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合併契約書の概要とつくり方

合併契約書の概要とつくり方

今回は合併契約書の概要とつくり方について説明していきます。

 

この文章を読むことで、「合併契約書とは」「合併契約書の作成方法」を学ぶことができます。

 

合併契約書とは

 

合併契約書とは、会社が合併する際に双方の会社間で結ばれる契約書です。

 

会社の合併には新設合併と吸収合併とがありますが、大半の場合は吸収合併です。

 

よって、ここでも吸収合併を前提としています。

 

(合併についての詳細な説明は、「事業再編の仕組み(合併、事業譲渡、会社分割)」を参照してください。)

 

会社が合併する場合は、株主や債権者などのステークホルダーに大きな影響を与えることが考えられます。

 

このため、会社法によって吸収合併契約を結び、以下の事項を定めることが義務付けられています。

 

1.存続会社及び消滅会社の商号及び住所

 

2.存続会社が消滅会社の株主や社員に対して株式その他の金銭等を交付するとき

 

・合併対価が存続会社の株式である場合には、当該株式の数又はその数の算定方法

 

・合併対価が存続会社の株式である場合には、存続株式会社の資本金及び準備金の額

 

・合併対価が株式以外の財産である場合には、その財産の内容及び数若しくは額

 

3.効力発生日

 

(簡単にするため、消滅会社は新株予約権を発行していないことを前提としています。)

 

また、合併する際の手続きとして、双方の会社で株主総会を開き、合併について特別決議することも義務となっています(簡易合併や略式合併は除きます)。

 

なお、今回の合併では存続会社は消滅会社の株主に対し、自社の株式を交付することを前提としています。

 

合併契約書のつくり方

 

合併契約書のフォーマット

 

【解説】
※第11〜12条については、動産売買契約書の解説を参照してください。

 

タイトル

 

タイトルについては他の契約書同様、特にルールがあるわけではありません。

 

合併契約書の場合は会社自体の未来を変更する契約書なので、何度も同じような契約を結ぶということはまずありません。

 

そのような意味では他の契約書と間違えるということは考えにくい契約書です。

 

よって双方が合意できるタイトルであれば問題はないでしょう。

 

前文

 

前文では「誰と誰が契約するのか」を明確にします。

 

今回は存続会社と消滅会社が存在するので、少なくともその点は間違えないようにしましょう。

 

また、合併契約という言葉はその後も複数回にわたって表記されると考えられるので、「本契約」とし、この後は「本契約」という呼び方で統一しています。

 

契約内容

 

第1条

 

まず第1条で、合併を定義しています。

 

今回の合併では一方が存続会社となり、一方が消滅会社となることが記載されています。

 

吸収合併であることの宣言です。

 

また、存続会社及び消滅会社の商号及び住所は明記することが義務付けられているため、存続会社と消滅会社それぞれの商号と住所がそれぞれ記載されています。

 

第2条

 

第2条では、合併に際して発行する株式を定義しています。

 

今回は存続会社が消滅会社の株主に株式を交付する形のため、「合併対価が存続会社の株式である場合には、当該株式の数又はその数の算定方法」を記載することが義務付けられています。

 

ここではその数として「普通株式〇〇〇〇株を発行」すること、算定方法として「乙の株式1株につき、甲の株式〇〇株の割合で割当交付」することの双方が記載されています。

 

第3条

 

第3条では、増加すべき資本金及び準備金等を定義しています。

 

第2条と同様、今回は存続会社が消滅会社の株主に株式を交付する形のため、「合併対価が存続会社の株式である場合には、存続株式会社の資本金及び準備金の額」を記載することが義務付けられています。

 

よって、資本金と資本準備金、任意積立金を記載しています。

 

第4条

 

第4条では、合併承認総会等を定義しています。

 

合併する際は、特別株主総会で決議する必要があるため、その日程を記載しています。

 

今回は存続会社と消滅会社が同日に行うこととしていますが、もちろん違う日でもかまいません。

 

日程が異なる場合は、それぞれの開催日時を記載しましょう。

 

第5条

 

第5条では、従業員の処遇を定義しています。

 

合併の場合、存続会社は消滅会社を丸ごと取り込む形になるため、従業員は自動的に存続会社の従業員となります。

 

よって、この条項はその宣言になります。

 

そして、「契約関係及び条件等」については契約段階では未定なケースが多いですが、決定している場合はその内容を記載しておいたほうがよりよいと言えるでしょう。

 

第6条

 

第6条では、合併財産の承継を定義しています。

 

従業員の場合と同様、消滅会社の財産は自動的に存続会社の財産となります。

 

よって、記載しなくてもよいと言えばよいのですが、どの時点での計算書をもって消滅会社の財産とするかを明確にしておいたほうが承継がスムーズになります。

 

トラブル防止のためにも記載しておいたほうが望ましいでしょう。

 

第7条

 

第7条では、会社財産の管理等を定義しています。

 

合併は会社の枠組み自体が変更となる大きな組織再編のため、契約後にはそれぞれがしっかりと財産管理をしなければなりません。

 

というのも、例えば消滅会社が契約後に故意に高価な財産を不当に安い価格で売却してしまったような場合、消滅会社の価値は下がり、財産を継承する存続会社にとっては大きな痛手となります。

 

そのような問題の発生を防ぐため、双方が「善良なる管理者の注意をもってその業務の執行及び財産の管理、運営を行わなければならない」としています。

 

そして、会社に大きな影響を与える行為については、存続会社と消滅会社が協議して行うこととしています。

 

思わぬトラブルを防ぐためにぜひ明記しておきましょう。

 

第8条

 

第8条では、表明保証を定義しています。

 

表明保証とは、双方が相手に対して提出した自社の価値が適正であることを表明し、保証するためのものです。

 

会社の価値は、複雑な計算で決まります。

 

例え存続会社が事前に消滅会社の価値を入念に事前計算したとしても、実際には見えない部分が存在します。

 

そして、例えば計算書上に表れない債務(簿外債務)などがあれば、それが後になって判明してしまうこともあります。

 

消滅会社にそのような債務がないことを保証しているのです。

 

しかし、難しい問題となるのが、仮に合併後にそのような簿外債務が発生した場合は、いくら契約時に表明保証したとしても意味がないと考えられることです。

 

なぜなら合併後は一つの会社になってしまっているため、結局は存続会社がその債務を処理しなければならないためです。

 

よって、簿外債務が疑われる場合は、効力発生日までに見つけ出すことが何より大切になります。

 

ただ、ここでは効力発生日までに簿外債務が見つかる可能性と、不正の抑止という意味合いを考慮して、表明保証を記載しています。

 

第9条

 

第9条では、合併期日を定義しています。

 

効力発生日である合併期日も、契約書で定めることが義務付けられています。

 

合併期日はその日で2つの会社が1つになる日です。この日を境に、もう元には戻れないこととなります。

 

合併では様々な調査や準備が発生することを考慮して、慎重に決定しましょう。

 

第10条

 

第10条では、合併条件の変更及び合併契約の解除を定義しています。

 

万が一、契約後に何らかの予期しない不測の事態が発生した場合は、その不測の事態の深刻さにによっては会社の価値が大きく変わる可能性があります。

 

そのような深刻な状況の場合は、双方の会社が合併後の状況をこれまで通りの想定では見通せなくなることがあります。

 

そのような場合に備えて、合併条件を変更できる、あるいは解除できる条項を盛り込んでおきましょう。

 

特に現在は、どこで何があってもおかしくないという政治経済状況です。

 

そのような状況を常に考慮しておきましょう。

 

後文

 

後文では、契約書の部数保管場所を明確にし、作成日を記入してそれぞれが記名捺印を行います。

 

これで契約書は有効となります。

 

必要で入っていない条文や不要な条文がないかを再度確認しましょう。

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