株価指数とは(日経平均、TOPIX、ダウ平均、FTSE)
今回は株価指数について説明していきます。
この文章を読むことで、「株価指数の概要」「世界の株価指数」について学ぶことができます。
株価指数の意味
株価指数とは株式市場全体の動向を示す指標です。
東証一部・大阪一部というのは、東京証券取引所や大阪証券取引所の最も厳しい上場基準を満たした企業のみが参加できる株式市場で、一部に上場することでより資金調達がしやすくなるなどのメリットがあります。
日本で株価指数といえば、日経平均株価や東証が発表しているTOPIXのほかにもNYダウといった海外の指数もあります。
これらは株式市場全体の動向を示すとともに、ほとんどその経済全体の動向をも示していると言ってもいいほど重要な数字です。
株価指数の読み方
では、この株価指数はどのようにして経済の分析ツールにすればいいのでしょうか。
それにはまず、「それぞれの株価指数が何を元に計算されているのか」を知っておく必要があります。
世界各国の代表的な銘柄の紹介は後述するとして、ここでは東証が発表しているTOPIXとその読み方について解説しましょう。
TOPIXとは
TOPIXは、「東証一部上場企業すべての当日の株価×発行されている株式数÷1700」で計算します(東証一部上場企業は全部で約1700)。
各企業の「当日の株価×発行されている株式数」は、その企業のその日の価値=時価総額を示します。
TOPIXが変動するときにわかること
例えば、X社の発行株式数が2500万株、X社と同じ株価のY社の発行株式数が5億株だったとしましょう。
双方の株価が10円上がると、X社の時価総額は2.5億円上昇するのに対し、Y社は50億円も上昇します。
このことからわかるのは、Y社がX社よりもTOPIXに対して20倍もの影響力を持つということです。
時価総額の低い企業の株価が上がっても…
このことから言えるのは、TOPIXの数値は時価総額の大きい企業の株価が変動させるのであって、時価総額の低い企業の株価が上がったところで数値の変動はしないということです。
例えば、株価はX社・Y社と同じですが、株式発行数が1000万株のZ社があるとしましょう。
技術革新が起きて、Z社の株価が200円も上昇したとします。すると1000万株×200円=20億円の時価総額増です。
しかし、同じ日にY社の株式がたった4円下落しただけで、Z社の技術革新分の株価上昇は相殺されてしまいます(5億株×4=20億円)。
従って「TOPIXが動いたら時価総額の大きい企業の株価が変動したのだ」とわかるのです。
世界の株価指数
では、以下ではアジア、アメリカ大陸、ヨーロッパの主要な3つの株価指数について紹介しておきましょう。
ここで重視するのは「その指数が何をもとに計算されているか」という点です。
日経平均株価
日本の株式市場の最も重要な指数です。
東証一部に上場する約1700に及ぶ銘柄の中から主要な企業を225銘柄抜き出し、その平均を算出しています。
日本経済新聞社が銘柄の制定、算出を行っていますが、政府の経済統計にも使われるほどメジャーな指標です。
TOPIXのように全ての銘柄の動きを反映しない分、数値が変動すればダイレクトに日本経済に関わってくるという性質があります。
日本ハムやサッポロホールディングスや帝人に東レ、資生堂や旭硝子などが名を連ねています。
NYダウ工業株30種
ダウ平均株価は、アメリカの経済ニュース通信社「ダウ・ジョーンズ社」が算出する株価指数で、最もメジャーなものが「工業株30種」です。
その他に「輸送株20種」「公共株15種」があり、それらを合わせた「ダウ総合65種平均」という指数もあります。
アップルやアメリカンエキスプレス、ボーイングなどが名を連ねています。ある種、世界の経済を反映している数値といえるでしょう。
FTSE100指数
欧州を代表する株価指数で、ロンドン証券取引所に上場する銘柄のうち、時価総額上位100銘柄で構成されています。
ヨーロッパ全体の経済の指標となる数値で、この100銘柄でロンドン証券取引所の上場企業の時価総額の約8割を占めています。
詳しいことはわからなくともこれら3つの指数を見るだけで、いま世界の経済がどのように動いているかを大雑把につかむことができます。
まとめ
株価指数→株式市場全体の動向を示す指標
株価指数を読むときのポイント→どんな銘柄をもとにして計算されているかを知っておく。
日経平均株価→東証一部上場の主要銘柄225種を抜き出し、株価平均を算出。
NYダウ工業株30種→アメリカの代表銘柄30種を選別し、算出する株価指数。
FTSE100指数→ロンドン証券取引所に上場する時価総額上位銘柄100種の平均株価を示す指数。
TOPIX→東証一部上場企業全ての時価総額の平均
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