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契約・商取引をめぐる法務の全体像

今回は契約・商取引をめぐる法務の全体像について説明していきます。

 

この文章を読むことで、「法務部門の業務」「契約書の作成やチェックにおける注意点」について学ぶことができます。

 

法務部門の業務

 

法務部門は会社の様々な規則や行為について、それが法令に基づいているか、問題点はないかなどを検証する部署です。

 

これらの法務の仕事は大まかに紛争法務予防法務戦略法務などに分類されますが、会社を効率的にかつ安全に経営するためには予防法務に力を入れることが必要です。

 

予防法務によって紛争法務の時間を短縮、あるいはなくすことが可能となるためです。

 

そして、予防法務でも実務的にその中心となるのは契約書関係の業務です。

 

契約書をめぐる紛争法務を減らすべく、ここからは契約書の作成やチェックにおける注意点などを学習していきましょう。

 

契約書の作成やチェックにおける注意点

 

【例題】
スマートフォンのアプリ開発を基盤事業とするZ社の法務担当者であるA君は、まだ発展途上であるZ社の社内規則について様々な見直しを行い、数々の問題や課題に直面しました。

 

しかし、現場の状況を確認しながらそれらの問題や課題を一つずつ突き詰め、新たな社内規則について、進むべき方向性を見出すことができました。

 

そんな時、A君はM社長に呼ばれました。

 

M社長:
「君のおかげでようやくわが社の社内規則の土台作りもめどが立ちそうな状況になってきたよ。ありがとう。かなり法務の仕事も立て込んできたから、いよいよ来月から法務部門を立ち上げることにしたよ。人選も終わったからまもなく正式決定されると思う。」

 

そこで、M社長は新しい法務担当者として開発部門からS君を、営業部門からT君を抜擢したことを伝えました。

 

S君とT君は、二人ともA君の後輩にあたります。

 

これで総務部門と兼務する部長を含め、法務部門はまずは計4人でスタートすることとなり、ようやく組織として動き出すこととなりました。

 

M社長:
「S君とT君はまだ法務に関しては素人同然だ。よってまずは彼らにはわが社が結んでいる様々な契約関係について私と部長の下で担当してもらうことにしようと思う。ただ、ぜひ君にも先輩として彼らの教育をお願いしたいから、今後は契約についても対応できるようにしてほしいんだ。

 

まずは今わが社が結んでいる契約書について、そもそも契約書はどうあるべきか、ルールにはどんなものがあるのか、契約書に必ず書くべきこと、あるいは書いてはいけないことなどを学んでいってほしい。」

 

A君はわかりましたと答えました。

 

A君はようやく法務部門が立ち上がり、人員が強化されて嬉しい反面、契約関係についてはM社長に任せきりだったこともあり、ほとんど経験がないために不安になりました。

 

しかし、A君はS君とT君を教育しなければなりません。

 

A君はM社長と部長の元、契約関係の業務についても学んでいこうと思いました。

 

【解説】
契約書とは、契約を結ぶ会社同士の約束事を文章にまとめたものです。

 

当事者である会社同士で結ぶ契約は無数にあります。同じ会社同士の契約でも、契約内容が違えば当然ながら契約書の内容も違ってきます。

 

よって、契約書には完全に決まった形というものはありません。

 

一般的なテンプレートは作ることができますが、実際の契約書は契約内容や相手との関係性により、臨機応変に作成しなければならないのです。

 

そして、法令上義務付けられている場合を除き、契約書自体は必ず作成しなければならないというわけではありません。

 

一時的で、かつ小さな取引などでは契約書を作成しないケースも多々あります。

 

逆に言うと、契約書を交わすということはそれだけ会社にとって大切で、かつ失敗すると大きなリスクとなる場合に作成されるということです。

 

よって、契約書の内容には最新の注意を払う必要があります。たった一文を忘れる、あるいは表現を誤っただけで、後々大きな損害を被る可能性があるためです。

 

例題のZ社では新しく法務担当者となるS君とT君にまずは契約関連を担当させることになりましたが、最終的に契約書に問題ないと判断できるようになるには、経験も非常に大切になります。

 

契約は会社として行うために、契約書の不備はそのまま会社の信用にもつながってくるためです。

 

契約書の役割

 

上述したように、契約書は契約しようとする会社間の約束事です。

 

会社経営が法令に基づいて行われるように、契約は契約書に基づいて履行されます。

 

このため、契約書はその契約に関する法令のようなものであるということができます。

 

その証拠に、契約書の契約内容は、「条」、「項」、「号」と区分されます。この表記方法は法令の条文にならったものです。

 

もし法令に問題があって抜け道だらけになっていたとしたら、その法令はあってないようなものとなり、意味をなさなくなってしまいます。

 

これと同じで契約書にも不備があれば、相手にその不備につけこまれてこちらが思うようにはならない可能性が高くなります。

 

契約書は、その内容が「契約者間が順守すべき法令としての役割を持つ」と考え、常に不備がないものを作成しなければなりません。

 

契約書に盛り込むべき内容

 

契約書は個々の契約を文章にしたものですが、まず絶対に盛り込むべき内容が存在します。

 

それがないと契約が成立しない、あるいはあいまいになってしまうというようなことです。

 

内容を吟味することは契約書の基本とも言えますが、実際には契約書の詳細な確認を怠り、必要事項が盛り込まれていないものも多数存在します。

 

そのような契約書で問題が発生した場合は、いくら常識的なことだといっても相手先から「契約書に書かれていない」と突っぱねられることになります。

 

契約書のルール

 

契約書には、これまでの慣習などからルールが存在します。

 

基本的には一般的なビジネス文書と同じく、読みやすく簡潔な文章とするようにします。

 

そして、契約書である以上は、使用する用語が何を指してあるかが明確になっていること、あるいは権利や義務をはっきりさせることなどが必要です。

 

さらに、どのような場合にその契約は解除とできるのか、そのケースについても記載する必要があります。一度契約したら解除できないとなると、会社はその契約に縛られ続けることになるためです。

 

契約者の一方、あるいは双方が不必要、あるいは不利な状態で契約が続いてしまうことがないよう、解除条件を決めておくこともルールの一つです。

 

契約書のトラブル

 

契約は、原則として今後に関するものです。

 

しかし、未来については誰にもわからないため、あらゆる可能性に関して契約者間で合意を取り付けることが契約書のトラブルを回避する秘訣となります。

 

例えば、想定していなかったようなトラブルが想定した場合の責任分担、損害賠償などについても明記する必要があるということです。

 

そして契約書だけに限ったことではありませんが、誤字脱字にはくれぐれも注意が必要です。

 

誤字脱字は契約書の意味が変わる可能性があるだけではなく、そのような契約書を作成する会社の信用にも関わってきます。

 

テンプレートを使ったことによる修正忘れなどがないように気を付けましょう。

 

まとめ

 

・契約書は、契約する会社間の法令のようなものである。

 

・契約書に書いていないことは相手に主張できないため、例え常識的なことでも盛り込む必要がある。

 

・契約書の書き方にはある一定のルールがあり、用語の明確化や権利義務の確定、解除条件などが必要である。

 

・契約書では契約期間中のトラブルを想定した場合の責任分担、損害賠償などを明確にしておく必要があり、かつ誤字脱字にも気を付けなければならない。

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