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経営資源配分の優先順位

今回は経営資源配分の優先順位について説明しています。

 

この文章を読むことで、何を基準にして経営資源を配分していけば良いのか、事例を交えて学ぶことができます。

 

経営資源配分の優先順位

 

企業はキャッシュや人材、製造業であれば工場や設備などの経営資源を有しており、それらを用いて事業を推進しています。

 

しかし、どのような大企業であろうと、経営資源が無限にあるわけではありません。

 

経営資源とは有限であるため、それを大前提として事業の推進、最大効率化を考えなければならないのです。

 

そのため、資源配分はとても重要となります。

 

<事例>
A社は小売事業、物流事業、金融事業、ゲーム事業の4つの事業を推進していると想定します。

 

この事業ポートフォリオに対して適切に資源を配分します。

 

優先順位の考え方は、事業のパフォーマンスに従うことが一般的です。

 

事業パフォーマンスによるポートフォリオ管理では、「市場の魅力度」と「自社の競争力」の2軸で評価します。

 

市場の魅力度

 

市場規模、市場の成長率、市場の平均収益率などの定量情報と定性情報によって評価していきます。

 

自社の競争力

 

自社の売上シェア、競合との相対的な収益性などの定量情報とベンチマークした結果の定性情報を組み合わせて評価します。

 

経営資源配分の優先順位1

 

A社のポートフォリオをこれらの軸で評価すると、A社の小売事業、金融事業は市場規模・成長性共に大きくなっており、他社に比べても優位性があることが見て取れます。

 

また、小売事業の物流網を活用した物流事業は他社と比較して同等以上の利益率を保有していますが、市場の魅力が高くない結果となっています。

 

つまり、小売事業や金融事業に比べて投資の優先度は低くなります。

 

一方、ゲーム事業は市場の魅力度が低いのみならず、自社の業績も赤字、売上成長もマイナスとなっており、これ以上の投資をせずに撤退を含めた戦略を考える必要があります。

 

このように市場の魅力度と自社の競争力から各事業のポジショニングを把握し、それらに応じて資源配分の優先順位を決めていきます。

 

資源配分の考慮ポイント

 

資源配分を考える際に考慮するポイントとして、シナジー効果があります。

 

各事業間において、経営資源、顧客が重複していることによって、競争力が強化されるもしくはコストダウンが行えるなど事業単体で推進するよりも価値が高まることがあります。

 

本事例では、小売事業の顧客に対してクレジット機能付きのカードをサービス提供する金融事業はシナジー効果があると言えます。

 

これに対して、物流事業やゲーム事業は経営資源をうまく活用し切れてはいません。

 

経営資源配分の優先順位2

 

最終的にはパフォーマンスとシナジーの双方を組み合わせてポートフォリオ管理することが有効だと考えられます。

 

A社であれば、小売事業と金融事業はパフォーマンスが高く、シナジー効果も大きいために自社のコア事業と位置付けて投資を優先的に行います。

 

物流事業はパフォーマンスは高いもののシナジー効果が低いために、今後事業を育成していく領域となります。

 

一方、ゲーム事業はパフォーマンスが低く、シナジー効果も低いために撤退(精算)を検討となります。

 

このような考え方を行うことで効率的な資源配分を行います。

 

ここで重要となるのは、中長期的な視点が抜けていることになります。

 

現時点でパフォーマンス、シナジー効果が高い事業に投資することは適切であるものの、中長期視点に立って次の事業にも先行投資させることを忘れてはいけません。

 

現在の主力事業に依存した経営体質はリスクの大きい経営と言えます。

 

まとめ

 

全社戦略策定は「資源配分」と「実行」が特に重要となり、実行してはじめて全体最適が達成されることになります。

 

その後、資源配分の重要性について事例を通して説明を行いました。

 

この資源配分を行っていく際には、ビジョンやドメインとの整合性が重要となるのは言うまでもありません。

 

ビジョンやドメインで設定した売上や利益の目標数字を達成するためのポートフォリオ設計を行う必要があります。

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