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財務政策を理解する

【財務政策とは】
ファイナンスの重要な要素の1つに、財務政策があります。

 

財務政策とは、会社のいわば「マクロ的なお金の管理」のことを言います。

 

これまで学んできたそれぞれの「事業」に費やすお金の管理をミクロ的と考えるとすると、「全社的」なお金の管理が財務政策と呼ばれるものです。

 

財務政策では、主に以下の3つのことが意思決定されます。

 

 

・負債と自己資本の割合をどうするか?

 

・資金調達はどのように行うか?

 

・利益の株主への還元をどうするか?

 

 

これらはすべて貸借対照表(B/S)の右側部分、つまり「資本」に注目しています。

 

資産形成のための資金をどのように構成するかということです。

 

つまり財務政策とは会社の「資本」の管理ということになります。

 

資本の管理がうまく行かなければ、それは当然会社の資産に影響を与えます。

 

よって財務政策はある程度の将来を見通して行う必要があり、慎重に考えることが非常に大切になります。

 

 

【財務政策の目的】
財務政策はマクロ的なお金の管理であり、その目的は原則として「会社全体の価値 = 企業価値」を向上させることにあります。

 

例えば今後の成長性が鈍化すると予想された場合、財務政策は保守的になって資本コストを可能な限り低く抑えようと考えます。

 

コストが高い株主資本よりも、低くて安定している負債を増やしたほうが加重平均資本コスト(WACC)は下がる傾向にあるためです。

 

しかし負債を増やすことは財務の安全性を損なうこととなり、かつ成長性が鈍化していると金融機関が判断した場合は、相対的に融資を受けることは難しくなります。

 

よって大切なのは、収益性と効率性、安全性のバランスです。

 

また、最もバランスの取れた資本構成は、「最適資本構成」と呼ばれます。
(最適資本構成の詳しい理論は後述します。)

 

しかし、どのような資本構成を最適資本構成と呼ぶかについては、実は現状ではその「セオリー」のようなものはありません。

 

それぞれの会社が、自社に合った最適資本構成を考えなければならないのです。

 

そして資金の調達に関しても選択肢は本当に多様です。

 

最近は日本でも「ベンチャーキャピタル」や「エンジェル」など、主に上場を目指すベンチャー企業に投資する投資家の存在も知られるようになってきました。

 

しかしこのような投資家は会社の「成長」を大前提としているため、投資してもらうことは非常にハードルが高く、かつ高いリターンを要求されることが大半です。

 

よって大企業や将来が有望と判断されるベンチャー企業などを除くと、株主資本を増やすための手段はそれほど多くはないというのが実情です。

 

また、負債についても会社が創業初期の場合はまだ会社の信頼性が認知されていないため、民間の金融機関から融資を受けるのは難しく、一般的には政府系の金融機関や制度融資(地方自治体などから受ける融資)を利用することになります。

 

そして利益が蓄積され、かつ金融機関との信頼関係が生まれて、初めて民間の金融機関から融資を受けられるようになります。

 

株主への利益還元については、安定した経営を行って配当として株主に還元するのか、配当を出さずにその資金で積極的に投資を行って会社の成長という形で株主に還元するのかなどを考えなければなりません。

 

会社はこのような財務政策を、すべて「どのような手法が企業価値の向上に貢献するか」と考えて意思決定しなければなりません。

 

特に資本構成は会社の資産形成に直結する「お金の管理の根本」であり、その後の経営にも大きく関わってくることです。

 

よって、慎重に、あらゆる選択肢を検討することが必要です。

 

これ以降は、財務政策について具体的に考えていきましょう。

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