M&A(企業の合併・買収) その2
【M&Aが行われやすいケースとは】
近年は市場変化の高速化によって、特に大企業を中心としてM&Aによって「素早く」自社のセグメントを広げていこうという動きが広まっています。
そしてそのような場合の買収対象は大企業だけではなく、中小企業やベンチャー企業なども対象となっています。
このような動きの中で、「買収されやすい」会社の特徴も変化しつつあります。
ここで、そのような買収されやすい会社の特徴を考えてみましょう。
まず最も買収のターゲットとなりやすい会社は、「強固なブランド」を持っている会社です。
ブランドは例えば経営者が変わってもそれが変わることはなく、消費者への認知度が変わることもありません。
そのようなブランドは、経営を刷新するあるいは豊富な資金を持つ会社が買収することにより、これまで以上にその認知度を高める、または買収する側の会社とコラボレーションさせることで、より消費者に浸透させることが可能となるケースがあります。
近年は、M&Aによってその「ブランド」を買うということが多くなっているということです。
次にターゲットとなるのは、「固定資産を豊富に持つ会社」です。
例えば歴史の長い会社で、有効利用されていない土地やビルを多く所有している場合などは、それを活用する、あるいは売却することによって、経営効率が上がる可能性が高くなります。
あるいは、特殊な機械設備が必要な事業でその設備を多く保有している場合なども、新規に事業を始めるのに比べて、M&Aで会社ごと買収することで一気にその事業に着手することができるようになります。
そしてこのような固定資産を豊富に持つ会社は、比較的それらの資産をうまく活用できていないケースが多いとも言われています。
特に歴史の長い会社は、その「伝統」が経営の効率化を阻害していることが多いのです。
このため、新たな風を吹き込むことで組織が活性化する場合が多くなるため、買収対象となりやすいのです。
しかし、ここで考えなければいけないことは、経営陣や専門的な知識や技術力を持つ社員の去就です。
例えば買収対象となる会社の経営者がカリスマ経営者で、買収によってそのカリスマ経営者が抜けることで企業価値が損なわれると考えられる場合、買収リスクは大きく跳ね上がることになりますので、買収対象にはなりにくいと言えます。
【M&Aの実情】
これまで見てきたように、M&Aはシナジー効果をねらって買収後の企業価値を「1+1 > 2」にしようという戦略です。
このため、買収価格にはシナジー効果が発揮されるという前提で一定のプレミアムがつけられることが多くなっています。
しかし、ファイナンス面から考えても、定性的に考えても、その未来が保障されているというわけではありません。
実際には「うまくシナジーを発揮できなかった」というケースも多数存在します。
また、M&Aは「買収する側」に焦点が当たりがちですが、現在は当初から「会社を売却すること」を考えて創業するというケースも見られるようになっています。
例えばソフトウェアなどで一定のシェアを獲得した時点で、そのソフトウェアを含めた事業を売却し、すぐにまた次の事業を開始するような場合がそれに当たります。
このような手法は事業を継続することで過当競争になった場合に、売上が減少するリスクを最小限に防げる「売却する側」から見たM&Aの手法です。
近年のM&Aは、非常に多様化しているということを知っておきましょう。
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