オムニチャネル戦略の概要
今回はオムニチャネル戦略について説明していきます。
この文章を読むことで、オムニチャネル戦略の概要や必要性について学ぶことができます。
オムニチャネル戦略とは
オムニチャネルとは、Webとリアルを融合させてサービス提供を行っていく戦略です。
実店舗、オンラインモールなどの通販サイト、自社サイト、ソーシャルメディアなど、顧客との接点を多く持ち、それらのあらゆるところから商品の注文を可能とし、受け取りはリアル店舗であるコンビニエンスストアなどにすることができます。
ちなみに、実店舗とWebの店舗を融合して販売やマーケティングに生かす取り組みは”O2O(オーツーオー:オンライン to オフライン)”と呼ばれています。
日本国内において、セブン&アイホールディングスなど先進的な企業がオムニチャネルを実施しています。ここ数年でオムニチャネル戦略がマーケティング戦略の中心になっていくと考えられています。
これによって、マーケティングプロセスの「認知」、「興味」、「比較検討」、「購買」、「受け取り」の方法が複数となりました。
オムにチャネル戦略が求められる理由
インターネットの進展により、マルチチャネルの時代になったと言われています。
一昔前までは、Webとリアルの融合は進んでおらず、むしろ、売上をWebに奪われてしまうという風に考えるリアル店舗が多く存在していました。
しかし、ECの売上が無視できないほどに大きくなってきてしまったことが大きな分岐点となりました。
人口減少により今後、日本の内需は縮小していくことが見えており、リアル店舗同士で売上げを競うことは無意味になります。
それよりも、O2Oを適用して顧客がどこからでも購入できるように誘導し、自社サービスのレベルを向上させることが、競合他社に対して優位性を保てると考えられるようになってきました。
オムニチャネル戦略事例:セブン&アイホールディングス
2015年9月24日にセブン&アイ・ホールディングスは、ネットと全国1万9千店舗ある実店舗を連動させた「Omni7」(オムニセブン)を発表しました。
これはグループ間で、ネットでもリアルでも場所や時間の制約が無いシームレスな買い物ができるようにする仕組みです。
これまでにWebでの販売への強化を図ってきており、例えばWeb経由で販売した商品ををセブンイレブンで受け取る事ができれば、セブンイレブンにとってもお客様が足を運んでくれるキッカケになり、グループ間で高い相乗効果を得られています。
オムニチャネル戦略の課題
オムニチャネル戦略の課題は2つあります。
?現場の負荷
顧客の利便性を高めれば高めるほど、セブンイレブンの現場の業務量は増えます。
これまでのコンビニの業務量でさえ多岐にわたる上に、グループのオムニチャネルの受け皿になるセブンイレブンには大きな負荷がかかります。
?物流センターの人材不足
オムニチャネルというと、お客様との接点(WEBや店舗)がフォーカスされますが、オムニチャネルを裏で支えているのは物流です。
セブン&アイホールディングスの物流センターの「久喜センター」は改善を重ね、省人化を図っていますが、依然として物流センターの人手の確保が課題となっています。
また、同年12月21日には、Googleの新サービス「来店コンバージョン」を実施することを発表しています。
これはセブン&アイのオムニチャネル施策の効果の可視化を行うものになります。
従来はWEBから実店舗への誘導促進の効果測定は来店アンケートでしか測ることができませんでした。これでは正確なデータを取得することができません。
一方、「来店コンバージョン」はスマートフォンのロケーション履歴をONにしているユーザーのデータを集計し、実際にWEBでの集客がどの程度、実店舗への誘導に貢献したかを計測できる仕組みです。
これによって、オムニチャネル戦略の効果測定で困難だった実店舗への誘導の結果を知ることができるようになります。
まとめ
オムニチャネル戦略は、いかにチャネルを結びつけて顧客との接点を増やすかということを考えがちですが、実際は顧客がどのような体験を求めているのかを把握できないうちに、接点を増やしても効果は薄くなります。
現状のカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を考えた上で、オムニチャネル化することで顧客にどのような意味があるのかを検討することが肝要です。
「顧客視点で自社のサービスがどのように見えるか」をベースに戦略を策定することが求められます。
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