最終チェックの9ポイント
今回は、企画書の最終チェックポイントについて説明していきます。
この文章を読むことで、企画書の最終チェックを行うポイントと方法について学ぶことができます。
企画書の最終チェックポイント
企画書が完成した段階で最終的なチェックを行いましょう。
せっかく完成した企画書が相手に読まれなかったり、読んでもらってもマイナス評価を受けてしまっては、とてももったいないです。
よって、完成した時点で、もう一度チェックをすべきなのです。
チェックは、自分自身で見直すのと同時に、出来れば別の人にもチェックしてもらうのが良いでしょう。
それは、作成した本人には思い込みや思い入れがあるので、チェック出来ない点が出てくる可能性があるからです。
つまり、作成者とは別の視点からチェックした方が、間違いや分かりやすさのチェックが出来るのです。
では、どんなことをチェックするのでしょうか?
以下に、9つチェックポイントを挙げてみました。
?事実誤認はないか
?誤字脱字、記載ミスはないか
?分かりやすいか
?説得力はあるか
?論理的で一貫性があるか
?言葉は統一されているか
?メリハリがあるか
?図表にできるものはないか
?言葉は短くできないか
それぞれ、内容を説明していきます。
?事実誤認はないか
「オリエンテーションやヒヤリングで伝えられた相手の条件や要望」に即した企画内容になっているかどうかを確認します。
ここが間違っていれば、企画書の書き方や内容以前に、検討の土俵にも上がることができません。
もう一度条件や要望を確認し、誤認がないかどうかを見てみましょう。
また、企画書の中で使われるデータも確認します。データ自体の間違えや、判断の間違え、恣意性の介入がないかなどを確認します。
データ部分は説得力が増すことにもなりますが、そこに間違えがあれば逆効果になってしまいます。
?誤字脱字、記載ミスはないか
誤字脱字や記載ミスがあることによって、「この企画書は大丈夫か?」という疑念が発生します。
企画書が内容以外の点でマイナス評価されるのはもったいないことです。よって、作成時点から注意する必要があります。
しかし、作成者の思い込みなどもあり、作成者だけの見直しでは発見できないこともあります。
よって、別の人にもチェックしてもらう必要があるのです。
?分かりやすいか
分かりやすい文章や資料、図になっているかどうかを確認にします。
これも作成者だけだと思い入れや思い込みがあるので、客観的な意見としてチェックしてもらうほうが良いのです。
?説得力はあるか
説得力があるかどうかは、文章の書き方だけではなく、補足資料や図表などの有無も関係してきます。
自分では理解している部分でも、相手の立場に立つと、さらに詳細に説明したほうが良い場合もあります。
?論理的で一貫性があるか
長期に渡って作成した企画書や長文の企画書の場合、一気に作成するのではなく、少しずつ作成していることもあります。
その場合、ページ毎には問題ない企画書でも、全体を通してみると論理的でなかったり、一貫性が取れていなかったりすることあります。
そのため、完成した時点で全体を最初から最後まで読み通してみる必要があります。
それでも長文だと、全体像が把握できにくい場合もあります。
その場合、目次を見たり全体の要約をしてみたりして全体像を把握し、その全体像に論理的一貫性があるかどうかを確認してみましょう。
?言葉は統一されているか
言葉の統一も必要です。
上記のように、長文などの場合は、いつの間にか言葉が変わってしまうことがあります。
例えば、文末が「です、ます調」だったものが、一部だけ「である調」になってしまうことです。
これらも完成した時点で、読み返し、確認が必要となります。
?メリハリがあるか
企画書は、まずは読んでもらう必要があります。
しかし、メリハリのない文章であれば、途中で読むのを止めてしまうかもしれません。それではせっかくの企画書が採用されなくなってしまいます。
よって、読み手の立場になって「メリハリのある(読む気が起きるような)企画書になっているかどうか」のチェックも必要なのです。
?図表にできるものはないか
分かりやすさや説得力の面でも、図表にできるものがあれば、図表にしたほうが良い場合もあります。文章だけだと分かりにくかったり、イメージしにくかったりするからです。
また、図表があると全体のメリハリも付きやすく、より読み手の立場に立った企画書になりやすいです。
しかし、あまり多すぎても逆効果になるのでバランスは必要です。
?言葉は短くできないか
詳細に説明しようと思うと文章は長くなりがちです。
しかし、分かりやすくするために長文になっているのに、長すぎて逆に分かりにくくなることもあるのです。
読み手からすれば、「コンパクトに知りたい部分だけを伝えてくれればよい」わけですので、短くできるのであれば、そうしたほうが良いのです。
よって、短く縮めても意味が通じるのであれば短くしていきます。
作成した時点では気付かなかったものが、最終的には気付くこともありますので、最終段階でもう一度短くできるものを確認していきます。
【事例】
Aさんはマナー講師をしています。製造業のB社が新入社員研修の講師を探していました。そこでAさんは、B社の新入社員研修を請け負うために、研修企画書を提出することになりました。
まずは、B社が新入社員研修に求めることをヒヤリングしていきます。
B社の新入社員研修は、1日目が会社の全体像の話を人事部が行い、2日目、3日目の2日間をマナー研修として外部講師に委託し、それ以降は各部門に試用配属されて現場研修を受ける流れになっています。
つまり、Aさんの企画書は、2、3日目のマナー研修の企画書だということです。
しかし今後、営業部門や製造部門、管理部門など、様々な部門に配属される前の段階の社会人としての基礎を教える部分ですので、人事部としては重要な位置づけをしているとのことなのです。
研修の内容を理解したAさんは、今までの研修講師経験を文章化、データ化して、何が社会人の基礎として必要なのかを伝える企画書にしていきました。
そして企画書が完成したのですが、Aさんは個人で講師をしているので、企画書の最終チェックを客観的にしてもらう人がいませんでした。
そこで、講師仲間とグループを作り、最終チェックをできるようにしていきました。これは他の講師も同様に、企画書を作成するときに最終チェックで困っていたから出てきた発想です。
これにより、仲間同士で秘密保持契約を結んで外部には情報を漏らさないようにしながら、客観的に企画書をチェックする体制ができたのです。
そのチェックの中で、「誤字脱字」が見つかりました。これは、Aさん自身が何度も見直していたにも関わらず、見つけることができなかった誤字脱字でした。
さらに、文章として分かりにくい部分を指摘されました。そこは、研修プログラムを説明する部分を文章のみで説明していたために、長文になり分かりにくかったのです。
その部分は図を入れて説明することにしました。それにより文章が短くなり、図があることでイメージしやすくなってメリハリも付きました。
こうして、自分での見直しと客観的な立場の人の見直しを経て、修正した企画書は完成したのです。
結果、Aさんの企画は採用され、B社の新入社員研修を請け負うことができたのです。
まとめ
・企画書が完成した段階で、最終的なチェックを行うべきである。せっかく完成した企画書が相手に読まれなかったり、読んでもらってもマイナス評価を受けてしまったりしてはもったいない
・チェックは自分自身で見直すのと同時に、出来れば別の人にもチェックしてもらうのが良い。作成者の思い込みや思い入れがあり、チェック漏れが発生しやすいためである
・9つの最終チェックポイント
?事実誤認はないか
?誤字脱字、記載ミスはないか
?分かりやすいか
?説得力はあるか
?論理的で一貫性があるか
?言葉は統一されているか
?メリハリがあるか
?図表にできるものはないか
?言葉は短くできないか
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