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閉鎖経済と開放経済

今回は閉鎖経済と開放経済について説明していきます。

 

この文章を読むことで、「閉鎖経済と開放経済の違い」「閉鎖経済から開放経済に移行する際に検討が必要な要素」について学ぶことができます。

 

閉鎖経済と開放経済の違いとは

 

閉鎖経済と開放経済の違いを端的に言うと「外国との取引の有無」です。

 

例えば、ミクロ経済というのは、家計や企業といった特定の市場の中の出来事だけを扱うものでした。

 

マクロ経済に関しても、インフレーションや失業、経済成長といったトピックを扱うもので、確かに規模は大きくなりましたがそれでも1つの国だけを対象に考察してきました。

 

以下では閉鎖経済と開放経済について、もう少し掘り下げて考えていきます。

 

閉鎖経済とは

 

閉鎖経済とは「外国の経済と自国の経済との間に取引が行われないという前提のもとで考えるモデル」を指します。

 

グローバル経済が叫ばれる昨今では、このような経済は実際には少なくなりましたが、具体例を見ながら閉鎖経済について考えておきましょう。

 

【例題1】
戦後の食糧難から脱却した昭和40年代(1965-1974)初頭、日本はそれまで輸入していたインディカ米を含め、国内農業保護のためにコメの輸入を原則禁止しました。

 

この政策は、平成5年(1993)に記録的な冷夏によって致命的なコメ不足に直面するまで続きます。

 

<解説>
インディカ米は明治期から国内に輸入され、低所得者層を中心に食べられていました。

 

つまり、昭和40年代にコメ輸入を原則禁止にするまでは、日本のコメ市場は開放経済にあったことになります。

 

しかし、食糧難を解決し自分たちでコメをまかなえるようになってからは閉鎖経済に移行したのです。

 

開放経済とは

 

次に、開放経済について見ておきましょう。

 

開放経済は「外国経済とのやりとりを分析対象に加えた経済」のことで、閉鎖経済に比べて「考慮に入れなくてはならない概念」が一気に増加します。そのため経済的に生き抜くのも難しくなります。

 

では、なぜ国際社会では開放経済が主流で、閉鎖経済はマイナーな存在なのでしょうか。

 

それは、経済学の十大原理のうちの一つ「交易はすべての人々をより豊かにする」ですでに示しています。

 

衣食住に必要なものすべてを自分だけで生産するよりは、服は自分、家は彼、食事は彼女というふうに分担した方が多様な生活が可能になるというわけです。

 

閉鎖経済のままではその利益を享受できません。

 

これは古典派経済学者の一人、デヴィッド・リカードが提唱した「比較優位」でも言われていることです。

 

リカードの説によれば、各国が各々の得意分野に特化したほうが、世界全体の経済を豊かにすることができるのです。これは今も貿易理論の基礎理論として知られる考え方です。

 

閉鎖経済から開放経済に移行する際に検討が必要な要素

 

では、閉鎖経済から開放経済に移行すると、どういった要素について検討が必要になるのでしょうか。

 

第一に「輸入」「輸出」「純輸出」という3つの変数について考えなくてはいけません。

 

これは海外と取引するのであれば当然で、国家間での経済活動にはどうあっても発生する要素です。

 

また、「純資本流出」も重要な要素の一つです。

 

国内居住者が海外の資産を購入したり、非居住者が国内の資産を購入したりすることで起きる、国の中の資産を考える変数です。

 

加えて、「貯蓄」「投資」もより国際的な規模で行われるため、視野を広げて考える必要があります。

 

開放経済を理解するために、新たにこれらの変数の意味するところと決定要因について理解しなくてはなりません。

 

とりわけ貿易ともなると、政府の役割が今まで以上に大きくなるため、政策がこれらの変数に及ぼす影響についても把握する必要があります。

 

閉鎖経済と開放経済1

 

まとめ

 

閉鎖経済と開放経済の違い=外国との取引の有無

 

閉鎖経済とは→外国との取引を互いに行わない経済。

 

開放経済とは→外国との取引を互いに自由に行う経済。

 

開放経済理解のためのキーワード→輸出、輸入、純輸出、純資本流出、貯蓄、投資など

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