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安全余裕率と損益分岐点比率

安全余裕率と損益分岐点比率

【安全余裕率と損益分岐点比率】
安全余裕率とは、現在の売上高が損益分岐点売上高に対してどの程度の余裕があるかを見るための指標です。

 

安全余裕率は損益分岐点比率とともに使われることが多い指標です。

 

損益分岐点比率とは、現在の売上高に対する損益分岐点売上高の割合です。

 

安全余裕率や損益分岐点比率を確認すると、例えば売上があとどのくらい下がれば利益がゼロになるのかなどがわかります。

 

ここでは、安全余裕率と損益分岐点比率の計算方法を考えていきます。

 

 

【安全余裕率と損益分岐点比率の計算方法】
安全余裕率は、損益分岐点比率と一緒に考えたほうがわかりやすいので、両者をまとめて計算してみましょう。

 

安全余裕率と損益分岐点比率の計算方法は以下です。

 

安全余裕率 = (売上高−損益分岐点売上高)÷売上高×100

 

損益分岐点比率 = 損益分岐点売上高÷売上高×100

 

例えば以下の製品の場合を考えてみましょう。

 

売上高   15000
変動費   9000
固定費   5000
営業利益  1000

 

この場合の損益分岐点売上高は、以下となります。

 

変動費率 = 9000÷15000 = 0.6

 

損益分岐点売上高 = 5000÷(1−0.6)=12500

 

そして安全余裕率と損益分岐点比率は以下です。

 

安全余裕率 = (15000−12500)÷15000×100 ≒ 16.67%

 

損益分岐点比率 = 12500÷15000×100 ≒ 83.33%

 

安全余裕率は16.67%です。

 

よって、例えば来期に減収となったとしても、それが16.67%未満であれば損益はプラスを維持できるということになります。

 

そして上記をよく見ると、「安全余裕率+損益分岐点比率 = 100%」となっていることがわかります。

 

つまり、「安全余裕率が高い = 損益分岐点比率が低い = 安全である」ということです。

 

逆に言うと、安全余裕率が低い場合は必然的に損益分岐点比率が高く、その安全性は低くなるということです。

 

 

【安全余裕率と固定費と変動費の関係】
では今度は以下の例を考えてみましょう。

 

売上高   15000
変動費   6000
固定費   8000
営業利益  1000

 

売上高と営業利益は先ほどと同じです。

 

そして変動費と固定費の割合が異なります。

 

先ほどよりも固定比率が高く、変動費率が低くなっています。

 

この場合の安全余裕率と損益分岐点比率を考えてみましょう。

 

変動費率 = 6000÷15000 = 0.4

 

損益分岐点売上高 = 8000÷(1−0.4) ≒ 13333

 

安全余裕率 = (15000−13333)÷15000×100 = 11.11%

 

損益分岐点比率 = 13333÷15000 = 88.89%

 

先ほどの場合と比べると、こちらのほうが安全余裕率が低く、損益分岐点比率は高くなっています。

 

固定比率が高い場合は、同じ売上高で同じ利益でも、余裕度は少ないということです。

 

固定費という「変わらない」費用の存在は、変動費のように柔軟ではないため、売上の低下には弱いのです。

 

そして固定費は簡単に削減できる費用ではないため、慎重にその意思決定を行う必要があるということがこの比較を見てもわかります。

 

 

【安全余裕率を高める方法】
今見てきたように、安全余裕率は固定費の比率に影響を受けます。

 

よって、同じ売上高で安全余裕率を高めるためには、「固定費の削減」が重要なカギとなります。

 

固定費は設備や人件費などにかかるためになかなかその削減は難しいですが、いわゆる地政学リスクなどが高まり、市場の変化も著しい現在では、例えば技術力を必要としない工程については外注を使う、人件費が大きな割合となっている作業をアウトソーシングするといった工夫も必要です。

 

業種や今後の会社の経営方針などにもよりますが、このように「可能なレベルでの固定費の圧縮」を考えて安全余裕率を高め、いつ来てもおかしくない急激な市場変化に対応できる体制を作ることも重要な意思決定の一つです。

 

これまで見てきたように、損益分岐点は様々な角度から分析することで、その製品に関する様々なデータを採取することができます。

 

そしてその情報をSWOT分析やPEST分析、4P分析や3C分析などのマーケティング戦略に活かすことによって、意思決定を根拠のある精度の高いものとすることができます。

 

未来は誰にも見えませんが、これらのデータを使って従業員やステークホルダーに説明できる経営を行っていきましょう。

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