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貨幣価値と物価水準

今回は貨幣価値と物価水準について説明していきます。

 

この文章を読むことで、貨幣数量説の考え方を基にした貨幣価値について学ぶことができます。

 

私たちの生活と貨幣価値

 

1957年4月に発売された「お口のエチケットガム」、グリーンガムは6枚入りで20円でした。

 

しかし、2014年にリニューアルして登場したグリーンガムの値段は、9枚入りで税込103円です。

 

1枚当たり3倍以上の値上がりです。もちろん、このような現象は何もグリーンガムだけではありません。

 

同じ1957年の東京都の牛乳200mlの価格は14円30銭でしたし、かけうどん・そばは30円から35円という価格でした。現在の価格と考えれば恐ろしいほど安かったのです。

 

しかし、ここで私たちは「物価水準」とか「貨幣価値」という言葉を思い出す必要があります。

 

すなわち、一見した額面だけを知ることができても、それをそのまま「安くなった」「高くなった」ということはできないのです。

 

ここでは「貨幣数量説」をベースに、貨幣価値について考えておきましょう。

 

貨幣数量説について

 

貨幣数量説の歴史は古く、その発端は18世紀前半のヨーロッパにあります。

 

ジョン・ローリチャード・カンティロンといった経済学者によって唱えられた、「物価の安定には貨幣流通量の監視と管理が必要不可欠だ」とする説です。

 

これは、そのまま中央政府や管理当局の通貨管理政策の重要性を支持するものとなっています。

 

この理論は未だ効力を失ってはおらず、ノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマンも貨幣数量説をベースにしたマネタリズムを提唱しています。

 

「古典派」「新古典派」などとカテゴライズされるこの理論をよりどころにしながら、貨幣価値と物価水準について説明しておきます。

 

物価が上昇するとき

 

物価が上昇するとき、市場には一体どんなことが起きているのでしょうか。

 

例えばグリーンガムが20円から100円に値上がりしたとき、市場は1957年よりも5倍程度グリーンガムを好きになったのでしょうか。

 

牛乳やかけうどん・そばは、1957年当時、日本人にはあまり好かれていなかったのでしょうか。確かにそれも要因としてはあるかもしれません。

 

しかし、説得力のある説明のひとつは「貨幣価値の低下」でしょう。

 

貨幣の価値が下がる!

 

つまり2014年の1円の価値と、1957年の1円の価値に大きな違いがあるということです。

 

物価水準を貨幣価値の尺度と考えた場合、「物価水準の上昇=貨幣価値の減少」という図式が見えてくるはずです。

 

グリーンガムの例で考えてみましょう。2014年にグリーンガム1枚を買おうと思うと約11円必要です。

 

1円あたりで買うことのできるガムは1/11枚。対して1957年にグリーンガム1枚を買うと約3円です。この場合の1円あたりのガムは1/3枚となります。

 

「1円の価値が下がっている」というのはこういうことです。

 

これをさらに抽象化して、数式で考えてみましょう。

 

【例題】
物価水準をPとします。財・サービスを購入するために必要なお金がこのPです。

 

この場合、100円で購入できる財・サービスの量は100/Pとなります。

 

このPの値が200円、300円となるに従って、1円あたりの価値は1/2、1/3というふうに小さくなっていきます。

 

<解説>
Pはある年の価格を基準として、その年からの変化量で求められる数値です。

 

つまりは、「貨幣の価値を基準として財・サービスの価格を決定するもの」です。

 

対して100/Pの場合、100/Pで購入できる財・サービスの量が計算結果として求められます。

 

そのため、これは「財・サービスの量で測る貨幣の価値」と言えます。

 

従ってPの値が200円・300円と上昇し、1円の価値が1/2、1/3となっていくのは貨幣価値の減少なのです。

 

つまり「物価水準の上昇=貨幣価値の減少」です。

 

貨幣価値と物価水準1

 

日本は戦後基本的に物価水準を上昇させてきました。

 

これは言い換えれば、戦後は「日本円の価値が国内でどんどん低下した歴史」ということです。

 

まとめ

 

貨幣数量説→物価の安定は貨幣流通量の監視と管理によって可能であるとする説

 

物価水準の上昇=貨幣価値の減少

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