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税金とは

税金とは

今回は「税金」について説明していきます。

 

この文章を読むことで、「税金の性質」や「税の帰着」について学ぶことができます。

 

政府と税金の関係

 

アメリカ合衆国やロシア連邦、日本や韓国、ルクセンブルクやバルバドスなど、政府と名のつくすべての組織は税金を収入として成立しています。

 

道路を作るにも公民館を立てるにも、あるいは地域のお祭りを開催するにも、その母体が政府である限りは、そこで使われるお金はすべて税金なのです。

 

同時に、税金を納付するのは市場を構成している買い手と売り手です。

 

であれば、彼らの取引に深く関与する税金の性質について考えないわけにはいきません。

 

税の帰着とは

 

市場における税金の性質について考えるにあたって重要なキーワードの一つが「税の帰着」です。

 

「課税をする」というとき、真っ先に問題になるのは「誰に課税をするのか」です。

 

これが売り手に対してのものなのか、買い手に対してのものなのかは、私たちが生活していく上で大きな違いになるでしょう。

 

この税金の負担が経済を構成する参加者にどのように分配されるのかを「税の帰着」と呼びます。

 

以下では売り手に課税した場合、買い手に課税した場合をそれぞれ考えていきます。

 

売り手に課税すると何が起きるのか

 

課税によって市場に何が起きるのかを考える際に用いる分析手法は、「均衡変化分析に使った三段階アプローチ」です。

 

第一に「課税が持つ需要曲線及び供給曲線への影響」を考えます。

 

第二に「その影響によって曲線がどちらにシフトするのか」を考えます。

 

第三に「そのシフトが均衡価格と均衡取引量にどのような影響を及ぼすのか」を考えます。

 

売り手に課税すると結果的に均衡価格を引き上げ、均衡取引量を減少させ、市場規模を縮小することがわかります。

 

以下で具体例を見ていきましょう。

 

【例題1】
とある三色団子市場では三色団子が1本150円で取引されています。

 

しかしある時、経済産業大臣が「三色団子の販売に対して課税すれば国民が幸せになる」という記者会見を行い、同時に三色団子が1本売れるごとに15円の税金を納める法案を提出しました。

 

マスメディアも次々とこの法案を後押しし、あっという間に通過してしまいます。

 

さて、この法案が市場にどのような影響を及ぼすのかを見ていきましょう。

 

<解説>
(第一段階)

 

この法案は供給曲線をシフトさせます。

 

販売に対する課税なので、直接的な影響があるのは売り手の方です。

 

対して買い手にとって、三色団子は150円で50万個の需要、160円で45万個の需要という状況は変わらないので、需要には影響がないと言えます。

 

しかし、売り手からしてみれば同じ投入量で作っても、利益は減少するので、必然的に供給量が減少します。

 

(第二段階)

 

供給曲線は左(あるいは上)にシフトします。これは、前述のようにこれまでと同じ投入量で生産・販売を行っても、そこに課税がされる限り販売価格は上がってしまうからです。

 

それに伴って供給量は減少し、供給曲線を左にシフトさせます。

 

また、このシフトは常に15円分だけ上方に動きます。均衡価格が150円のままだと、15円の納税をした時の売り手の受取価格は135円です。

 

この価格だと売り手は採算が取れないので、供給量を縮小します。

 

すると買い手側からすれば、需要を下回る供給量になってしまいます(超過需要)。

 

超過需要になれば価格は上昇します。この場合、同じ供給量を維持するには市場は15円分価格を上昇させる必要があります。

 

結果として供給曲線は15円分、上にシフトすることになるのです。

 

(第三段階)

 

こうして売り手に対する課税は均衡価格を150円から160円に10円上昇させ、均衡取引量を50万本から45万本に減少させます。

 

グラフのように、この均衡点の移動は需要量・供給量ともに減少させるため、課税は市場規模の縮小につながるということができます。

 

税金とは1

 

売り手への課税は何をもたらすのか

 

ここで「税の帰着」について考えてみましょう。

 

納税するのは課税されている売り手には違いありません。

 

しかし、税が課されることによって価格が150円から160円に上昇しています。

 

このとき、買い手は15円の税金のうち10円を負担していることになります。対して売り手からすれば価格が160円の時の受取価格は145円になっています。

 

つまり、売り手は5円の税金を負担しているのです。

 

したがって、税の帰着は売り手と買い手双方であるということがわかります。

 

また、この課税は買い手にとっては10円分の負担増、売り手にとっては5円分の負担増となり、どちらにとっても生活の悪化につながっている点にも留意しておきましょう。

 

引き続き買い手に課税がされた場合について考えましょう。

 

【例題2】
先ほどとは別の国の経済産業大臣は「三色団子を1本購入するたびに15円課税すれば国全体が豊かになる」と発表し、法案を提出、通過させます。

 

さて、今度はどうなるでしょうか。

 

<解説>
(第一段階)

 

三色団子を買うたびに15円が課税されるので、影響があるのは需要です。

 

対して買い手の供給曲線には変化はありません。

 

今回の法案は売り手からすれば投入量に対しての販売価格に影響をもたらさないからです。

 

したがってシフトするのは需要曲線です。

 

(第二段階)

 

需要曲線は左(あるいは下)にシフトします。

 

買い手にとって課税は負担額の増加につながります。

 

したがって同じ価格での需要量は常に減少するため、需要曲線は左方へ移動するのです。

 

需要曲線は同時に15円だけシフトします。

 

価格が課税によって15円上昇すると、需要量は減少します。そうなると市場は過剰な供給量を抱えることになります。

 

この問題を解決するために市場は価格を低下させて需要量を増やす必要があります。

 

そこで需要曲線を15円分下方にシフトさせるのです。

 

(第三段階)

 

均衡価格は150円から140円に下落し、均衡取引量は50万本から45万本に減少します。

 

グラフのように均衡点の移動は、価格・取引量共に減少させるので、この課税は市場を縮小させていると言えます。

 

税金とは2

 

買い手への課税は何をもたらすのか

 

再び「税の帰着」について考えましょう。

 

1本の三色団子の購入に際して15円の課税がなされる時、誰がどれだけ税を負担しているのでしょうか。

 

一見すると、買い手側は課税によって以前の均衡価格である150円よりも10円安く購入できているように見えます。

 

しかし、買い手はここからさらに15円多く支払うので、結果支払い価格は155円になり、以前より5円多く負担することになります。

 

この5円が買い手側の税負担額です。

 

対して売り手側は150円の時よりも10円安く販売しなくてはいけないので、この10円分利益を削っています。売り手側の税負担は10円です。

 

この時、15円の買い手に対する課税は売り手買い手双方にとっての負担となり、どちらの生活も悪化させることがわかります。

 

どちらに課税しても同じ

 

つまるところ売り手に課税しても、買い手に課税しても、結果は「分担して負担する」「双方の生活を悪化させる」という点は同じなのです。

 

二つの間で異なるのは、ただ課税する人が買い手なのか売り手なのか、それだけです。

 

ここで問題になるのが、「では誰が納税すべきなのか」という判断です。

 

「誰が納めても同じ」という実証的データから、納税すべき対象を決定するための規範的分析を行う必要があるのです。

 

税金とは

 

税金とは政府を運営していく上では、なくてはならないものです。

 

しかし、供給側、需要側、どちらに課税しても結果は「双方が分担しての負担と生活の悪化」という点では同じになってしまいます。

 

政策立案者は、「誰が納税すべきなのか」という規範的分析を求められています。

 

まとめ

 

税の帰着→誰が税を負担するのか

 

売り手に課税すると売り手と買い手で分担して負担する(双方の生活は悪化)。

 

買い手に課税すると買い手と売り手で分担して負担する(双方の生活は悪化)。

 

課税において違うのは「誰が納税するのか」という点だけ。

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