ゼネラル・マネージャーの役割
今回はゼネラルマネージャーについて説明していきます。
この文章を読むことで、ゼネラルマネージャーに求められる役割、日本企業でゼネラル・マネージャーが育たない原因について学ぶことができます。
ゼネラル・マネージャーの役割とは
日本の大企業においては、優秀であった人材もグローバル企業の責任ある地域に就くなど、環境や役割への期待が変わると機能しないことが多いです。
多くの日本人マネージャーは過去の経験から無意識に仕事の仕方を学んできただけであり、自らの役割を意識し、そのために何をすべきかを考えることがなかったのが一因といえます。
ゼネラル・マネージャーに求められる役割は、ハーバード大学教授のピアソンによると6つの役割が定義されています。
?戦略の策定
部門のヘッドとして期待されることです。
ミッションや長期ビジョンを理解した上で事業を取り巻く様々な環境要因を把握し、戦略目的を設定し、戦略代替案を策定します。
その中からリスクや期待効果を勘案して最善の選択肢を選び、実行計画に落とし込むます。
必要があれば、、自ら陣頭指揮を取って戦略の一行支援を行います。
?資源の動員と配分
戦略実行のために必要な予算と人員枠を確保し、自らのコントロール下における長に交渉することです。
しかし、予算などは自分が策定した戦略案、あるいは投資計画が妥当だと承認された結果として与えられるものです。
したがって、?の明確さ、的確さが重要となります。
戦略とそのための資源は自動的に与えられるものではありません。
?人材開発(ヒトの採用・育成・解雇)
人を採用し、育成し、場合によっては解雇するということです。
しかし、日本企業では通常、これらの権限の多くが人事部にゆだねられており、ゼネラル・マネージャー本来の権限は制限されています。
アメリカではブルーカラーや仮装ホワイトカラーを除けば、管理者以上部下を自分で確保するケースが多いです。
既存組織のポジションを引き受けた時は人材も基本的には引き継ぐことになりますが、その際も早期に人材の適性や能力を判断し、自己責任で仕事の配分を行います。
部下を引き連れて移動したり、会社を映ることも多いです。
新規事業の場合は必要な人材を他部門から引き抜いたり、外部から雇って、組織を作らないといけません。
?組織作り
自分の組織を自らの構想で作ることです。
役割の設計、分担を行うと共に必要な人材を自分で調達する能力が不可欠となります。
事業が拡大したり、仕事が複雑化した場合、それに対応して組織構造を変え、新たな役割を果たす人材を見つけていきます。
例えば、広告が今後の戦略のカギとなるなら、ポストを作り、マーケティングの経験者を雇って実務レベルで専門能力のある人材を活用します。
詳細な戦略計画を任せたいのならば、同じくポストを用意して計画、管理が得意なスタッフ人材を雇い入れます。
目先の日常業務をこなせる人材を満遍なくそろえただけではなく、戦略を遂行する組織になります。
?企業文化の形成(環境作り)
戦略実行を促進するような職場の意識や行動規範を形成していくことにあります。
日本企業では企業文化が組織全体に根付く良く浸透しており、1人のマネージャーが影響を与えようとしても、、その範囲や効果、スピードは極めて限定されたモノになります。
チャレンジ精神を高揚させるような目標を設定したり、失敗を恐れない風土を根付かせるなどの工夫が欠かせません。
?オペレーションの獲得
部下の日々の業務と進捗状況、成果を把握することであり、日本人管理職が最も得意とする領域となります。
営業部では営業日報がよく整備されており、営業マン別の成果なども把握されていることが多いです。
しかし、この管理は行き過ぎると部下たちはマネージャーからの指示待ち(=日報に対するレスポンス待ち)に陥ってしまいます。
これらのゼネラル・マネージャーの役割自体は日本企業においても知れ渡っていると思われますが、現実問題として日本企業ではゼネラル・マネージャーが出現してこない問題もあります。
ここからは、ゼネラル・マネージャーの育成を阻害する日本企業の問題について述べます。
日本企業でゼネラル・マネージャーが育たない原因
ゼネラル・マネージャーの育成を阻害する日本企業の問題点は大きく3つあると言われています。
?人事部の役割の大きさ、?自立性・独立性の曖昧さ、?ボトムアップと管理者過多となっています。
?人事部の役割の大きさ
日本企業における人事部の権限が多き過ぎるという点です。
人の採用、給与、解雇、降格の意思決定はラインマネージャーではなく人事部に一任されることが多くなっています。
人的資源の管理は事業遂行上大きな意味を持ちますが、日本企業ではこの権限を現場に移譲することなく人事部が握っていることがほとんどです。
その結果、人事部の力が強いために現場の若いマネージャーがゼネラル・マネージャーとしての経験を積む機会がなくなってしまいます。
?自立性・独立性の曖昧さ
ゼネラル・マネージャーへの権限移譲の範囲が明確に定義されていないことが挙げられます。
社長が製品開発に首を突っ込んだりするなど、ゼネラル・マネージャーが牽引する組織の自立性が確立しにくい環境にあります。
欧米企業では組織単位での責任と権限が明確なために自立性が高く、小規模な組織であってもゼネラル・マネージャー的な意識が育ちやすい環境にあります。
?ボトムアップと管理者過多
日本企業の多くがボトムアップ型経営になっている点です。
そのため、マネージャーが優秀でなくても部下の意見を上手く吸い上げることで成果が出る構造となっています。
また、年功序列制度の弊害として余剰人材による部下無しマネージャーなどの問題もあります。
本来仕事がない人のためにポストを作ることが許容されているところが弊害となっていると言えます。
このように日本のゼネラル・マネージャーは本来果たすべき役割と乖離しています。
これらを踏まえて権限と責任の所在を明確にし、自立性を高めていくことが重要となります。
事例:ハーバードビジネススクールの教育
ゼネラル・マネージャーは企業間の競争が激しくなればなるほど、能力を身につける時期が早まっています。
ハーバードビジネススクールにおいては、ゼネラル・マネージャーへの志向が強く、卒業後にゼネラル・マネージャーになることを想定したプログラムが組まれています。
40〜50代で経営者となるためには30代後半〜40代前半には子会社の代表となることなど責任を負った職務を担うことが多くあります。
そしてその中で、早く6つの基本を様々な状況から学び、統合していく能力を身につける必要があります。
組織は様々な要素が絡みあうもので、各々の課題を個別に解決するような近視眼的なアプローチでは本質的な問題解決を実行できません。
ゼネラル・マネージャーには全体を見渡す広い視野と優れたバランス感覚が必要となります。
まとめ
ゼネラル・マネジャーの役割は、経営陣とスタッフメンバーとをつなぎ合わせることであり、それは「連結ピン」と言われるくらい重要な任務となっています。
この種のマネジメントにおいても、経営陣になれる人となれない人の違いが出やすいと言われています。
「部下に対する管理の指標が、KPIと業績目標達成だけであったり、数字というコミュ二ケーション手段しか持ってないのであればゼネラル・マネジャーとして失格と言わざるを得ません。
そのようなゼネラル・マネージャーの下では、組織として動いていくことはできません。
一方で、経営層のメンバーに対しては『経営をどのように良くしていくのか?』ということをきちんと語っていき、従業員に対して思いを浸透させていくことをして初めて、ゼネラル・マネジャーが組織の中枢として機能することができることになります。
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