「実施案」の書き方
今回は企画書における実施案の書き方について説明していきます。
この文章を読むことで、実施案の概要や書く際の注意点について学ぶことができます。
実施案の概要
企画書は、「現状」と「目的」を明確化した後、その2つのギャップを埋めるような「改善案」などを提案するものです。
この改善案などの提案部分は、前回の「コンセプト」の書き方で書いたように、「コンセプト」と「実施案」に分けて書くと分かりやすくなります。
「コンセプト」が、提案部分の切り口や全体像をイメージで伝えるものに対して、「実施案」は具体的な進め方を伝えるものになります。
よって、「実施案」を書く時に、次の3つを意識しなければなりません。
1. 流れを忘れない
2. 実現可能である
3. 変更可能である
一つずつ説明していきます。
1.流れを忘れない
企画書の提案部分に至るまでに、一般的な流れでいえば、「現状」や「目的」を明確にしているはずです。
よって、そもそも「現状」や「目的」の流れから外れてしまうような提案(実施案)であると、企画書全体の文章が成り立たなくなります。
長い企画書を書いていると全体像を忘れてしまうこともありますが、最終的に「現状」と「目的」のギャップを埋める具体策としての「実施案」になっているかどうかをチェックする必要があるのです。
2.実現可能である
実施案が実現可能である必要があります。
相手の要望が単なる「アイディアが欲しい」というような場合であれば、実現可能性は考える必要はないかもしれません。
しかし、ほとんどの場合、実際に案を採用して実行することを前提として企画書を提出します。
もちろん、アイディアを出すことは企画書を作成する途中で行いますが、最終的には絞り込みを行い、実現可能な案を企画書として提出することがほとんどです。
また、競合他社より良い案を出そうと思って焦ってしまい、実現不可能な案を出してしまっては、もし採用された場合信用を失うことになりますので、気を付けたほうがよいでしょう。
3. 変更可能である
実施可能な企画書なので、「採用されたらそのまま企画書通りに実行してもらうこと」が出来れば良いはずです。
しかし、実際には採用されたとしても、予算やスケジュールなどの関係で一部変更するということはよくあることです。
よって、企画書の「実施案」を作成する時も、「この通りに進めないと実施出来ない」という案では、「採用されない可能性」や「採用された後、進めることが出来ない可能性」が出てきてしまいます。
そこで、実施案を書く時は、ある程度変更が可能である余地を残しておくべきなのです。
【事例】
Aさんは、会社の情報共有のために、社内報を発行しようとしています。そのためには、まず「社内報を発行して良いか」を取締役会で承認してもらう必要があると言われ、企画書を作成することにしました。
「現状」としては、会社の規模が大きくなっており、社内の情報共有が遅れていて、隣の部署の人もあまり知らないという状態であるということでした。
そして、「目的」は、部署間や従業員間の情報共有のキッカケとしての社内報を作るということです。
それらの、「現状」と「目的」のギャップを埋める提案(実施案)は、実現可能性を考慮して、Aさんの所属する総務部のメンバーが各部署にインタービューをし、そのインタビューをまとめて「一ヶ月に一度社内報を発行する」という案です。
それを企画書にして提出したのです。
その企画書は、「現状」「目的」「提案」の流れがしっかり出来ていたので採用されました。
しかし、実施する段階で一部変更がありました。
それは、1ヶ月に1度の発行頻度は、総務部や他部署の業務に影響が出る可能性があるということで、2ヶ月に1度の発行となりました。
一部変更はありましたが、Aさんの狙い通り社内報がキッカケとなって情報共有の流れができていくことになったのです。
まとめ
・「実施案」は、企画内容の提案の具体的な進め方を伝えるものである
・企画書の提案部分は、「コンセプト」と「実施案」に分けて書くとわかりやすくなる
・「実施案」を書く時に次の3つを意識しなければならない
1.流れを忘れない
2.実現可能である
3.変更可能である
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