経営を学ぶ-経営学・MBA・起業・ネットビジネス・リアルビジネスなど

登記の仕組みと手続き

登記の仕組みと手続き

今回は登記の仕組みと手続きについて説明していきます。

 

この文章を読むことで、「登記の概要」「登記事項証明書の種類と内容」について学ぶことができます。

 

登記とは

 

会社は、どんな業種であれ自社だけで経営を行っていくことはできません。

 

例えば、小売業であればまず商品を仕入れてそれを顧客に販売します。よって、小売業者は常に「どんな商品をどこから仕入れればよいか」という課題を抱えています。

 

競争の激しい現在では、「より良い商品をより安く」仕入れなければ、消費者に対し魅力のある販売を行うことが難しくなります。

 

よって「取引先をどう選ぶか」という判断は、これまでに増して重要になってきていると言えます。

 

そしてそんな時、偶然良い商品を格安で仕入れることができる卸売業者に出会えたとします。そのような条件で売ってくれる卸売業者は他には存在しません。

 

しかし、その卸売業者はこれまで取引をしたことがない相手です。本当に商品を提供してくれるかどうかわかりません。

 

仮に代金を支払っても、本当にその商品を納めてくれるのかどうかわからないのです。

 

さらには、その卸売業者は本当に存在しているのかすらわかりません。

 

会社を経営するということは、このようなあらゆるつながりに対して、常にリスクを背負っているということになります。しかし、それでは誰を信用してよいのかわからずに取引に迷ってしまったり、慎重になるあまりにせっかくの機会を逃してしまうことになるかもしれません。

 

そのような「会社の存在を法によって認めよう」という制度が「登記」という制度です。

 

登記を見ると卸売業者が確かに存在し、公に認められているということが確認できるということです。

 

なお、登記は不動産登記などがよく知られていますが、ここでいう登記とは「会社を公的に認めてもらう」という商業登記です。

 

登記の仕組みと手続き1

 

【例題】
スマートフォンのアプリ開発を基盤事業とするZ社のM社長は、会社の成長によって法務関係の業務が煩雑となってきたため、現在はそれらを自分のもとに一元化し、すべてを自分で行うようにしています。

 

業務を一本化することで、経営を安全に効率よく行おうと考えたためです。

 

しかし、このところ多忙な日々が続き、やはり法務部門を作らなければと考え始めています。ただ、新しい組織を作るのは現在の人員体制では難しく、時間やコストもかかります。

 

そこで、M社長はまずは実務ができる担当者を置こうと考え、現在総務部門の仕事をしているA君に目を付けました。

 

A君は総務部門に異動する前はアプリの開発部門に在籍しており、会社の様々な業務に精通しています。

 

また、日頃から勤勉で何事も前向きに責任を持って周囲との調和を考えることができ、かつ、こつこつ作業を行うことができるので、法務関係を任せるには最適な人物です。

 

社内のA君に対する評価は高いため、A君を法務担当者とするには否定的な意見もありましたが、M社長は今後の会社のためであると根気よく社内のコンセンサスを取り、まずはA君を「総務部門内での法務担当者」とすることにしました。

 

A君は最初は戸惑った様子でしたが、社長に直々に抜擢されたこともあり、気持ちを切り替えてM社長のレクチャーを受けながら法務関係の業務を開始することにしました。

 

まず、M社長はA君に、既存の取引先について学ぶよう指示をしました。A君はどのような会社が取引先となっており、その内容はどうなっているかを法務担当者として確認していきました。

 

そしてあるとき、A君はM社長にある提案をしました。

 

「取引先の確認には登記簿謄本を使っていることはわかりました。しかし、取引先によって現在事項証明書で確認している場合もあれば、履歴事項証明書で確認している場合もあります。これはある意味不統一なので、今後はすべて履歴事項証明書で統一したほうが良いと思うのですが。」

 

M社長はA君の提案に驚きました。A君はあっという間に法務担当者として立派に活動を始めています。

 

M社長はA君を担当者にしてよかったと思いました。

 

【解説】
上述したように、特に取引の開始時などに会社の存在確認のために使用されるのが登記簿謄本です。

 

登記簿謄本、登記簿抄本とは、実際に登記されている内容の全部または一部のコピーという意味で、法務局によって認証されているものです。

 

現在は登記の情報はコンピューターで管理されるようになっているため、その呼び方も変わって登記簿謄本は「全部事項証明書」、登記簿抄本は「一部事項証明書」と呼ばれます。

 

そして、これらを総称したものが、「登記事項証明書」です。

 

これに対して、「登記事項要約書」というものもありますが、登記事項要約書は登記事項の要約を示したものとなっており、法的な証明力はありません。

 

よって、登記の確認を行う際は、登記事項証明書で行うことがよいと言えます。

 

なお、登記申請や交付申請は会社が所在する地域の法務局で行います。

 

そして、会社の登記記載事項、例えば取締役が変更されたなどの場合は、原則として2週間以内に行わなければなりません。

 

登記事項証明書の区分け

 

登記事項証明書は区に分かれており、それぞれの区に書かれている主な内容は以下の通りです。

 

商号区

 

商号区には、商号(社名)、会社成立の年月日などが記載されています。

 

目的区

 

目的区には、会社の目的が記載されています。

 

株式・資本区

 

株式・資本区には、単元株式数、発行可能株式総数、発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数、資本金の額、その他株式又は資本金に関する事項などが記載されています。

 

役員区

 

役員区には、取締役の氏名、代表取締役の氏名及び住所、その他役員等に関する事項などが記載されています。

 

会社状態区

 

会社状態区には、会社の状態、例えば機関として取締役会や監査役などが設置されていればその旨が記載され、株式会社の存続期間又は解散の事由などが定められていればその旨が記載されます。

 

登記記録区

 

登記記録区には、登記記録を起こしたあるいは閉鎖、復活した事由及び年月日が記載されます。

 

上記は登記内容の代表的なものですが、上記の中でも商号(社名)や会社の目的、取締役の氏名、代表取締役の氏名及び住所などは必ず記載しなければなりません。

 

登記事項証明書の種類と内容

 

例題でA君が指摘したように、登記事項証明書には大きく分けて「現在事項証明書」と「履歴事項証明書」の2つがあります。

 

これらはその名の通りで、「現在事項証明書」とは現在の登記事項を証明したもので、「履歴事項証明書」とは交付請求があった日の3年前の日の属する年の1月1日(これを基準日と呼びます。)から請求があった日までの間に抹消された事項をすべて記載したものです。

 

「履歴事項証明書」は、現在事項証明書には記載されない過去の履歴が記載されるという意味で、より詳細な情報を得ることができることになります。

 

よってA君が指摘したように、取引先の状況を確認する際は履歴事項証明書で確認することがより望ましいということになります。

 

例えば、会社の目的がころころと変わっている場合は、その会社が何を行っているのかについての信頼性が疑問視されることになるためです。

 

逆に言うと、自社の登記事項についても相手先からそのようなチェックをされる可能性があるということになります。

 

よって、会社の経営(定款や登記の内容)は信頼性を強化するためには長期的目線で考える必要があるのです。

 

登記の仕組みと手続き2

 

まとめ

 

・会社の存在を法的に証明したものが登記簿謄本、抄本である。

 

・登記申請や交付申請は、それぞれの管轄の法務局で行う。

 

・現在は登記簿謄本、登記簿抄本は総称して登記事項証明書と呼ばれており、登記簿謄本は全部事項証明書、登記簿抄本は一部事項証明書と呼ばれている。

 

・登記事項証明書を要約したものは登記事項要約書と呼ばれているが、登記事項要約書には法的拘束力はない。

 

・登記事項証明書には主に現在事項証明書、履歴事項証明書がある。

 

・現在事項証明書は過去の情報が記載されないため、会社の本当の姿を確認するには履歴事項証明書が適している。

関連ページ

ビジネス法務(企業法務)とは
ビジネス法務(企業法務)担当者の心構え
法務部門の仕事内容と業務プロセス
紛争処理法務とは
予防法務とは
戦略法務とは
企業不祥事と法令違反
会社組織をめぐる法務の全体像
取締役の義務と責任
株主総会の仕組みと運営(開催手続き、議決権、計算書類、事務処理)
株主代表訴訟と解任、違法行為差止め
事業再編・M&Aの仕組み(合併、事業譲渡、会社分割)
倒産制度の仕組み(民事再生、破産、解散、清算)
雇用関係をめぐる法務の全体像
法定労働時間と変形労働時間
割増賃金とは
人事異動(配置転換・転勤・出向・転籍)
懲戒処分・解雇・退職勧告とそれらをめぐるトラブル
職場のメンタルヘルス対策
職場でのセクハラ・パワハラと企業の責任
安全衛生管理とは
残業をめぐるトラブル
労働組合への対応
契約・商取引をめぐる法務の全体像
契約書の役割と重要性
契約書に必ず盛り込むべきこと
契約書の重要条項とそのルール
契約書でトラブルが起こりやすい箇所
公正証書の活用
契約書審査業務の手順
ビジネス文章の書き方
契約書作成の基本
動産売買契約書の概要とつくり方
動産売買契約書のフォーマット
継続的売買取引基本契約書の概要とつくり方
継続的売買取引基本契約書のフォーマット
業務委託契約書の概要とつくり方
業務委託契約書のフォーマット
ソフトウェア開発委託契約書の概要とつくり方
ソフトウェア開発委託契約書のフォーマット
金銭消費貸借契約書の概要とつくり方
金銭消費貸借契約書のフォーマット
代理店契約書の概要とつくり方
代理店契約書のフォーマット
秘密保持契約書の概要とつくり方
秘密保持契約書のフォーマット
不動産賃貸借契約書の概要とつくり方
不動産賃貸借契約書のフォーマット
雇用契約書の概要とつくり方
雇用契約書のフォーマット
労働条件通知書のフォーマット
合併契約書の概要とつくり方
合併契約書のフォーマット
法務における交渉のやり方
電子商取引と電子契約
消費者保護に関する法律
不正や事故をめぐる法務の全体像
不正への対処法
製造物責任法(PL法)とリコール
個人情報保護とデータ流出
暴力団対策法とは
債権回収・訴訟・執行・保全をめぐる法務の全体像
トラブル防止の心構え
債権管理と債権回収
弁護士を活用しよう
品質クレーム紛争の解決
民事訴訟というゲームのやり方
知的財産権とは
特許権の仕組みを理解する
実用新案権の仕組みを理解する

HOME メルマガ登録 プロフィール お問い合わせ