ビジネス法務(企業法務)とは
今回はビジネス法務について説明していきます。
この文章を読むことで、ビジネス法務の業務や役割について学ぶことができます。
インターネット時代のビジネス法務
近年、私たちの身の回りにはたくさんの様々なモノや情報があふれています。
また、インターネットの発達により、これまでは目にすることのなかったであろう情報が簡単に私たちの目に映るようになっています。
そして、これを会社経営という面から考えてみると、メリットとデメリットがあることがわかります。
≪メリット≫
・顧客の要望やニーズを汲み取りやすくなり、会社の新商品開発の選択肢が増える。
・必要なモノや情報が多角的に、安価で利用できることから、経営コスト削減につながる。
・情報を駆使することで、仕入れ先や販売先を分散化し、経営リスクを低減することができる。
≪デメリット≫
・特にサービスや情報産業などは、参入障壁が格段と下がり、競争が激化する。
・会社の不祥事や不適切な顧客サービスなどがあっという間に顧客に口コミで広がり、会社のイメージが左右される。
・仕入れ先や販売先の分散化により、業務が煩雑になる。
このようなメリットとデメリットは今や無視できるものではなく、会社経営の根幹を揺るがすケースさえ出てきています。モノや情報が会社経営を波の激しいものにしているということです。
このことは、会社がこれらのモノや情報に対してしっかりとした対応を行うべき時代になっていることを意味しています。
そして、そのような場合に必要となるのが、ビジネス法務(企業法務)に対する知識です。
法務に詳しくなければ、例えば口コミの拡散による会社への風評被害に対して、どのような対応を行えばいいのかがわかりません。
しかし、法務の知識を身に着けることで法令に準拠して毅然とした対応を行うことができ、社会的なイメージもアップさせることも可能になります。
ここでは、近年重要性を増す『ビジネス法務(企業法務)とは何か』について、その概要を理解していきましょう。
ビジネス法務の概要
【例題】
スマートフォンのアプリ開発を基盤事業とするZ社は、現在急速にその業績を伸ばしているベンチャー企業です。
創業者であるM社長は先見の明があり、Z社のアプリは利用者に圧倒的に受け入れられるとともに取引先企業も急速に増加しています。
M社長はもともと開発者出身であったため、アプリ開発ではカリスマ的な能力を発揮していますが、忙しさに忙殺されて計画的な企業経営には及んでいないというのが実情です。
そんな中、今度新しく取引が始まった会社から苦情が舞い込んできました。
「先月入金予定だった代金が入金されていない」というものです。
M社長は契約書のチェックを行っておらず、入金日を忘れてしまっていたのです。
「契約先が多くなりすぎて把握できない」M社長は悩んでしまいました。
【解説】
特に創業間もない会社や規模が小さな会社などでは、例えば他社との契約などを管理する部署や担当者が存在しないケースも多く見られます。取引先が限定されていたり、今後増やす予定がないといった場合は特に問題がないかもしれません。
しかし、Z社のように大きく成長しているケースなどは、「それでは回らない」という局面が多くなってきます。
このような事態を回避するのが、ビジネスにおけるビジネス法務(企業法務)です。
ビジネス法務(企業法務)の業務とは、以下のようなものを指します。
その業務は多岐にわたりますが、M社長が悩んでしまったことは、法務では「予防法務」に当たります。事前に契約書などを確認し、トラブルを防ぐということです。
会社組織としてビジネス法務(企業法務)を考えると、法務部という専用部署を置くのが理想です。
法務部がない場合はM社長のように契約書のチェックが場当たり的になる、あるいは相手企業が有利な契約になってしまうといったことが発生する可能性が高いためです。
そして、会社のコンプライアンスを考えた上でも法務の考え方は重要です。
コンプライアンスとは、一般に「法令遵守」などと訳され、法令に従うということです。
近年報道が絶えない、いわゆるブラック企業などはこのコンプライアンスが徹底されていないケースが多くなっています。
その理由の一つとして、「会社としての規則がない」ということが挙げることができます。
このような場合も、法務部あるいは担当者が規則を作成し、社内に周知することによって会社としての信頼性を高めることができます。
会社を経営するにあたり、法務を軽視することはそのまま信頼の失墜につながる可能性があります。ビジネス法務(企業法務)の役割は近年特に重要性を増していると言えるでしょう。
ポイント
・特に近年の会社経営は、モノや情報によって左右されるようになっている。
・その対処として、法務知識は必須になりつつある。
・コンプライアンスを考えた上でも法務は重要である。
・変化の大きな会社では、特に法務的な見地からトラブルを回避していく必要がある。
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