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不動産賃貸借契約書の概要とつくり方

不動産賃貸借契約書の概要とつくり方

今回は不動産賃貸借契約書の概要とつくり方について説明していきます。

 

この文章を読むことで、「不動産賃貸借契約とは」「不動産賃貸借契約の作成方法」について学ぶことができます。

 

不動産賃貸借契約とは

 

不動産賃貸借契約とは、ある不動産について、賃貸人が賃借人から賃料を受け取ることで使用を認めるという契約です。

 

賃貸人とは不動産を貸す人(不動産業者等)のことで、賃借人とは不動産を借り受ける人のことです。

 

不動産賃貸借契約で多数を占めるものは個人が居住用として家を借りる際の契約ですが、ここでは会社が店舗を賃貸で借りる際の契約を前提としています。

 

そして、契約書は賃貸人が作成して賃借人に内容を説明し、賃借人に異議がなければ契約するという流れを想定しています。

 

更新料について

 

不動産賃貸借の更新料に関する考え方は決して決まっているわけではなく、その解釈には様々なものがあります。

 

かつては消費者契約(個人が居住用に不動産を借りる契約)においては消費者契約法に違反しているという見解もあり、裁判も行われました。

 

しかし、2011年に最高裁によって、更新料は高額すぎるなどの事情がない限り有効であると判断されました。

 

この判決で妥当な更新料には正当性があると正式に認められることとなり、このことは社会的に大きな話題にもなりました。

 

しかし、現在では競争の激化や更新料に対する消費者心理の変化もあり、これまでの更新料を見直す、あるいはなくす賃貸人(不動産業者)も現れてきています。

 

不動産賃貸借契約を学ぶ上では、まずこのような状況を理解しておく必要があると言えます。

 

しかしながら、今回は会社が店舗を借りる場合を想定しています。会社が会社から店舗を借りるということです。

 

事業用で不動産賃貸借契約を結ぶ場合は、消費者契約には当たりません。

 

よって、上記の判決は更新料の是非に影響を及ぼすものではありません。

 

このため、ここでは更新料を発生させています。

 

(もちろん賃貸人の状況や賃貸人と賃借人の交渉などにより、更新料が発生しない契約もあります。)

 

連帯保証人について

 

不動産賃貸借契約では、一般に連帯保証人を必要とします。

 

店舗の契約の場合は契約の際に保証金を支払うことで、連帯保証人を必要としないケースもありますが、ここでは連帯保証人を必要とする内容にしています。

 

(連帯保証人についての詳細な説明は、「金銭消費貸借契約書の概要とつくり方」を参照してください。)

 

不動産賃貸借契約書のつくり方

 

不動産賃貸借契約書のフォーマット

 

【解説】
※第14条については、金銭消費貸借契約書の解説を参照してください。

 

※第15〜16条については、動産売買契約書の解説を参照してください。

 

タイトル

 

タイトルについては他の契約書同様、特にルールがあるわけではありません。

 

よって、ただ「賃貸借契約書」などとしても、問題はありません。

 

不動産賃貸借契約書を作成するのは賃貸人ですので、賃貸人が決定し、賃借人は異議がある場合に変更を依頼するということで問題はないでしょう。

 

前文

 

不動産賃貸借契約書の場合、一般的にはまず最初に賃貸人の情報、賃借人の情報、賃貸借店舗の情報が記載されます。

 

賃貸借店舗の情報欄には、所在地や名称、面積や構造などが記載されます。

 

賃料や共益費については、情報欄に記載する場合や条項としても記載する場合がありますが、今回は条項に記載しています。

 

そして、ほかの契約書と同じように、「誰と誰が契約するのか」についても明確にする必要があります。

 

今回は「賃貸人(以下「甲」)」と、「賃借人(以下「乙」)」としています。

 

賃貸人と賃借人は情報欄に載っている会社(あるいは個人)となります。

 

また、不動産賃貸借契約という言葉はその後も複数回にわたって表記されると考えられるので、「本契約」とし、この後は「本契約」という呼び方で統一しています。

 

契約内容

 

第1条

 

第1条では、目的を定義しています。

 

今回は店舗の賃貸借ですのでそれを明記し、店舗以外の使用を禁止しています。

 

不動産は店舗や居住用など、使用目的が限定されるのが一般的です。

 

予期せぬ使われ方をしないように契約書に明記しておきましょう。

 

第2条

 

第2条では、賃貸借期間を定義しています。

 

居住用の建物の一般的な賃貸借期間は2年です。

 

しかし、店舗の場合は賃貸借期間は賃貸人と賃借人の事情で決定することが多くなっています。

 

双方の事情を考慮しながら納得のいく賃貸借期間を設定しましょう。

 

第3条

 

第3条では、更新を定義しています。

 

まず、契約更新に関しての基本的な考え方は、他の契約と同じで自動更新ということになります。

 

契約を解除したい場合に相手方に事前に通知するということも同じです。

 

そして、今回の不動産賃貸借契約では、自動更新されたときには賃借人が賃貸人に更新料を支払うこととしています。

 

上述したように更新料については様々な考え方があり、現在は更新料を家賃に含めた形で徴収し、あえて更新料を発生させない場合も多いようです。

 

更新料については、該当店舗がある地域の賃料の相場などを考え、それが妥当なものであるかどうかを賃貸人と賃借人それぞれが判断することが必要となります。

 

そして、賃借人に納得がいかない場合などは、賃貸人と賃借人が話し合いを行って決定するのがよいと言えるでしょう。

 

第4条

 

第4条では、賃料を定義しています。

 

賃料は、一般的に月単位で設定されます。

 

支払い方法や支払手数料についても明記しておきましょう。

 

第5条

 

第5条では、賃料の改定を定義しています。

 

この条項はある意味賃貸人の保護条項です。

 

経済事情の変動や公租公課の増額などがある以上、家賃だけは一定ということになると、賃貸人にとっては不利になってしまいます。

 

よって、賃料を改定できる余地を残しておくために設けてある条項です。

 

しかし、この条項があるからと言って賃貸人の事情で改定できるわけではありません。

 

あくまでも外部事情の変化に合わせた改定のみが認められるということです。

 

賃料の改定は、あくまでも根拠がある場合に可能となるということを確認しておきましょう。

 

第6条

 

第6条では、共益費を定義しています。

 

共益費とは、店舗が他店(あるいは住居)などとともに共用で使用を認められている部分の管理のために、賃借人が賃貸人に支払う費用です。

 

例えば、共用部分にある電灯がまったく管理されていなければ問題ですので、通常は賃貸人が管理を行います。それに要する費用を賃借人がみんなで分担して支払うということです。

 

共益費も賃料と同じで、一般的に月単位で設定されます。

 

支払い方法や支払手数料についても明記しておきましょう。

 

第7条

 

第7条では、敷金を定義しています。

 

敷金とは、賃借人が賃料の支払いができなくなった場合などに備え、その担保として賃貸人が契約の際に賃借人から徴収しておくお金です。

 

敷金は通常無利息(賃借人が支払ったお金に利息が付いて戻ってくることはない)ですが、建前としては賃借人が家賃の未払いなどをしていない場合は全額返還されます。

 

しかし、実際にはその全額が戻されることはまれです。

 

退去の際に完全に入居したままの状態に戻して退去することは大変難しく、ほとんどの場合その後賃貸人が原状に戻すための費用がかかるためです。

 

そして、その費用は敷金から差し引かれることとなります。

 

このことは、「乙の責めに帰すべき損害金があるときは、甲はこれを控除してその残額を返還することができる」という表現で記載されています。

 

契約終了時にトラブルとならないよう、敷金についての記載は明確にしておく必要があります。

 

第8条

 

第8条では、付加使用料を定義しています。

 

付加使用料とは、光熱費などのその店舗を使用する際に付加的にかかる費用のことです。

 

これらの費用は設備が共用でない限りは、賃借人が支払うべき費用となります。

 

第9条

 

第9条では、造作を定義しています。

 

ここで言う造作とは、簡単に言うと店舗内の設備のことです。

 

居住用の住居とは異なり、店舗の場合はその店舗に合わせた設備の変更が必要になる場合が多くなります。

 

しかし、それを賃借人の自由に任せてしまうと、いくら現状回復後に明け渡されるとは言え、賃貸人が予期しない問題が発生する可能性が高まります。

 

そこで、賃貸人が店舗の造作を把握するために、造作について常に申告させる必要があるということです。

 

そして、正式に賃貸人の了承を受けるとすることが望ましいでしょう。

 

なお、造作は入居時だけではなく、賃貸期間中に変更されることも多々あります。

 

よって貸借期間中においても申告する必要があるという条文を盛り込んでおきましょう。

 

第10条

 

第10条では、転貸の禁止を定義しています。

 

転貸の禁止とは、賃借人のいわゆる「また貸し」を禁止する条項です。

 

賃貸人の知らない間に店舗が他社(もしくは他人)に転借されると、店舗の使用状況を賃貸人が把握できないことになりかねません。

 

契約は、あくまでも賃貸人と賃借人によってなされるものです。

 

第三者の介入を禁止する条項はぜひ入れておきましょう。

 

第11条

 

第11条では、契約解除を定義しています。

 

不動産賃貸借契約によって契約を解除する権利を持つ、すなわち相手側に非が発生することが多いのは、主に賃貸人です。

 

賃借人が何らかの問題を起こすことが多いということです。

 

当然賃借人にも契約解除の権利はあります。

 

しかし、不動産の場合は賃貸人の債務は不動産を提供するということだけです。

 

対象の不動産に何らかの瑕疵がない限り、契約後に賃貸人が何らかの契約違反を犯すことは考えにくいのです。

 

よって、ここでも賃借人が何らかの違反をした場合に賃貸人が解除できるという内容になっています。

 

賃貸人からすると、賃料の未払いなどでトラブルが起き、賃料が受け取れずに「実質貸していないと同じ状態」になってしまうと、その不動産を所有している意味がなくなってしまいます。

 

そのような事態を避けるため、契約解除の条件は明確にしておきましょう。

 

第12条

 

第12条では、損害金を定義しています。

 

上述したように、賃貸人は「実質貸していないと同じ状態」となることが最も避けたい事態です。

 

これは契約が終了した後にも当てはまります。

 

賃貸人としては契約終了とともに次の契約に向けた準備を行い、できる限り早い段階で次の契約を結んで賃料を得る必要があります。

 

しかし、契約終了後も賃借人から明渡がされない場合、次の契約に進めないことになります。

 

このため、その損害金を設けて、その間の賃料収入をカバーするということです。

 

明渡がスムーズに進まない場合を考慮して、ぜひ盛り込んでおきましょう。

 

第13条

 

第13条では、明渡を定義しています。

 

明渡は賃借人が現状に回復して行うのが原則です。

 

原状回復がされていない場合は賃貸人は敷金からその損害金を控除することができますが、その控除額をめぐってトラブルになることも多くあります。

 

造作などを取り外して現状回復した状態での明渡を明記しておきましょう。

 

後文

 

後文では、契約書の部数保管場所を明確にし、作成日を記入してそれぞれが記名捺印を行います。

 

不動産賃貸借契約は連帯保証人も契約当事者なので、契約書は3通作成され、賃貸人、賃借人、連帯保証人がそれぞれ1通ずつ保管する内容になっています。

 

これで契約書は有効となります。

 

必要で入っていない条文や不要な条文がないかを再度確認しましょう。

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