良い仮説の3要素 その1
【良い仮説とは】
ビジネス上で発生した課題において、ただ闇雲に情報収集からはじめるのではなく、仮説を構築したのちにそれを検証するという過程を経ることで、数多くのメリットがあります。
学生の試験勉強にたとえて考えてみると分かりやすいのですが、限られた時間のなかで、教科書を端から端まで読み込むよりも、教授ごとの試験の傾向から仮説を構築し、試験後に検証を行ったほうが効率的に点数が稼げることは言うまでもありません。
これはもちろん、大学受験やセンター試験対策においても同じことです。
高校までの勉強は幅広く奥深いものですので、必要な部分に絞って勉強しなければ、他の受験生に差をつけることは難しいでしょう。
過去の傾向を仮説・検証によって分析した対策本を活用することは、今や受験生にとってあたり前となっていますね。
競争社会においては、いかに仮説・検証思考ができるかによって、その後の成果が大きく変わってくるのです。
ビジネスの話に戻りましょう。
大学を卒業した瞬間から勉強をしなくなってしまう人は多いですが、それは大変もったいないことです。
いや、場合によってはもったいないでは済まされないかもしれません。
なぜなら、ビジネスの現場では正解のない課題が次から次へと発生するからです。
日々のなかで学び、自分なりの仮説を構築して、それを検証しつつまた仮説を構築する。
そうした過程を経て、はじめて成長できるのです。
もし、一般常識や固定観念にとらわれていたらどうなるでしょうか。
会議では当たり障りのないことしか言えず、企画書は掘り下げが不十分だと突き返され、情報収集にもその分析にも多大な時間を費やさなければならなくなる。
これでは、とうてい優秀なビジネスパーソンとは言えないでしょう。
普段の生活のなかでアンテナを張り巡らせておくことはもちろん、自分なりの仮説と検証をつねにくり返し行いたいですね。
もちろん、仮説と検証を行うことそのものにも価値はありますが、それだけでは不十分です。
同じ仮説でもその質は異なりますし、仮説が一般常識の延長上のものに過ぎないということも十分に考えられます。
いくら検証によって精度を高められるとは言っても、情報量や洞察力を背景にしたレベルの高い仮説からはじめるのと、誰もが知っている一般論からはじめるのとでは、検証結果にも差が生じることは明らかですね。
そこで、どのような仮説を構築すれば良いのか、その指針となる「良い仮説」について、ここで改めて考えてみましょう。
仮説の段階から理想的なゴール(結論、意思決定、行動)を模索するのであれば、どのような仮説が優れていると考えられますか。
おおむね次の3つのポイントがあげられるかと思います。
<良い仮説の要素1> 斬新な発想・オリジナリティ
<良い仮説の要素2> 問題の根幹からずれていない
<良い仮説の要素3> より具体的で実践可能である
「斬新な発想やオリジナリティ」という要素は、当初の仮説が一般論に終始してしまわないためのポイントです。
先程も申し上げましたが、当初の仮説が一般常識をそのまま採用したものでは、厳しい競争社会であるビジネスの現場において、価値のある意思決定には結びつかない可能性が高いでしょう。
あるいは、そのような高レベルの結論を得るために、より多くの検証が必要となってしまいます。
また、「問題の根幹からずれない」とは、何を考え論じるべきなのかというイシューを見失わないということです。
いくら斬新でオリジナリティにあふれる仮説を構築できても、それが課題を解決するために活用できなければ意味がありませんね。
たとえば、売上をより多くあげるという解決すべき課題に対して、経費削減案を提示するのはイシューを見失っている証拠でしょう。
3つ目の「より具体的で実践可能である」という要素は、机上の空論に陥らないための警告です。
仮説・検証思考は、それをくり返すだけでどこまでも課題に対する掘り下げが可能なため、抽象的な議論へと方向性が向いてしまったり、場合によっては効果的だが実践不可能な方法論に行き着いてしまうことがあります。
それを防ぐために、具体性と実践可能性をつねに意識しておきましょう。
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