施策・プロセスへの落とし込みと実行
今回は「施策・プロセスへの落とし込みと実行」について説明していきます。
今回の文章を読むことで、施策を実行に移すための過程について学ぶことができます。
施策策定〜実行
これまでに策定してきた事業戦略は、企業や事業単位での大きな方向性の話であり、具体的に「いつ」、「誰が」、「何をしていく」のかが決まっているわけではありません。
そこで、戦略から施策へと落とし込む作業が必要となります。
また、施策はどのようなプロセスで行っていくのかを決めていくことになります。
例:A社のマーケティング戦略の施策への落とし込み
A社におけるマーケティング戦略について、施策への落とし込みを行います。
マーケティング戦略で考えていたことを施策レベルに分解し、それらの施策に対して具体的なプロセスを考えます。
そのようにすることで、やるべきことが明確になります。
例えばマーケティング戦略が、「共働き世帯を対象とした高付加価値製品の販売」だとした場合、施策に落とし込むと…
「?プロモーション施策の策定」、「?プロモーション戦略実行の体制構築」、「?チャネル構築施策の策定」、「?チャネル構築の体制構築」、「?高付加価値製品の価格設定」、「?経営資源の調達」といった具合になります。
そして、これら?〜?の施策をそれぞれプロセスに落とし込むことでやるべきことを具体化していきます。
具体的な例として、「?プロモーション施策の策定」では、プロセスを「?-1.ターゲット顧客(共働き世帯)のニーズ調査」、「?-2.活用メディアの選定」、「?-3.広告代理店の選定」、「?-4.広告内容の具体化」といった具合に詳細化していきます。
?-1は、A社がターゲットとしている共働き世帯において、高付加価値製品のニーズがあるのかどうかを調査することになります。
戦略策定時の仮説でニーズがあると判断されていると思われますが、改めてインタビューや統計情報などの事実情報を集めて裏付けを取ります。
?-2は、共働き世帯にA社の高付加価値製品を知ってもらうための媒体を選択することになります。
TVCM、Web広告、新聞・折り込みチラシ、雑誌、ラジオCMなどの中からどの媒体を活用することがターゲットに対して最もリーチするのかを評価し、選定します。
ここでは仮にWeb広告を選択します。
?-3は、Web広告を作成していくための代理店を選定します。
この場合、旧来の広告代理店やITベンダーなどの中から交渉し、選定していくことになります。
?-4は、Webサイトの中に埋め込む広告の内容として、写真の素材や製品を紹介する文章の記載などA社と代理店でこれらを準備していくことになります。
施策実行のスケジューリング
プロセスに落とし込むことで「やるべきこと」が決まります。
今度はこれらをスケジュールに落とし込んでいきます。
先程の施策について、担当や期限を決めて推進していくことになります。
スケジューリングする際には、長期・短期スパンで進捗がわかるように見る人に応じたレベルでの作成が必要となります。
例えば、これらの事業戦略全体を統括する人が見る計画は、長期間で戦略の全体像、および進捗が見えるような計画を作成することになります。
一方、現場で施策をプロセスに沿って実行する人が見えるものであれば短期間の期限や詳細な担当、やるべきことを見える化した計画を作成します。
まとめ
戦略や施策は立案することは重要ではあるものの、実行しなければ意味がありません。絵に描いた餅となってしまいます。
戦略をスムーズに実行に移すためには、PDCAマネジメントを用いて、実行されている内容をモニタリングし、評価、修正していくことが重要となります。
モニタリングや評価する際には、KPIを用いることが多いです。KPIの設定は定量目標と紐付く指標を用いることが重要となります。
KPIの達成状況を定期的に確認することで、戦略の目的・定量目標のゴールに近づいていることを確認できる指標にすると良いです。
関連ページ
- M&Aとアライアンス
- 総合環境分析(3C分析とSWOT分析)
- 4世代のイノベーションモデル
- 企業の経営成果を測る5つの財務指標
- アンゾフの成長ベクトル(製品×市場マトリックス)とアーカーのマトリックス
- BCGのアドバンテージ・マトリックス
- ITを活用した経営戦略
- 意図的戦略と創発的戦略のバランス
- 日本企業が目指すべき経営戦略とは
- コトラーの競争地位別の戦略類型
- マッキンゼーの「7つのS」
- OEMとは
- PDCAサイクルを回す
- ポーターvsミンツバーグ
- ポーターの3つの基本戦略
- 業界を俯瞰し、分析の全体像をつかむ
- ブルーオーシャン戦略の概要
- ドメイン(事業領域)の設定
- 事業戦略(基本戦略)と機能別戦略(個別戦略)
- 経営資源配分の優先順位
- 自社分析(競争ベンチマークと定量分析)
- 企業変革の条件
- コアコンピタンスとは
- コーポレート・デベロップメント
- コーポレート・ガバナンス
- 全社戦略策定の基本プロセス
- 戦略策定に必要なクリティカルシンキング
- 顧客分析
- フレームワークのカスタマイズと定量ファクト
- 意思決定の2つの方式(トップダウンとボトムアップ)
- BCGのデコンストラクションの概要
- 事業を定義する(事業スキームとバリューチェーン)
- デザイン思考の概要
- 多角化戦略
- 施策・プロセスへの落とし込みと実行
- 創発的戦略とは
- 市場分析
- 顧客分析
- 外部環境分析(PEST分析と5Forces分析)
- フィジビリティスタディ
- 経営戦略策定の3ポイントと3ステップ
- 戦略方向性の策定(戦略方向性マップ)
- フリー戦略の概要
- ゼネラル・マネージャーの役割
- グローバリゼーションと事業戦略
- 業界分析
- イノベーション戦略
- イノベーター理論とキャズムの概要
- 内部環境分析(バリューチェーン分析とVRIO分析)
- ランチェスター戦略の概要
- 学習する組織とは
- 企業価値のマネジメント
- 経営理念・ビジョンと戦略の関係
- 市場分析
- マーケット・ライフサイクルと規模の効果
- マーケットセグメンテーションとポジショニングの重要性
- 経営戦略を動かす仕組み(6W2Hでゴール設定と細分化)
- ベインのネットプロモーター経営(NPS)の概要
- オムニチャネル戦略の概要
- 経営戦略の全体最適と個別最適(全社戦略と事業戦略)
- 戦略実行のための組織形態を考える
- 意図的に計画された戦略論
- プラットフォーム戦略の概要
- ポートフォリオ改善の仕組みづくりと機能最適化の3つの考え方
- プロダクト・ライフサイクルとBCGダイヤモンド
- BCGのプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)とGEのビジネス・スクリーン
- 現状成り行き予測
- 競争力の源泉
- 戦略評価のための指標(KPI)の設定とBSCの活用
- ストラテジック・プランニング
- 戦略策定とフレームワークによる環境分析
- 事業戦略策定の5ステップ
- 事業戦略の目的(ゴール)と定量目標の設定
- ストラテジー(経営戦略)とは
- SWOT分析
- 暗黙知と形式知(SECIモデル)の概要
- 孫子の兵法の概要