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トラブル防止の心構え

今回はトラブル防止の心構えについて説明していきます。

 

この文章を読むことで、「会社が直面するトラブルを防止するために必要なこと」について学ぶことができます。

 

会社が直面するトラブル

 

トラブルの防止は、法務担当者にとって非常に大切な仕事です。

 

しかしながら、トラブルが発生しない会社はどこにもありません。

 

仮にトラブルがまったく発生しない会社があるとしたら、それは「業務を何も行っていない会社」であると言っても過言ではないでしょう。

 

会社を経営していくということは、それくらいトラブルと対峙していくことでもあるのです。

 

ただ、トラブルは経験によって最小限にしていくことが可能です。

 

「いつどこで何をしておけばよいか」ということを、法務担当者だけではなく全社員が共有することで、リーガルリスクを最小限に抑えることができます。

 

それではトラブル防止の心構えについて考えていきましょう。

 

【例題】
スマートフォンのアプリ開発を基盤事業とするZ社の法務担当者であるA君は、M社長から人員増強に関する話を聞きました。

 

現在A君をはじめとするS君、T君は様々な業務を担当しています。

 

よって毎日が多忙となり、特に後輩のS君、T君にはこのところ疲労の色が見て取れます。

 

このため、人員の増強はA君にとって大変ありがたいことでした。

 

疲労によって法務部門がミスをしてしまうと、業務担当者、そして会社全体に大きな迷惑をかけてしまうからです。

 

そして、M社長は今回の人員増強では「外部から法務経験者を採用する方針である」ということも言っていました。知的財産などについても知識がある人を採用したいとのことでした。

 

M社長は、「新しい担当者には主に今後発生するであろうトラブルについての予防法務や紛争処理業務を担当してもらうつもりだ」と話していました。

 

A君は今は法務担当者として立派に活動していますが、A君、S君、T君はいずれも他部署から異動してきたため、経験が浅いことに対する不安もありました。

 

A君は今後、新しい担当者とともに、トラブルを生みにくい法務部門にしていこうと思いました。

 

【解説】
例題のZ社長は、今後発生するであろうトラブル対応のために、法務経験者を新たに採用しようとしています。

 

事業の拡大などで今後トラブルが起こると予想される場合、経験のある担当者を採用することはとても良い判断と言えます。

 

なぜなら、トラブルを防止する、あるいはトラブル対応で交渉する際は、やはり法務の「経験」がものをいうということになるためです。

 

もちろん、トラブルを社内で対応せずに弁護士に一任するというのも一つの方法です。

 

しかし、例えば相手先の会社とトラブルになった場合、いきなり弁護士に依頼するというのは会社としても決断しにくいものです。

 

アメリカなどとは違い、そもそも日本には裁判を頻繁に行うという感覚はなく、どんな会社でも最初は当事者同士の「円満な解決」を試みようと考えるためです。

 

そして、訴訟を起こすには、何といっても労力がかかります。

 

裁判にかかる時間だけではなく、その費用や携わる人員にかかるコストも相当なものとなります。

 

また、弁護士に一任すると、例え訴訟には至らなくても相手は身構えてしまい、却ってお互いが目指していた円満解決には至らない可能性があります。

 

このため、まずは社内の法務担当者が解決を図ることが望ましいのです。

 

トラブルを防止するために

 

例題のM社長の話にも合った通り、トラブルを防止するにはまず「予防法務を適切に行うこと」が必要です。

 

具体的には、以下のような作業を継続することが必要となります。

 

・契約書の作成・審査を厳密に、かつ後日誤解が生じないように行う。

 

・トラブルとなる可能性がある取引先や顧客との約束や会話などを可能な限り証拠として残しておく。

 

・トラブルになった際にどのように行動すればよいかをあらかじめシミュレーションしておき、何かあった際に慌てないようにする。

 

原則として、会社の取引は契約書などの「証拠」を元に行います。

 

仮に口約束だけで取引が決まったとしても、それは後日覆される可能性があります。

 

現実的には経営トップ同士などの会話で決まることもありますが、実際に業務に移す際にはその会話内容は何らかの形で書面化されます。

 

このような「証拠類を集め、常に経験をもとに精査しておくこと」がトラブル防止の秘訣と言えるでしょう。

 

まとめ

 

・会社を経営していくということは、トラブルと対峙していくこととも言える。

 

・トラブル防止の最初の手段としては、社内の法務担当者が解決を図ることが望ましい。

 

・トラブル防止の秘訣は、証拠類を集め、常に経験をもとに精査しておくことである。

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