出来るのであれば、距離的な遠さ以外でも、自分の日常からちょっと外れればOKなのです。
つまり、自分の良く知っている分野とは違う分野であったり、いつもの行動パターンでは行かないお店であったり、通常話をする機会がない層の人達と話したりすることも、刺激を受けることが出来るのです。
例えば、男性の若いビジネスマンであれば、主婦の気持ちや年配の方の趣味に興味がないかもしれません。
でも、敢えてそのような方々と話しをする機会を設けたり、そのような方々が行くような場所に行ってみたりすると、これだけで刺激を受けることになります。
つまり、アイディアが欲しいのであれば、街を歩いてみるだけでも十分に刺激を受けアイディアが出やすくなるのです。
特に、自分で体験したことや直接話を聞いたことは、「一次情報」といって現場の生の声なので、アイディア発想の刺激にもなりやすいのです。
もちろん、ニュース等の情報からもアイディアは刺激されますが、一次情報の方がアイディアが出やすいのです。
これがアイディア発想法の基本です。
でも、これだけだと「具体的にどうしたらよいか?」が分からないという人の為に、もう少し具体的な発想方法もお話ししていきたいと思います。
具体的な4つのアイデア発想方法
アイディア発想方法の具体的な方法はたくさんあります。その中から、4つほど説明してみたいと思います。
?カラーバス
?KJ法
?ブレインストーミング
?オズボーンのチェックリスト
?カラーバス
カラーバスとは心理学の言葉です。直訳すると「色を浴びること」となります。
どのようなものかというと、「今日は赤色を探してみよう」と意識して街に出ると、「赤色のものばかりが目に飛び込んでくる」という人間の心理のことです。
これを発想法に活用すると、「「今日は◯色」と決めて街に出かけ、そこで目にしたものを発想につなげる」ということです。
例えば「赤」と決めて街に出ると、郵便ポストが目に入るかもしれませんし、あるお店の看板が目に入るかもしれませんし、赤い車かもしれません。
これにより、頭の中の情報量は増えるので、後はそれらを組み合わせてアイデアを発想してみたり、目で見たものの改善案を考えてみたりすると、新しいアイディアが出てきます。
?KJ法
KJ法は、「街で集めてきた情報や、自分が経験した情報をカードに書き、それをまとめる」という方法です。
頭の中だけでアイデアを発想するのも一つの手段ですが、頭の中を整理した場合に使うと便利です。
具体的には、一つのカードに一つの情報やアイデアを書いていきます。
それを、ホワイトボードや壁に張り出してみます。そして、似ているカードをまとめて行きます。(これをグルーピングと言います)
グルーピングしたものをさらに小分類から中分類、大分類と分けて行きます。
このグルーピングを行っていく中で情報が整理され、アイディアも整理されていくことになるのです。
?ブレインストーミング
ブレインストーミング(ブレスト)とは、複数人でアイディア発想をする時に使う手法です。
街で集めてきた情報や自分が経験した情報などで発想するのも良いのですが、一人だと限界がありますし、情報に偏りがあることもあります。
よって、「複数人で集まるとそれだけ情報やアイディアも豊富になる」というのがこの考え方のスタートです。
でも、複数人が集まると、批判的なことを言う人が出てきてしまうこともあります。
それを防ぐためにブレストではコツがあります。「人の意見の批判をしない」や「制約条件を取っ払って自由に発想する」「人の意見にプラスして意見を出す」「質より量を出す」などです。
こうして、批判的な意見を無くした場で、みんなでアイディアを膨らませていく会議がブレストなのです。
?オズボーンのチェックリスト
アイディア発想に詰まった時には、オズボーンのチェックリストというものがあります。
アイディアを出したい対象を、様々な角度から見てみるチェックリストのことです。
チェックリストの内容は、「1)転用して見たら、2)応用してみたら、3)変更してみたら、4)拡大しみたら、5)縮小してみたら、6)代用してみたら、7)再利用してみたら、8)逆転してみたら、9)結合してみたら」の9点です。
アイディアを出したい対象をチェックリストに当てはめて考えると、たくさんのアイディアが出るのです。
例えば、鉛筆のアイディアを出したいとします。鉛筆をチェックリストに合わせてアイディアを考えて行きます。
「1.鉛筆を転用して見たら?」「2.鉛筆を応用してみたら?」・・・
これで、「勉強用に使う鉛筆を転用して、化粧道具として販売してみよう」とか、「鉛筆の産地なので、巨大鉛筆を街のシンボルにして街おこしをしよう」とか、「短くなった鉛筆を集めて、アートに再利用してみよう」などのアイディアを出すことが出来ます。
これもブレストと同様、「こんなアイディアは実現できないな」とか「ちょっと発想が飛びすぎているかな」という批判的な意見を気にせず、「とりあえず発想してみる」と面白いアイデアが生まれるのです。
以上4つの方法を見てきましたが、そのほかにもアイディアの発想方法はたくさんあります。
自分に合った発想方法を探し、見つけるのも楽しいものです。アイディアは楽しみながら発想するのがコツなのです。
時々に、「自由に発想していたら企画にならないのでは?」と不安に思う方もいますが、アイディア発想の時点では発想の幅を広げることがポイントです。
自由に発想しないとアイディアが出てこないからです。
そして、自由に発想した中から企画の段階でしっかりと調査・分析し、取捨選択していければよいのです。
よって、アイディアと企画は絶対に分けて考えるべきなのです。
【事例】
A社では新商品を販売することになりました。そこで、いくつかのプロジェクトチームに分かれ、それぞれ企画書を作成してプレゼンをし、優秀なチームの販売促進案が採用される社内コンペを開催することになりました。
Bさんの率いるプロジェクトチームも立ちあがりましたが、会議で「アイディアを出してくれ」と言ってもなかなか良いアイディアが出てきません。
<カラーバスの活用事例>
そこで、Bさんはあることを思いつきます。
それは、プロジェクトチームのメンバーを丸一日外出させ、情報集めやアイディア集めをするように伝えます。しかし、単に情報集めやアイディア集めといっても、「何を集めて良いか分からない」となってしまうかもしれません。
そこで、カラーバスを使います。
「街に出かけて、君は【赤】を意識して情報集め・アイディア収集をして欲しい」「では、君は【青】を意識して」「君は【黄色】」というように各人に指示を出し、情報集め・アイディア収集を行うのです。
こうして、メンバーが丸一日外に出ることによって、良いアイディアを出すキッカケ作りをしたのでした。
<KJ法の活用事例>
たくさんのアイディアのキッカケ作りはできました。そこで次は、「それらの情報やアイディアをまずは取りまとめてみよう」ということになりました。
しかし、口頭で順に発表していってもまとめにはならないので、KJ法を使うことになりました。
まずは情報やアイディアをカードに書き、それをホワイトボードに張り出しました。こうして皆が集めて来た情報やアイディアを可視化していきました。
さらに、それらのカードを見ながら同様のカードをグルーピング化していきました。
これらにより、情報やアイディアがまとまるのと同時に、グルーピングしていく過程で新しいアイデアが出てきたのです。
<ブレストの活用事例>
カラーバスを使って丸一日外出したり、KJ法でまとめたりすることによって、どんどんアイディアが出てくるようになりました。
しかし、また問題点がでてきます。
誰かがアイディアを出したのに対して、「それは現実的に無理ではないですか?」とか、「面白い発想ですが、うちの会社では採用されませんよ」というような批判的な意見が出てしまうのです。
批判的な意見も確かに根拠はあるので間違ってはいないのですが、それ以降はアイディアを出す人が減ってしまうのです。
これではせっかくのアイディアが止まってしまうので、Bさんはルールを決めました。
「批判的な意見は言わない」「質より量を求める」「誰かのアイディアに乗ってさらにアイディアを広げてもOK」「笑われるくらいバカなアイディアの方がOK」「楽しい音楽を聴きながら発想する」などです。
これは、Bさんが意識したかどうかは別として、ブレストのルールに近いものでした。これにより、新しいアイディアがどんどん出ることになりました。
<オズボーンのチェックリスト>
「アイディアは、様々な角度のものがたくさんあった方が最終的な企画書が良くなる」と考えているBさんは、さらにアイディア出す方法を活用します。
それが、オズボーンのチェックリストです。
チェックリストを使い、新商品の販売方法を様々な角度から発想していきました。これにより、今まで出ていなかったアイディアも出ることになりました。
アイディアは発想を広げることによって出てくることが多いのですが、チェックリストのように、制約を設けた方が出ることもあるのです。
こうして、様々な方法、あらゆる角度から発想したアイディアを出しました。その量は相当なものとなりました。
中にはとっぴなものもありましたが、それがきっかけで素晴らしいアイディアも浮かんできました。そして、そこから現実可能性や成長性を加味し、取捨選択をして企画書をまとめていったのです。
そこまでありとあらゆる可能性を検証した企画書ですので、圧倒的な内容となり、社内コンペでBさんのプロジェクトチームの案が採用されたのは、言うまでもありませんでした。
まとめ
・企画書を作る時には、たくさんのアイディアを出して取捨選択出来た方が良い。
・アイディアは、自分の居場所(得意分野、知っている分野、興味のある分野など)以外の人や場所と関わることによって良い刺激を受け、発想しやすくなる。
・アイディアの発想方法はたくさんあるので、試してみて自分が使いやすいものを使うべきである。
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