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オプションを理解する その1

オプションを理解する その1

【オプションを理解する】
ここからはオプションというものの概念について学んでいきましょう。

 

〈例〉
自動車部品製造会社であるS社に勤めるMさんは、これまでファイナンスについて、リスクやリターンの考え方、事業や会社の価値評価などについて学んできました。

 

例えばNPV(正味現在価値)で評価を行う場合は、まず大前提として将来のキャッシュフローを予測します。

 

そしてその予測したキャッシュフローに基づいて現在価値を求め、プラスかマイナスでその意思決定を行います。

 

しかし、近年の経済環境の変化や技術の進歩、そして消費者志向の変化などはどんどん高速になりつつあります。

 

Mさんはそのような状況の中で、ふと将来のキャッシュフロー予測を一定のままで計算をしてしまっていいのだろうかと感じました。

 

変化が激しいときには、予測は当たりにくいのではないかと感じたのです。

 

そこでMさんは、このところ仕事が落ち着いてきていると話していたNさんにそのことについて聞いてみました。

 

「確かに君の言うとおりだね。」

 

とNさんは言いました。

 

「NPVには「未来のキャッシュフローは決定している」という前提がある。
もちろんファイナンス理論はあくまでも意思決定を円滑にするためのツールだから、一定の前提は必要だし前提を作ることが間違っていることとは言えない。
でも実はもっと流動的に考える方法もあるんだ。
それがオプションという考え方だ。
実は僕も今回のプロジェクトを意思決定するために、このオプションの考え方を取り入れて意思決定をしたんだ。
オプションにはいろいろな考え方があって複雑だけど、特に将来像が見えにくくて不確実性の高い事業については、オプションの考え方を知ることは役に立つと思うよ。」

 

Mさんはやはりまだ自分の知らない、これまでとは異なる考え方が存在するのだと知り、オプションについて学んでみようと思いました。

 

 

【オプションとは】
ここからは、「オプション」について学んでいきます。

 

オプションとは、日本語では「選択する権利」という意味になります。

 

NPVが「将来のキャッシュフローは一定と考えて意思決定を行う」という考え方であるのに対して、「ある時点で選択しながら意思決定を行う」というのがファイナンスでいうところのオプションの概念です。

 

そしてオプションは事業評価以外にも、金融商品として存在しています。

 

そして事業評価でオプションを採用するということは、実際はこの金融商品にあるオプションの考え方を応用しています。

 

なお、事業評価でのオプションは、一般的にはリアルオプションと呼ばれています。

 

リアル(実資産)でオプション理論を採用するという意味です。

 

ここではリアルオプションを理解するため、まずは金融商品としてのオプションを学んでいきましょう。

 

 

【金融商品としてのオプション】
金融商品のオプションとは、デリバティブ商品の一つです。

 

デリバティブとは、日本語では「派生的な」という意味で、デリバティブ商品とは現物の株式などの取引から派生した商品という意味です。

 

現物をそのまま売買するのではなく、現物の価格などを元にして派生して生まれた商品を売買するというイメージです。

 

デリバティブと呼ばれる金融商品は多数あり、最も有名なものは先物です。

 

そしてその中の1つがオプションということです。

 

オプションはその名の通り、権利を売買することを言います。

 

オプションは様々な商品から派生していますが、ここでは株式のオプションについて考えてみましょう。

 

これまで学んだように、株式は日々株式市場で売買され、株価も毎日変動しています。

 

しかし当然のことながら、未来の株価がどうなるかは誰にもわかりません。

 

この未来の不確実な株価に対して、「買う権利」、あるいは「売る権利」を売買するのがオプションという商品なのです。

 

 

【オプション取引で知っておきたい用語】
ここで、オプションを学ぶ際に知っておきたい用語をまとめておきましょう。

 

 

コール:買う権利のことです。

 

プット:売る権利のことです。

 

行使価格:オプションを行使できる価格(株式なら株価)のことです。

 

行使期間:オプションの権利が有効な期間のことです。

 

満期日:オプションの権利を行使できる日のことです。

 

プレミアム(オプション価格):オプションを売買するときに上乗せされる価格のことです。

 

 

なお、オプション価格は行使価格と混同される場合が多いため、ここではプレミアムという表現を使用していきます。

 

例えば、「コールの買い」と言うと、「(満期日に)買う権利を買う」ことを指し、「コールの売り」というと、「(満期日に)買う権利を売る」ことを指します。

 

プットも同様です。

 

なお、オプションには行使期間の間はいつでも権利を行使できるアメリカンタイプ、満期日だけ権利を行使できるヨーロピアンタイプなどがあります。

 

今回はヨーロピアンタイプを例に考えます。

 

 

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