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純輸出と純資本流出の均等

純輸出と純資本流出の均等

今回は純輸出と純資本流出の均等について説明していきます。

 

この文章を読むことで、純輸出=純資本流出が恒等式になる理由について学ぶことができます。

 

双子の不均衡

 

輸出額から輸入額を差し引いた数値である「純輸出」。

 

対して、国内から海外への資産流出額から、海外から国内への資産流入を差し引いた数値である「純資本流出」。

 

この両者はどちらも「でていったお金」と「入ってきたお金」の不均衡を表す数値です。

 

この一見すると関係のなさそうな二つの不均衡は、実は全く同じ数値を示すようになっています。すなわち、

 

純輸出(NX)=純資本流出(NCO)

 

となるのです。これは常に成立する恒等式です。

 

NX=NCOになる理由

 

では、なぜこのようになるのかを考えていきましょう。この恒等式は次のように説明できます。

 

ある国で貿易黒字が成立している時、すなわち純輸出が0よりも大きい時は財・サービスを輸出している額の方が、輸入している額よりも大きいということになります。

 

海外からの通貨を受け取ったこの国は、そのお金をなんらかの形で外国資産の購入に充てています。

 

このときの購入に充てた金額は、貿易黒字と同額になります。

 

貿易赤字の場合、すなわち純輸出が0よりも小さい場合は輸出額よりも輸入額の方が大きくなります。

 

この国が輸入に使ったお金というのは、別の外国に資産を販売することで調達しています。

 

このとき資本はこの国へと流入していることになります。

 

純輸出と純資本流出の均等1

 

世界市場という大きなサイクルの中をお金がぐるぐると循環しているイメージです。

 

これだけでは理解は難しいかと思いますので、以下で詳しく具体例を見ておきましょう。

 

【例題】
日本に住んでいるXさんは、自分の作った革のバッグを中国の消費者に向けて5000人民元で販売しました。

 

これは日本の輸出なので、Xさんの功績によって日本の純輸出が5000人民元分増加します。

 

さて、この後この5000人民元はどう動くでしょうか。

 

<Xさんの行動1>

 

Xさんはどう動いても、結果的には日本の純資本流出を増加させます。

 

例えば、「これは初めての売り上げだから記念に飾っておこう」と額縁に人民元を敷き詰め、壁に掛けたとします。

 

Xさんのこの行動は、自分の資産によって中国経済へ投資していることになります。すなわち日本居住者が5000人民元を購入している状態なのです。

 

よって、純輸出増加分の5000人民元と純資本流出増加分の5000人民元はイコールになります。

 

<Xさんの行動2>

 

あるいは、Xさんは「初めて自分のカバンを買ってくれた国だ。きちんとお返しをしよう」ということで、5000人民元すべてを使って中国の国債を購入しました。

 

この行動は言い換えれば「日本居住者が中国の資産を獲得した」わけですから、結局のところ純資本流出は5000人民元増加し、NX= NCOの恒等式は揺らぎません。

 

<Xさんの行動3>

 

「いやいやちょっと待てよ。どうせなら中国で話題の5000人民元のスマートフォンを買おう」とXさんが判断したとします。

 

すると、日本の輸入額が5000人民元増加します。輸出した金額と輸入した金額が同じなので、この時純輸出には変動はありません。

 

対してXさんと中国側が獲得した資産には差がないため、純資本流出にも変動はありません。

 

<Xさんの行動4>

 

「いやいやいや。待て待て。この人民元を日本円に交換して、今夜はパーっと飲みに行こう」と最も即物的な案を思いついたXさんはその足で地元の銀行に駆け込み、5000人民元を日本円に交換します。

 

もちろんここで人民元はXさんの手から離れるわけですが、日本国内の所有物という点には変わりがありません。

 

5000人民元を手に入れた銀行は、結局ところ「店に飾る」「投資に使う」「材の購入に充てる」などの使い方をします。

 

そして、どの使い方をしても結果は同じで、NX=NCOの恒等式も揺るぎません。

 

どの場合も国債市場の中をぐるぐるとお金が巡り、入ってきた分だけ出て行っています。

 

【例題2】
Yさんは普段はブランドバッグの輸入会社に勤めていて、先日は5000万円分のブランドバッグをアメリカから輸入したところでした。

 

これは日本の輸入になるため、純輸出は5000万円分減少します。

 

では、純資本流出はどうなるでしょうか。

 

<解説>
このときYさんがアメリカの企業に渡した5000万円をアメリカ企業がどのように使うのかは様々ですが、一つの可能性としてYさんの企業の株を購入するとしましょう。もちろん社用車に日本車を購入するのでも構いません。

 

どちらにしろ、このときアメリカから日本へ5000万円分の資本流入が起きています。すなわち5000万円分の純資本流出の減少です。

 

すなわち、NX=NCOとなります。

 

こうして流入してきたお金で日本企業がまた別の輸入を行い……というようにお金がぐるぐると巡ります。

 

純輸出と純資本流出の均等

 

[純輸出(NX)=純資本流出(NCO)]

 

入ってくるお金と出て行くお金は同じであるという意味の恒等式です。

 

なぜこのようになるのかといえば、次のように説明できます。

 

<貿易黒字の場合>

 

純輸出が増加します。

 

これによって流入した資本は、財の購入や投資などの形をとって再び海外へと出ていきます。従ってNX= NCOとなります。

 

<貿易赤字の場合>

 

純輸出が減少し、資本が海外へ出ていきます。

 

しかし、出ていった資本はぐるりと回って国内へと流入してくるため、NX= NCOとなります。

 

まとめ

 

純輸出(NX)=純資本流出(NCO)

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