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GDPの構成要素

今回はGDPの構成要素について説明していきます。

 

この文章を読むことで、GDPの恒等式と各構成要素について学ぶことができます。

 

GDPの恒等式

 

経済指標として最も重要なものの一つ、国内総生産(GDP)は4つの要素が積み重なって計算されています。

 

それを示すのが次の数式です。

 

Y(GDP)=C(消費)+I(投資)+G(政府支出)+NX(純輸出)

 

この式はいつでも正しくなります(恒等式)。

 

つまり、なんらかの支出があればこの4つの要素、すなわち消費投資政府支出純輸出のいずれかに割り振られ、GDPに組み込まれます。

 

とある主婦がホットドッグを買った時、あるいは企業が工場を建設した時、また政府が道路をつくるとき、あるいはブラックタイガー(海老)をフィリピンから輸入するとき、すべてがこの式の中に含まれるのです。

 

では、具体的に各要素について見ていきましょう。

 

構成要素1:消費

 

消費は「家計による支出」と定義づけられます。

 

食品や書籍といった有形の消費はもちろん、エステや散髪といった無形のサービスにも適用されるほか、洗濯機や冷蔵庫、車やバイクといった耐久財に対してもこの要素が適用されます。

 

また、教育もこの消費に当てはまると言われます。

 

しかし、その性質から「教育費は投資だ」という声もあります。

 

対して、一見消費である新築住宅の購入に関しては消費ではなく、慣習的に投資に分類されることに注意しましょう。

 

構成要素2:投資

 

ではこの投資とはなんでしょうか。

 

より多くの財・サービスの生産のために使われる財の購入」、それが投資です。

 

企業が行う設備投資や在庫、建物の購入などがこれにあたります。

 

注意したいのは「在庫」についての理解です。

 

これについては少し日常生活とは異なった理解が必要なので、例を挙げて説明しておきましょう。

 

【例題1】
酒造会社Aと取引のあるビン工場Bが品番Xのビンを30000本製造しました。

 

しかし、酒造会社Aは10000本しかXを発注しませんでした。

 

ビン工場Bは残りの20000本を自社の倉庫に在庫として保管し、次の発注に備えます。

 

<解説>
この時ビン工場Bは自社で製造した品番Xのビン20000本を「自ら購入した」とみなされます。

 

つまり、Bはいつか来る発注のために20000本分の投資支出を行ったのです。

 

そして、この在庫の中から5000本出荷すると、Bの在庫投資がマイナス5000本となり、それを購入した酒造会社Aの5000本への支出のプラスと相殺されます。

 

こうして「生産」に特化して経済を追うことで、GDPの数値を正確に測ろうとするわけです。

 

gdpの構成要素1

 

構成要素3:政府支出

 

政府支出は国、地方問わず自治体が行う財・サービスへの支出を指します。

 

「公務員への給与支払い」や「道路工事などの公共事業への支出」などがそれにあたります。

 

これだけなら文字通りの意味として理解できますが、ここでもう一つ「移転支出」という言葉について理解が必要です。

 

これは振替支出とも呼ばれ、財・サービスとの交換を伴わない支出を言います。

 

例えば、生活保護費や雇用保険などの支出、公務員の退職金などがこれに当てはまります。

 

なんらかの財やサービスを政府が得ないにもかかわらず、支出が行われている場合には、これを移転支出として計上するのです。

 

この移転支出は政府支出として扱われないので注意しましょう。

 

gdpの構成要素2

 

構成要素4:純輸出

 

純輸出は貿易収支ともいい、自国の財を他国が購入した額(輸出)から、他国の財を自国が購入した額(輸入)を差し引いたものを指します。

 

トヨタの自動車をアメリカが購入すれば、日本の純輸出額は増加します。

 

ところで、この「純」とはなんでしょうか。これは輸出から輸入を差し引く、という手続きを意味します。

 

つまり、貿易が赤字なのか、黒字なのかをすぐにわかるようにしてあるわけです。

 

しかし、ここで疑問が浮かびます。

 

「輸入をマイナスとして含んでしまうとGDPへの影響にはならないのか」というものです。

 

具体的な数字を挙げてこの問題を解決しておきましょう。

 

【例題2】
日本がアメリカから、とうもろこしを3万ドル輸入したとします。

 

対して、アメリカは日本から車を5万ドル輸入したとします。

 

これについて純輸出と、国内の支出の関係を考えてみましょう。

 

<解説>
とうもろこしを3万ドル輸入した場合、純輸出にはマイナス3万ドルが計上されます。

 

5万ドルの車を輸出すると、プラス5万ドルが純輸出に計上されます。

 

これだけですと、一見輸入によって純輸出が減少し、それに伴いGDPが減少しているように見えます(冒頭の式を思いだしましょう)。

 

しかし、この時同時に、国内ではとうもろこし3万ドルの支出が行われていることに着目しましょう。

 

つまり、国内の支出に関してプラス3万ドルが計上されます。

 

これにより相殺が起こり、結果としてGDPには影響が出ない仕組みになっています。

 

gdpの構成要素3

 

まとめ

 

Y(GDP)=C(消費)+I(投資)+G(政府支出)+NX(純輸出)

 

消費=家計による支出

 

投資=より多くの財・サービスの生産のために使われる財の購入

 

政府支出=自治体が行う財・サービスへの支出(移転支出は除く)

 

純輸出=貿易収支=輸出?輸入

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