固定費と変動費 その1
【固定費と変動費とは】
会社を継続させていくためには、まず売上が必要です。
そして売上を伸ばすことで利益を増やし、その利益をもとにさらに会社を発展させていくのが理想です。
しかしどのように利益を上げていくかを考えるとき、最もわかりやすく、かつ重要になってくる考え方が、費用をどのようにどの程度かけるかということです。
費用のかけ方がある程度明確になれば、目標とする売上から必然的に利益を予想することが可能になるためです。
もちろん売上や利益を先に予算化し、それに伴って費用を算出して、その後にその費用をどのように、どの程度配分するかを考えることも可能です。
いずれにしても、費用をただ漠然と考えるだけでは継続的に利益を上げたり、予測を立てることが難しくなります。
よってここではまず費用について考えてみましょう。
費用にはいろいろな考え方がありますが、最も基本的となるのは固定費と変動費という考え方です。
固定費と変動費は、以下のような考え方で分類されます。
【固定費】
固定費とは、会社が製品を生産する、しないに関わらずかかってくる費用です。
原則的に、その金額が「固定」されている費用ということです。
例えば事務所の賃料や購入した設備の減価償却費は、設備を使用しなくてもかかります。
また、会社でかけている保険料や借入金の支払利息なども、何もしなくてもかかります。
従業員の給料も、従業員を雇っている以上は必ず支払わなければなりません。
このように、会社が生産を前提として設備や人員を抱えている以上発生する費用が、固定費です。
【変動費】
変動費は製品を生産するとかかる費用です。
その製品を構成するための一部分になるものと言ってもいいかもしれません。
最も代表的なものは原材料費です。
原材料費は生産しなければ一切かからず、生産すればそれに必要な分の費用だけがかかります。
小売業の場合は、仕入れが変動費に該当します。
その他では、生産を外部に発注した場合の外注費などが変動費に該当します。
【従業員の給料や光熱費について】
従業員の給料については、上記では固定費としました。
例えば管理部門で働いている従業員の給料は製品を生産してもしなくても変化はないので、完全に固定費です。
しかし、例えば繁忙期にだけ採用するアルバイトなどの給料や生産に直接携わる従業員の給料などは変動費と考える場合もあります。
そして完全にどちらかに統一しなければいけないというわけではありません。
最も正確に費用を算出できるのは、その製品の製造を行う従業員の給料は変動費とすることですが、会社が大きい場合などはその分類も非常に複雑になってしまいます。
同じ部署内でも直接製品の製造を行っている人とそうではない人がいたりするためです。
よって、そのような場合は部署ごとに変動費と固定費に分類するなど、正確性と分類する手間のバランスを考慮して決定します。
また、光熱費についても同様です。
生産を行う際にかかる光熱費と生産に関係しない光熱費を分類できる場合(工場と本社機能が完全に分離している場合など)は固定費と変動費に分類します。
分類が不可能である場合は、通常は固定費と考えます。
なお、この分類は法的に定められた決まりなどはないため、管理会計を行う際に会社が独自で決定することとなります。
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