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コストセンターとプロフィットセンター

【コストセンターとプロフィットセンター】
組織を考えるときに、その位置づけがどのようなものかを判断する考え方として、コストセンターとプロフィットセンターがあります。

 

コストとはこれまでに出てきたように費用のことで、プロフィットとは利益のことです。

 

よってコストセンターとプロフィットセンターはそれぞれ「費用について責任を持つ部門」、「利益について責任を持つ部門」という意味になります。

 

そしてこのコストセンターとプロフィットセンターは基本的には部門などによってその役割が決まっているものの、完全に固定されているわけではありません。

 

ある部門について、コストセンターともプロフィットセンターとも考えられる場合があるということです。

 

まずはコストセンターとプロフィットセンターの意味を理解し、経営上どのようにその考え方を使っていけばよいかについて考えてみましょう。

 

 

【コストセンターとは】
コストセンターとは、原則としてその「コスト」がどのくらいかかるかだけが計算される部門のことです。

 

コストだけを計算するということは、原則として収益は生み出さない組織ということになります。

 

例えば社内の情報システム部を考えてみましょう。

 

社内で使われる情報システムは会社運営を円滑にするために大変重要なものですが、それ自体が収益を上げるわけではありません。

 

情報システムはあくまでも業務を円滑に進めるためのツールと言えます。

 

このため、この場合は情報システム部はコストセンターということになります。

 

そしてコストセンターで計算されるものはそのコストとなるため、コストセンターとしての情報システム部はいかにシステムの構築や運用にかかるコストを抑えるかということが重要な責務となります。

 

 

【プロフィットセンターとは】
プロフィットセンターとは、原則としてその「利益」をどのくらいあげているかが計算される部門のことです。

 

利益が計算されるということは、その利益を生むための「収益」と「コスト」が両方計算されるということです。

 

そして典型的なプロフィットセンターは、事業部です。

 

事業部では基本的には製品や顧客に対する活動が事業部内で完結されます。

 

このため、事業部内では常に収益と費用が両方発生しており、利益を上げるためにいかに収益を増やしながらコストを抑えるかが大切になります。

 

 

【コストセンターかプロフィットセンターか】
コストセンターとプロフィットセンターは、一見すると明確に区分できそうにも見えます。

 

利益を生み出すプロフィットセンターの役割のある部門はある程度決まっているためです。

 

しかし例えば先ほど例に挙げた情報システム部を考えてみましょう。

 

社内の情報システムは顧客には関係ないと考えられ、コストセンターの位置づけでした。

 

しかしそのコストを抑えるあまり、システム投資を行わずに旧式のもので対応していた場合、システムを使う全部門の業務の変化についていけず、会社としてはその効率性が悪化することが考えられます。

 

また、他社では最新式のシステムを導入しているとすれば、競争力の低下にもつながる可能性があります。

 

他社のほうが顧客対応しやすいシステムが導入されていれば、コストを抑えたばかりに対応に不備が生まれ、顧客が他社に流れてしまうかもしれないのです。

 

特に近年は緻密な経営戦略が必要となっている時代です。

 

会社の業績を高めていくためには、情報システムに限らず様々なツールが必要となっています。

 

このように考えると、情報システム部を完全なコストセンターと位置付けるのは、無理が生まれ始めていると言えます。

 

コストセンターと言えども、ただコストを落とすことが至上命題なのではなく、プロフィットセンターとなる部門が生む利益への貢献度を加味する必要があるのです。

 

よって、コストセンターという位置づけであっても、ただ単にコストを下げることが必要なのではなく、「その機能を使用することによって必要なサービスレベル」を維持して「コスト削減」を考えるべきと言えます。

 

そしてこのサービスレベルを設定するのは、プロフィットセンターではなく、経営者あるいは全社を統括できる管理部門です。

 

経営者や管理部門が各部門と連携して「プロフィットセンターの収益性を落とさないコストセンター」を作っていく必要があるのです。

 

現在は社会環境の変化によってコストセンターとプロフィットセンターの境界線が引きにくくなっているということを理解し、それぞれの役割を確認しておきましょう。

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