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戦略策定に必要なクリティカルシンキング

戦略策定に必要なクリティカルシンキング

今回はクリティカルシンキングについて説明していきます。

 

この文章を読むことで、戦略策定にクリティカルシンキングが必要な理由、事実情報を整理するためのクリティカルシンキングの3つのステップについて学ぶことが出来ます。

 

戦略策定にクリティカルシンキングが必要な理由

 

クリティカルシンキングとは、複雑に見える事象を構造化することで単純化し、物事を説明した時に相手に対して「納得感」を持たせるための思考法です。

 

構造化する際には、物事を抜け漏れなく考えることが必要があり、その上においてもクリティカルシンキングは重要な思考法となっています。

 

例えば、経営戦略を策定するためには、自社を取り巻く外部環境と自社の内部環境分析を正確に行う必要があります。

 

しかし、実際に経営戦略を策定する現場では、自社だけが特別だと思い込むような慣習や企業文化などによって事実情報を正しくとらえることができず、社内外の経営環境を正しく分析できないまま意思決定されていることが多くあります。

 

このような正しくない環境分析から経営戦略を立案することがないように事実情報をもとにして、複雑に見える事象を解きほぐして正しく整理された情報を共有できるようにすること。

 

そして、その上で経営戦略を策定していくことが重要になります。

 

そのための技術として”クリティカルシンキング”が挙げられます。

 

クリティカルシンキングの3つのステップ

 

クリティカルシンキングは、@論理展開、 A因果関係の把握、B構造化分析の3つのステップを踏むことで事実情報を整理する手法となっています。

 

戦略策定に必要なクリティカルシンキング1

 

論理展開

 

論理展開とは、事象同士の関係性に理屈をつけることであり、経営戦略を立案する際に情報を伝達するための基礎スキルとなります。

 

論理展開には、演繹法帰納法の2つの方法があります。

 

演繹法

 

演繹法とは、事象をルールや常識(前提となる事項)に基づいて結論を導出する方法であり、三段論法とも言われる手法になります。

 

演繹法を考えるときの手順として、@結論を考える、A結論の理由を考える、B結論の理由を大きな枠組みに当てはめるという3つの手順で進めると有効です。

 

帰納法

 

一方、帰納法とは、いくつかの事象の共通点に着目してルールや規則性を導出して結論付ける手法になります。

 

演繹法と帰納法はどちらかが優れているわけではありません。

 

双方を使い分けることや帰納法で導出した結論を演繹法の前提(大きな枠組み)として利用するなど、2つの展開方法を組み合わせていくことが重要となります。

 

<演繹法の例>
@まずはじめに結論を考えます。

 

ここでは、「インターネットを利用することは仕事を進める上でとても効率的である」ということにします。

 

この結論に理屈をつけて人に説明することを想定します。

 

A結論の理由を考えます。

 

理由として、「インターネットは自宅で多くの情報を得ることができる」とします。

 

B大きな枠組み(理由)を考えます。

 

ここでは、「多くの情報から取捨選択することで正しく意思決定ができる」とします。

 

これにより、人に情報を伝達する際、「一般的に多くの情報から取捨選択することで正しい意思決定ができると言われています。

 

インターネットを利用すると、図書館に行かずとも自宅から多くの情報を得ることができます。

 

そのため、インターネットを利用することは業務遂行上、とても効率的であると言えます。」と説明することで論理的な説明となります。

 

<帰納法の例>
まずはいくつかの事象から共通点を探します。

 

本事例では、3つの事象を上げます。

 

@業界1位の競合企業のA社は、海外売上比率が40%に達している。

 

A同業界2位のB社は海外売上比率が45%に達している。

 

B業界3位のC社は海外売上比率が40%に達している。

 

この@〜Bの事象から3社とも海外売上比率が40%以上となっていることが共通点として挙げられます。

 

ここから結論は、業界4位で海外売上比率が15%のX社が業界トップ3に入り込むためには、海外売上比率を40%以上にする必要がある。

 

帰納法は聞き手や読み手に納得してもらうことが重要になります。

 

帰納法の弱点は、例示する事象が適切でなかったり、少ない事象から無理矢理結論を導出しようとすると重要な納得感が欠落してしまう恐れがあります。

 

本事例では、本当に海外売上比率を40%にすることのみが業界トップ3に入る条件となるのかの検証が必要となります。

 

因果関係の把握

 

因果関係を把握するということは、事象の関係性について「原因」と「結果」を正しく把握して紐付けることを意味しています。

 

経営戦略を立案する上で前提となる、経営環境の分析を行う際に因果関係を把握し、自社が抱えている根本的な課題である事象の原因を究明することは非常に重要となります。

 

収集した情報は多くの場合、表層的な事象を指すことが多いため、それらの事象が発生した原因を推察し、その推察を裏付ける情報を収集するということを繰り返します。

 

この作業を継続する中で因果関係を的確に把握できないと間違えた分析結果を導いてしまいます。

 

つまり自社の根本原因を誤って導出することになります。

 

正しく因果関係を分析するということは、問いに対する結論(仮説)に対して、結論を裏付ける複数の根拠を導出することになります。

 

または問いに対する結論を複数の根拠情報から導出する作業となります。

 

戦略策定に必要なクリティカルシンキング2

 

構造化分析

 

構造化分析とは、複雑な事象の関係性を紐解くために要素分解し、要素間の関係を明確にすることで事象全体を把握するための手法になります。

 

構造化分析に用いる技術の中でも主要スキルである「MECE」と「ロジックツリー」について説明します。

 

MECE(Mutully Exclusive Collectively Exhaustive)

 

MECEとは、「漏れなく・ダブりなく」情報を整理するための考え方になります。

 

例えば、人間を分類する上で正しくMECEに分類すると”男性”と”女性”になります。

 

しかし、人間を”学生”と”社会人”などと分類してしまうと未就学児や社会人を引退した人たちが漏れてしまいますし、社会人学生などはダブりとなってしまいます。

 

このように漏れやダブりがある状態では、適切に分析することができません。

 

経営戦略を立案する上で活用するフレームワークの多くは、MECEの考え方に基づいて考案されています。

 

例えば、マーケティングの4Pといえば、”Product(製品)”、”Price(価格)”、”Place(流通)”、”Promotion(プロモーション)”といったものが該当します。

 

他にもSWOT分析は、自社の”Strengths(強み)”と”Weaknesses(弱み)”で内部環境を分析し、”Opportunities(機会)”と”Threats(脅威)”で自社を取り巻く外部環境を分析します。

 

ロジックツリー

 

ロジックツリーとは、ある事象を解の事象として論理的に分解していくことを意味しています。

 

このロジックツリーは、複数の事象から根本的な問題点が何になるのかを絞り込む際に利用されることがあります。

 

問題を絞り込むロジックツリーは、因果関係の把握とMECEを組み合わせて構築します。

 

例えば、「売上が減少している」という企業にとっての問題の真因をロジックツリーを用いて探ることを考えてみます。

 

はじめに考えるのは、”なぜ売上が減少しているのか?”という理由を推察します。

 

売上を要素分解すると、「客数×客単価」となります。「客数の減少」と「客単価の減少」は「売上減少」の理由となり、それぞれはMECEの関係と言えます。

 

続いて、「客数の減少」と「客単価の減少」の理由を深掘りします。

 

まず「客数の減少」は、「新規客の減少」と「既存客の減少」に要素分解しました。

 

一方、「客単価の減少」は「商品単価の減少」と「購入点数の減少」に要素分解をします。

 

それぞれも要素分解した結果は、因果関係となり、要素分解した要素同士はMECEの関係となります。

 

このように「売上減少」といった表層的な問題を起点に根本的な問題を究明し、そこへの打ち手を考えることが経営戦略を考える際には重要となります。

 

戦略策定に必要なクリティカルシンキング3

 

まとめ

 

クリティカルシンキングは、経営戦略を立案していく中で必要不可欠な基礎スキルとなっています。

 

企業が抱える根本的な課題・問題を究明するために、物事の深掘りと抜け漏れのない思考を助ける手法です。

 

そして、クリティカルシンキングのMECEを補助するツールとしてフレームワークがあります。

 

これらの思考法、フレームワークをうまく活用することで聞き手の納得感を醸成する戦略立案が行えます。

 

留意点は、クリティカルシンキングもフレームワークもあくまでツールとなるため、それらに当てはめることが目的とならなず、本来の目的を見失わないことが大切になります。

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