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日米の会計方針の違い

【日米の会計方針の違い】
日本には、アメリカに上場している企業もあります。

 

三菱UFJフィナンシャル・グループ、NTT、トヨタ自動車などがニューヨーク証券取引所に、IIJなどがナスダックに上場しています。

 

これらの企業では、アメリカで採用されている米国会計基準が採用されています。(日本会計基準と米国会計基準を両方作成している会社もあります。)

 

現在はアメリカでも国際会計基準(IFRS)への移行が進められていますが、日本と同様完全に移行しているわけではありません。

 

よって日本会計基準と米国会計基準、そして国際会計基準(IFRS)を比較してみると、それぞれの違いが分かって国際間の企業同士の比較もしやすくなります。

 

ここでは大まかにではありますが、日本会計基準(以下日本基準)と米国会計基準(以下米国基準)との違い、そして国際会計基準(以下IFRS)との違いを挙げてみましょう。

 

 

【日本基準と米国基準・IFRSの違い:経常損益区分の違い】
日本基準と米国基準で最も異なる点は、日本にある経常利益がアメリカにはない点です。

 

この点では米国基準はIFRSと同じです。(IFRSにも経常利益はありません。)

 

米国基準やIFRSでは、日本基準の営業外費用や特別損失などのうち、事業に関するものは営業費用として計上されます。

 

よって、米国基準やIFRSの営業利益は日本の営業利益よりも少なくなると言えます。

 

そして日本基準の経常利益は、米国基準の税引前利益に近いものになっています。

 

 

【日本基準と米国基準の違い:減価償却の違い】
日本基準と米国基準で、減価償却で認められる方法(定率法や定額法など)自体には大きな違いはありませんが、日本では定率法を採用する企業が多く、アメリカでは定額法を採用する企業が多くなっています。

 

このため、日本国内での比較でも言えることですが、単純に両者を比較すると、減価償却の方針の違いにより、利益には大きな違いが生まれる可能性があります。

 

 

【日本基準と米国基準の違い:その他の違い】
日本基準と米国基準のその他の違いとしては、まず「財務会計と税務会計の考え方の違い」があります。

 

日本では財務会計の収益や費用と税法上の益金や損金は、一部の違いはあっても基本的には共通です。

 

一部に違いがあるという程度で、その差異(一時差異)のために税効果会計という会計基準があります。

 

しかし米国基準の場合は、財務会計と税務会計が完全に独立しています。

 

財務会計の基準と税務会計の基準を一致させる必要はなく、それぞれで都合のよい基準を選ぶことができるのです。

 

例えば減価償却を財務会計上は定額法とし、税務会計上は定率法とすれば、投資家などには安定した利益が出ていることをアピールでき、税金面では投資の初期に減価償却費を増やすことで節税効果を高めることができます。

 

アメリカの財務会計で定額法が採用されているのは、このように税務会計とは無関係だからという側面もあると言われています。

 

この点はどちらかに統一しなければならない日本基準とは成り立ちが大きく異なります。

 

なおIFRSを採用している国については、財務会計と税務会計に差があるかどうかは国によって異なります。

 

また、「収益計上基準の違い」もあります。

 

収益計上基準は日本基準では引渡基準の中から出荷基準、納品基準などが選択できますが、米国基準では原則としては納品基準となります。

 

よって、日本基準で出荷基準を採用している会社と米国基準の会社を比較すると、米国基準のほうが収益の計上タイミングが遅いため、期をまたがることが多くなる可能性があるということになります。

 

 

【日本基準・米国基準とIFRSの違い:規則主義と原則主義の違い】
最後に日本基準と米国基準が同じでIFRSが違う点が、規則主義か原則主義かということです。

 

日本基準と米国基準では規則主義が採用され、IFRSでは原則主義が採用されています。

 

日本とアメリカは規則で決められた会計基準が多く、IFRSでは会社の判断にゆだねる部分が大きいということです。

 

今後、日本もアメリカもIFRSへの移行が進むと思われますが、現状ではまだ異なる部分があります。

 

現状で国際比較を行う場合は、上記のようなことに注意する必要があると考えましょう。

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