「まえがき」・「はじめに」の書き方
今回は、企画書の「まえがき」と「はじめに」の書き方について説明していきます。
この文章を読むことで、「まえがき」「はじめに」の重要性と、読み手の興味を引くパターンについて学ぶことができます。
「まえがき」と「はじめに」の重要性
企画書は全体として、何をどのように書いても構いません。
よって、「まえがき」や「はじめに」についても、何を書いても良いということになります。短い企画書であれば、省略する場合もあります。
でも、意外にこの部分は重要度が高いのです。
それは、長い企画書であればあるほど、後の方では読み手の集中力が切れてくる可能性があるからです。
よって、「まえがき」や「はじめに」で興味を引く必要があるのです。
例えば、どんなに料理の味や接客が良い飲食店でも、看板やチラシなど、最初に目につく告知でお客様を引き付けられなければ、誰にも来店してもらえないのと同じことです。
企画書で言えば、せっかく内容の良い企画書でも、最後まで読んでもらえなければ、良さが伝わることがないのです。
興味を引く「まえがき」「はじめに」のパターン
では、最後まで読んでもらえる「まえがき」や「はじめに」はどのようなものなのでしょうか。
実は、提出する相手によって違います。ただ、いくつかのパターンは考えることが出来ます。
・「要約」する
・「想い」を伝える
・「ストーリー」で伝える
まずは「要約」です。
「まえがき」「はじめに」を読んだだけで、企画書のおおよその全貌がつかめるというものです。
特に企画書の中で強調したい部分の概要を書くのも良いです。企画内容が良いものであれば、要約を読んで興味を持ってもらい、「もっと詳しく知りたい」となるはずなのです。
次に「想い」です。
「この企画書にかける想い」であったり、「企画書で提案する商品やサービスへの想い」であったりと、想いを相手に伝えることです。
でも、一方的な想いだと読むのが嫌になりますので、「相手が共感するような想い」である必要はあります。
最後は「ストーリー」です。
企画書全体がストーリーになっているのが良いですが、「まえがき」や「はじめに」にも、ストーリー性を持たせるということです。
例えば、「自分自身の経験からこの改善案を思いつきました」というようなストーリー性があると、読み手もイメージがしやすくなるのです。
いずれにしても、「まえがき」「はじめに」に何を書くかは自由です。自由だからこそ、他との差が付く場所でもあるのです。
あくまで一方的な「まえがき」「はじめに」にはならないように気を付けながら、相手の興味を引く文章を書いていく必要があるのです。
【事例】
椅子のデザイン会社に勤めるAさんは、自分のデザインを家具メーカーB社に採用してもらうため、企画書を提出しています。すでに何度も企画書を提出しているのですが、不採用が続いています。
そこで、企画書を見直してみました。椅子自体の内容に悪い点は見つかりません。
でも、気付いた点がありました。それは、性能や使用方法などについては書いてあるものの、Aさん自身の想いなどが全く入っていなかったのです。
これは、以前、別のC社に企画書を提出した際、「あなたの想いなどはいらないので、性能などさえしっかり書けばよい」と言われてからそうしてきました。
しかし、C社の考えとは違うかもしれないと思い、今回は「想い」を「まえがき」に書いてみたのです。
「私の父親は事務職で、毎日長時間椅子に座って仕事をしていました。会社の椅子があまり良いものではなかったのか、腰を痛めてしまい、毎日腰痛に苦しむ父を見てきました。私の父のような辛い思いをする人を無くしたいと考え、今回の『腰に優しい椅子』を提案します。」
このような想いとストーリーを企画書で伝えた結果、Aさんの企画書は採用されることとなりました。
このように、AさんはB社とC社のそれぞれの企画書で伝え方を変えたことによって、企画を採用してもらうことができました。
そして、Aさんは「相手によって、どのように書くかを変える必要性があること」を知ることができました。
ここで注目なのは、腰痛で苦しむ人を無くしたいという「想い」と、父親が腰痛で苦しむ姿を見てきたという「ストーリー」を両方使用しているということです。
「要約」「想い」「ストーリー」のどれか一つだけしか使ってはいけないのではなく、一番相手の興味を引くのはどういった文章かを考え、自分なりにアレンジして記述してみるのが良いと思います。
まとめ
・企画書の「まえがき」「はじめに」で、読み手の興味を引く必要がある
・どのような「まえがき」「はじめに」が良いかは相手によって変わる
・企画書の「まえがき」「はじめに」の書き方のパターン
1.「要約」する
2.「想い」を伝える
3.「ストーリー」で伝える
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