事業戦略策定の5ステップ
今回は事業戦略策定の5ステップについて説明していきます。
この文章を読むことで、事業戦略を策定する際の手順やポイントを学ぶことができます。
5つのステップで事業戦略を策定
事業戦略を策定する際、手順を追って作業を進めていくことが肝要です。
大きく5つのステップを踏むことで、作業の抜け漏れなく事業戦略を策定することができます。
5つのステップとは、?目的・定量目的の設定、?現状分析、?事業戦略の方向性策定、?フィジビリティスタディ、?施策策定〜実行となります。
?目的・定量目標の設定
事業戦略策定における第一のステップは、その場合において何を達成したいのか、どのような業績を目標にやっていくのかなどを「目的・定量的な設定」を行うべきです。
この定量的な目標が事業の「ゴール」となります。
このゴールがブレてしまったり、曖昧な内容となってしまっていると、何の為の事業戦略なのかわからなくなってしまいます。
戦略策定の旗印となる目的設定は5つのステップでも重要な位置付けにあります。
?現状分析
この現状分析は、5つのステップの中で最も重要な位置付けになっています。
このステップでは、該当する企業が属する市場や業界を分析をしたり、競合企業との比較を行うことで自社の競争力を測定します。
ここでは、競合企業と比べた時の強みや弱みの整理や外部環境(脅威と機会)などを整理し、?事業戦略の方向性策定する際に使っていきます。
ここの整理内容によって戦略の方向性が大きく変わるため、非常に重要なステップとなります。
?事業戦略の方向性策定
3つ目のステップは、外部環境である事業の機会と脅威、内部環境である自社の強みと弱みを基にSWOT分析を中心に検討し、自社の事業の戦略方向性を検討します。
このステップのポイントは戦略の方向性は一つに絞り込む必要はなく、複数(代替的)の戦略方向性を準備しておきます。
その理由は、?で実施するフィジビリティスタディで複数準備した戦略の実現性、妥当性、効果をそれぞれ見極めていきます。
そして、自社にとって最良と考えられる戦略を選択することになります。
?フィジビリティスタディ
フィジビリスタディとは、簡単にいうと事業戦略の実現可能性を評価するものです。
?で複数の戦略方向性を策定していますので、ここでは各戦略方向性のフィジビリティスタディを行って、自社にとって実現可能性を見極めていきます。
当然、最も実現可能性の高い戦略を選定することがこのステップの目的となります。
ここでは、戦略実現に掛かる費用(投資)、その効果、実現に向けて推進する上でのリスクを、机上でシミュレーションを行い各戦略を客観的に評価することが重要となります。
?施策策定〜実行
戦略の方向性が定まった後は実行に移していかなければなりません。
そのために、まずは戦略レベルの内容から実行可能なレベルの施策に落とし込みます。
戦略の落とし込みを行う際には、論理展開が重要となります。戦略とはあくまで方向性に過ぎないので、そこから具体的な実行内容へと落とし込みます。
そして、複数の施策の重要度、緊急度、自社の避けるリソースなどを鑑みて優先順位を決めてスケジューリングします。
事業戦略は実行されてはじめて意味のあるものになります。
まとめ
事業戦略を策定する際には上記の5つのステップを踏むことが肝要です。
戦略を立案して、施策に落とし込み、実行していくまでの流れを整理するためには、定量情報(事実情報)やフレームワークを活用して整理すると考えやすくなりますし、説得力が増します。
留意点は、これらを組み合わせて論理的に説明できることになりますので、ストーリーが重要となります。
ストーリーが途切れてしまっては、説得力に欠けますし、施策を実践するメンバーが動けなくなってしまいます。
ロジックがしっかり通っており、論理的な飛躍もない戦略や施策を作成することが後々重要となってきます。
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