BCGのアドバンテージ・マトリックス
BCGのアドバンテージマトリックスについて説明しています。
この文章を読むことで、事業の分類分けからどのような戦略を取るべきか、について学ぶことが出来ます。
BCGのアドバンテージ・マトリックスについて
BCGが提唱しているアドバンテージマトリックスは、競争優位性を築くためのフレームワークです。
企業推進している事業において、競争優位性を保てるか否かを分析し競争環境を勝ち抜くための戦略を考えるフレームワークになっています。
具体的には、2軸で検討して事業のタイプを4つに分類して考えます。
軸は「競争要員が多いか少ないか」、「優位性を確保できる可能性が高いか低いか」となっています。
事業の4つのタイプは、?特化型事業、?規模型事業、?分散型事業、?手詰まり型事業となっています。
特化型事業
競争要因が多く、優位性確保の可能性が高い事業が該当します。
特定の分野で強みを持つことで、優位性を確保することができます。
規模型事業
競争要因は少なく、優位性確保の可能性が高い事業になります。
規模の経済が働きやすいことが特徴となっています。
半導体事業は大型の製造装置を投資するために規模型事業の典型例と言えます。
分散型事業
競争要因が多く、優位性確保の可能性が低い事業となります。
規模の経済が効きにくく、大企業などのような大型プレイヤーが存在していない群雄割拠な事業ドメインとなります。
飲食店やアパレル業界が該当します。
手詰まり型事業
競争要因が少なく、優位性確保の可能性も低い事業となります。
事業はライフサイクルの衰退期に入っており、差別化することが難しく利益を上げていくことが難しいです。
一般的に利益を確保しにくい事業タイプは、「分散型」と「手詰まり型」となっています。
分散型は高い技術を持った美容師の魅力で集客しているようなビジネスが該当し、規模を大きくしにくい点がデメリットとなります。
<例題>
BCGのアドバンテージマトリックスをコンビニ業界の事例で考えてみます。
コンビニ業界は、規模が大きければ大きいほど収益力が高くなる典型的な規模型事業です。
その業界においてリーダー企業であるセブンイレブンは圧倒的な収益力を誇っています。
一方、業界2位のローソンは100円ストアやナチュラルローソン、また2014年には成城石井を買収しています。
これらの動き方はセブンイレブンとは一線を画しています。この理由をアドバンテージマトリックスの観点から考えてみてください。
<解説>
規模の経済が働きやすいコンビニ業界において、ローソンがセブンイレブンの収益力を追い抜くためには同様に規模を拡大していかなければなりません。
しかし、セブンイレブンも黙っているわけではありませんので、各地に出店を行い、規模の拡大を進めます。
つまり、ローソンが同じ規模型事業のタイプでセブンイレブンに対して競争優位性を確保することは非現実的であると言えます。
そこで考えるべきことは、業界のリーダーでない場合、規模型事業のタイプではなく特化型事業のタイプで競争優位性を確保するということが重要になります。
特化型事業は、特定分野にフォーカスして競争優位を確保します。
ローソンは、通常のコンビニエンスストアだけでなく、低価格に特化した「ローソンストア100」や女性を中心に「美しく健康で快適な」ライフスタイルを提供することに特化した「ナチュラルローソン」を展開してきました。
そして、2014年に成城石井を買収したのは、富裕層に特化し、従来のコンビニエンスストアとは異なった客層で事業を伸ばす狙いがあったためです。
成城石井は東京都内に100店舗以上を展開する高級スーパーであり、高級品の品揃えが充実しているという特徴があります。
2020年の東京オリンピックも見据えると、関西発のローソンが東京でローソンブランドで出店を増やすよりも成城石井として店舗を増やす方が効果が高いと考えられます。
ローソンは特化型事業タイプを企業としてのポートフォリオに加えることでセブンイレブンとは異なった手法で収益力を高めています。
まとめ
アドバンテージマトリックスは、「競争上の競争要因」、「優位性確保の可能性」の2軸で、業界を4つのタイプに分類しています。
それぞれのタイプによって事業の経済性が異なり、成功の可能性も異なります。
企業はどのタイプに属しているのか、また業界内でリーダーなのか、チャレンジャーなのかなどによって取るべき戦略が異なります。
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