経営戦略策定の3ポイントと3ステップ
今回は経営戦略策定について説明していきます。
この文章から経営戦略策定のポイントと手順、フレームワークの活用法について学ぶことが出来ます。
経営戦略策定の3つのポイント
企業経営の目的や制約を踏まえた上で、経営戦略策定のポイントを3つあげます。
それは以下の3つになります。
?企業としての競争優位性を継続させる
?経営戦略の施策の優先順位は明確にする
?施策の整合性を保つ
それぞれについて、詳しく見ていきます。
企業としての競争優位性を継続
1つ目の「企業としての競争優位性を継続」は、同じ市場で、同じ顧客をターゲットにしている競合企業が存在する中で、競合に対して優位性を構築することが企業として必要になります。
また、事業は継続していくことが前提となる為、優位性を継続させることが求められます。経営環境の変化が早い今日において、競争優位を常に保つことは最重要ポイントとなります。
施策の優先順位をつける
2つ目の「施策の優先順位をつける」ということは、立案した施策に投入できる経営資源(ヒト・モノ・カネ・時間)は有限の為、立案した全ての施策を同時並行で進めることは困難となるため、優先順位をつけることが求められます。
経営戦略を考える上では、優先順位の高い施策に対して経営資源を集中投下することがポイントとなります。
施策の整合性
3つ目の「施策の整合性」は施策をバラバラに実行していては、十分な効果を刈り取ることができません。
効果を創出するためには、経営理念、ビジョン、経営戦略、施策が階層構造となり、事業が一貫性をもって推進されることがポイントとなります。
これら3つのポイントを踏まえて「経営戦略」を策定してくことが肝要です。
経営戦略策定の3ステップ
経営戦略を策定する際、通常3つのステップを踏むことになります。それは以下の3ステップです。
?事業環境の分析を行う
?ドメインの設定を行う
?経営戦略を策定する
事業環境分析
1つ目のステップである「事業環境分析」については、企業(自社)が置かれている事業環境(内部環境、外部環境)を確認した上で、自社の強みと弱みを把握し、事業チャンスや自社にとっての脅威を把握します。
これらを把握することで自社の目標と現状とのギャップを確認することが最初のステップとなります。
ドメインの設定
2つ目のステップは、事業環境の分析結果に基づいて、ターゲットとする市場や顧客を決め、自社の事業を展開する取り組み範囲を定義することで施策となる選択肢を絞り込みます。
経営戦略の策定
そして、3つ目のステップにある事業ドメインに合った経営戦略(施策)を立案します。
ただし、この3ステップは一度ステップを踏めば終わるものではありません。3つ目の経営戦略を検討した結果、ドメインを見直すこともあります。
その際には、再度、事業環境を分析し直すことが発生する可能性もあります。
したがって、?事業環境分析、?ドメイン設定、?経営戦略策定を行き来しながら策定することになります。
経営戦略策定にはフレームワークの活用が有効
経営戦略を策定する際には、旧来から使われてきた定石ともいえる多くのフレームワークが存在します。
これらのフレームワークを活用することによって、効率よく、効果的な経営戦略を策定することができます。
例えば、事業環境を分析する際には、これらの方法が多く使われます。
・PEST分析(Political、Economic、Social、Technologicalの頭文字を取ったもので、マクロ環境を網羅的に見ていくためのフレームワーク)
・SWOT分析(自社の外的環境に潜む機会(Opportunities)と脅威(Threats)の抽出に加えて、自社の強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)を把握して確認・評価するフレームワーク)
・5Forces分析(自社の経営戦略を考える前提として、自社が属する業界構造を「新規参入」、「競合企業」、「代替品」、「購入者」、「供給業者」の5つの視点で検討分析する際に使われるフレームワーク)
注意点は、フレームワークとは経営戦略を策定するにあたって思考や情報を整理するための道具であり、整理することが目的ではありません。
忘れてはならないことは、企業目標を達成するための施策を立案することが重要だということです。
まとめ
経営戦略策定には、企業としての競争優位性を継続させるために優先順位を明確にした上で企業の方向性と整合の取れた施策を立案し、実行していくことが重要になります。
経営戦略を策定する上で、「事業環境の分析」、「ドメインの設定」、「経営戦略を策定」という手順を踏んで推進することが企業の強みを活かし、競争環境で優位性を保った経営戦略を策定するポイントとなります。
関連ページ
- M&Aとアライアンス
- 総合環境分析(3C分析とSWOT分析)
- 4世代のイノベーションモデル
- 企業の経営成果を測る5つの財務指標
- アンゾフの成長ベクトル(製品×市場マトリックス)とアーカーのマトリックス
- BCGのアドバンテージ・マトリックス
- ITを活用した経営戦略
- 意図的戦略と創発的戦略のバランス
- 日本企業が目指すべき経営戦略とは
- コトラーの競争地位別の戦略類型
- マッキンゼーの「7つのS」
- OEMとは
- PDCAサイクルを回す
- ポーターvsミンツバーグ
- ポーターの3つの基本戦略
- 業界を俯瞰し、分析の全体像をつかむ
- ブルーオーシャン戦略の概要
- ドメイン(事業領域)の設定
- 事業戦略(基本戦略)と機能別戦略(個別戦略)
- 経営資源配分の優先順位
- 自社分析(競争ベンチマークと定量分析)
- 企業変革の条件
- コアコンピタンスとは
- コーポレート・デベロップメント
- コーポレート・ガバナンス
- 全社戦略策定の基本プロセス
- 戦略策定に必要なクリティカルシンキング
- 顧客分析
- フレームワークのカスタマイズと定量ファクト
- 意思決定の2つの方式(トップダウンとボトムアップ)
- BCGのデコンストラクションの概要
- 事業を定義する(事業スキームとバリューチェーン)
- デザイン思考の概要
- 多角化戦略
- 施策・プロセスへの落とし込みと実行
- 創発的戦略とは
- 市場分析
- 顧客分析
- 外部環境分析(PEST分析と5Forces分析)
- フィジビリティスタディ
- 経営戦略策定の3ポイントと3ステップ
- 戦略方向性の策定(戦略方向性マップ)
- フリー戦略の概要
- ゼネラル・マネージャーの役割
- グローバリゼーションと事業戦略
- 業界分析
- イノベーション戦略
- イノベーター理論とキャズムの概要
- 内部環境分析(バリューチェーン分析とVRIO分析)
- ランチェスター戦略の概要
- 学習する組織とは
- 企業価値のマネジメント
- 経営理念・ビジョンと戦略の関係
- 市場分析
- マーケット・ライフサイクルと規模の効果
- マーケットセグメンテーションとポジショニングの重要性
- 経営戦略を動かす仕組み(6W2Hでゴール設定と細分化)
- ベインのネットプロモーター経営(NPS)の概要
- オムニチャネル戦略の概要
- 経営戦略の全体最適と個別最適(全社戦略と事業戦略)
- 戦略実行のための組織形態を考える
- 意図的に計画された戦略論
- プラットフォーム戦略の概要
- ポートフォリオ改善の仕組みづくりと機能最適化の3つの考え方
- プロダクト・ライフサイクルとBCGダイヤモンド
- BCGのプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)とGEのビジネス・スクリーン
- 現状成り行き予測
- 競争力の源泉
- 戦略評価のための指標(KPI)の設定とBSCの活用
- ストラテジック・プランニング
- 戦略策定とフレームワークによる環境分析
- 事業戦略策定の5ステップ
- 事業戦略の目的(ゴール)と定量目標の設定
- ストラテジー(経営戦略)とは
- SWOT分析
- 暗黙知と形式知(SECIモデル)の概要
- 孫子の兵法の概要