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弾力性と税の帰着

今回は弾力性と税の帰着について説明していきます。

 

この文章を読むことで、税の帰着を決定するための価格弾力性について学ぶことができます。

 

税の負担はどのように決まるのか

 

課税をするとき、政府から見れば買い手に課税しようが売り手に課税しようが、結局入ってくる収入は変わりません。

 

また、市場に対しての影響も、課税をすれば市場自体が縮小するという点もどちらに課税しても変わりません。

 

さらには、税金を結果的には双方が分担して負担するという点も、課税対象によって変わるものではありません。

 

問題は「誰がどれだけ負担するか税の帰着)」です。

 

これを決定するための基準となるのが、価格弾力性という言葉です。

 

弾力性とは

 

弾力性とは、ある要因に対してどれだけ変化するのかを示す言葉です。

 

例えば、貯金が10万円から11万円に増えた時にものすごく喜ぶ人と、100万円から101万円に増えた時にあまり喜ばない人がいた場合、前者の方を弾力性が高い、あるいは弾力的だと言います。

 

対して後者を弾力性が低い、あるいは非弾力的だと言います。

 

価格弾力性とはこの「ある要因」を価格とし、それに対しての弾力性を考えるものです。

 

需要の価格弾力性、供給の価格弾力性などと言います。

 

それではこの価格弾力性に着目して、税の帰着について考えてみましょう。

 

【例題】

弾力性と税の帰着1

 

<解説>
(グラフ1)

 

このグラフにおいては供給曲線の価格弾力性が非常に大きく、それに対して需要曲線の弾力性は低くなっています。

 

この時、供給は弾力的であり、需要は非弾力的であると言います。これは「課税による価格の変動に対して大きな変化を見せるのが供給である」という意味です。

 

グラフを見てもわかるように、価格が上昇すると供給量は大きく増加します(逆も然り)。

 

対して、需要曲線は価格の変動に対して需要量をそれほど変化させません。

 

このような市場で課税を行うと、買い手の方に大きな税負担がかかることになります。

 

(グラフ2)

 

対して需要の価格弾力性が大きく、供給の価格弾力性が低い場合を想定したのがグラフ2です。

 

価格の変動に対して需要量は大きな変化を見せますが、供給はそれに比べると小さくしか反応しません。

 

この状況で課税を行うと、売り手の税負担が大きくなり、買い手の税負担は小さくなります。

 

結論として課税時の負担の割合は、特定の財に対して弾力性の小さい方が大きくなると言うことが言えます。

 

なぜ弾力性が小さい方が大きな負担をするのか

 

このような事態になるのはなぜなのでしょうか。

 

ここでもう一度、弾力性の大小が何を意味するのかを考えておきましょう。

 

価格弾力性が大きいというのは、価格の変動に対して敏感に反応することです。

 

需要の価格弾力性が大きければ、少しでも価格が上昇した場合には大きく需要量は減少しますし、供給の価格弾力性が大きければ価格が下落すれば大きく供給量は減少します。

 

対して価格弾力性が小さい場合は価格が変動しても、需要量や供給量には大きな変化がありません。

 

これはつまるところ、「その財がなくては困る」人ほど非弾力的であるということです。

 

例えば、鉄の加工を事業としている工場にとって、鉄鋼はある程度値上げされても需要量を減らすわけにはいきません。

 

対して弾力的な人は「財があってもなくても構わない」と思っているのです。

 

主食がパンでもコメでもいい人は、米の値段が上がれば米の需要を減らし、パンへの需要を増やすでしょう。

 

つまり、財に対しての依存度が高いほど税の負担が大きくなるわけです。

 

これは非常に理にかなっている法則です。

 

弾力性と税の帰着

 

税の帰着を考える際には、需要と供給それぞれの価格弾力性が重要です。

 

供給の価格弾力性が需要の弾力性より相対的に大きい場合、税の負担は需要側の方が大きくなります。

 

逆に、需要の価格弾力性が大きい場合は供給側の税負担が大きくなります。

 

財への依存度が高いほど税の負担が大きくなります。

 

まとめ

 

弾力性大=財への依存度低→税の負担小

 

弾力性小=財への依存度高→税の負担大

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