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PI(Profitability Index:収益性指標)

【PI(Profitability Index:収益性指標)とは】
PI(Profitability Index:収益性指標)とは、NPVの概念に似た、キャッシュフローと現在価値を考慮した意思決定手法です。

 

PIの計算方法は、NPVの概念を理解していれば比較的簡単です。

 

PIでは、投資費用に対して将来獲得するキャッシュフローの現在価値がその何倍になるかということでその収益性を判断します。

 

そして、PIの判断基準は以下になります。

 

・PIが1超の場合 → 事業に着手する。
・PIが1未満の場合 → 事業に着手しない。

 

今回も実際に数字を使って計算してみましょう。

 

 

【PI(Profitability Index:収益性指標)の計算方法】
PIは以下のように計算します。

 

PI = 将来獲得するキャッシュフローの現在価値÷投資費用

 

ここでは以下の2つのケースで計算してみましょう。

 

 

≪例1≫
・事業期間 5年(残存価値は考えない)
・初期投資 2億円
・FCF 1年後から5000万円/年
・WACC 6%

 

まず将来獲得するキャッシュフローの現在価値を計算しましょう。
(単位は100万円で計算しています。)

 

・1年後のCFの現在価値 ≒ 47.17
・2年後のCFの現在価値 ≒ 44.50
・3年後のCFの現在価値 ≒ 41.98
・4年後のCFの現在価値 ≒ 39.60
・5年後のCFの現在価値 ≒ 37.36

 

よって、PIは以下になります。

 

PI = (47.17+44.50+41.98+39.60+37.36)÷200 = 210.62÷200 ≒ 1.05

 

PIは1.05です。

 

 

≪例2≫
・事業期間 5年(残存価値は考えない)
・初期投資 2,000万円
・FCF 1年後から55万円/年
・WACC 6%

 

・1年後のCFの現在価値 ≒ 5.19
・2年後のCFの現在価値 ≒ 4.89
・3年後のCFの現在価値V ≒ 4.62
・4年後のCFの現在価値 ≒ 4.36
・5年後のCFの現在価値 ≒ 4.11

 

よって、PIは以下になります。

 

PI = (5.19+4.89+4.62+4.36+4.11)÷20 = 23.17÷20 ≒ 1.16

 

PIは1.16です。

 

よって、PIで収益性を判断すると、例1(1.05)<例2(1.16)となり、例2を優先して着手すべきとなります。

 

 

【PIの注意点】
上記で、PIは例2のほうが高いため、例2を優先すべきという結論が出ました。

 

念のために今度はNPVで考えてみましょう。

 

 

≪例1≫
NPV = −200+(50÷(1+0.06))+(50÷(1+0.06)2)+(50÷(1+0.06)3)+(50÷(1+0.06)4)+(50÷(1+0.06)5)
≒  −200+47.17+44.50+41.98+39.60+37.36 ≒ 10.62

 

 

≪例2≫
NPV = −20+(5.5÷(1+0.06))+(5.5÷(1+0.06)2)+(5.5÷(1+0.06)3)+(5.5÷(1+0.06)4)+(5.5÷(1+0.06)5)
≒  −20+5.19+4.89+4.62+4.36+4.11 ≒ 3.17

 

 

例1の事業のNPVは10.62、例2の事業のNPVは3.17です。

 

NPVで考えると、実は例1のほうが大きいのです。

 

そしてこれはIRR(内部収益率)の考え方に似ています。

 

PIもIRRと同様「率」で考えるために、その事業規模は考慮されていないのです。
(今回の計算例は、「IRR(Internal Rate of Return:内部収益率)」で使用したものとまったく同じものを使用しています。)

 

PIもIRRと同様、その点に考慮する必要があります。

 

投資予算などに合わせて「額」で考えるか、「率」で考えるかを明確にしておく必要があると言えるでしょう。

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