フレームワーク思考 その1
【フレームワーク思考とは】
目の前の課題に対して、つねに論理的なアプローチをするためには、MECE(モレなくダブりなく)の思考法を実践し続けることが大切です。
ピックアップするべき要素に抜けや重なりがなければ、どのような問題に対しても、思考の精度が高まるからですね。
もし検討するべき課題において、集めるべき情報が不十分であれば、導き出される結論も限定的なものとなってしまいます。
たとえ最終的な意思決定権者が会社の社長だけだったとしても、決断へのプロセスには、周囲の人間の意見が必要なのです。
残念ながら、その効用よりも弊害の方に注目されやすい「会議」ですが、本来ならば、MECEを実践・共有するための場と言えるでしょう。
いつでも、収集可能なすべての要素から判断できれば、論理的に検討するための思考過程にブレがなくなるのです。
たとえば、競合他社との合併を模索している場合。
決定権者は非常に難しい決断を迫られることになります。
もちろん正解はありません。
そこで判断材料として収集される対象企業のデータには、次のようなものが考えられます。
<対象企業の基本データ>
業績、実績、評判、設立年数、取り扱い商品、ファイナンス、人材、ビッグデータ、蓄積されたノウハウ(暗黙知)、代表や取締役の経歴、過去の合併の有無、強み・弱み、販売網、パートナー、ソリューション、個別の価値、顧客、収益源 etc……
これらの要素を収集し、複合的に判断するのであれば、最終的に誰が意思決定を行っても、得られる結果に大きな違いはないでしょう。
論理とはものごとの筋道なのですから、個人個人で大きく異なることはないのです。
それだけに説得力がありますよね。
反面、客観的なデータを集めずに「相手企業の雰囲気が嫌い」「代表が個人的に好きじゃない」「ノリ気がしないから」などの理由で判断すれば、周囲を納得させることができないばかりか、それぞれの決断ごとにバラつきが出てしまいます。
敏腕社長が一大で築き上げた企業が、その息子の手に渡った途端にもろくも崩れ去ってしまう。
そういった事例が後を絶たないのは、判断までの過程が共有されていない、つまりはMECEを実践できていないという理由が隠されているのです。
もっとも、そもそもMECEという思考法は、実践的な技術というよりは「心的な姿勢」に近いものです。
検討するべき課題が発生するたびに「モレなくダブりなく情報収集しなければ!」と身構えてしまえば、時間も労力も大きくなってしまいます。
そこで一般的には、MECEを実践するためのツールとして「フレームワーク」が活用されています。
なかでも、各種コンサルティングファームや著名な学者が考案したフレームワークは、時代の流れに左右されずに利用され続けています。
ご存知の方も多いと思いますが、代表的なものとしては「3C分析」「SWOT分析」「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)」「ファイブフォース分析」「バリューチェーン」「バランススコアカード」などがありますね。
どれも有名なフレームワークです。
また、「メリットとデメリット」や「大・中・小」、あるいは「過去・現在・未来」など、世間一般で使われている判断基準も立派なフレームワークと言えるでしょう。
意識していないだけで、MECEの萌芽は、私たちの身近にもたくさんあるのです。
フレームワークを活用することは、MECEにのっとった情報収集をするための手順を簡略化し、より論理的な結論を導き出すための手助けとなります。
そのおかげで、各個人がいちからMECEを行う必要もなく、結果に対するブレも縮小されるのです。
つまり、MECEの思考法を実践するためのもっとも効率的なツールがフレームワークなのです。
その種類は数多くありますが、まずは既存のものを活用しつつ、自分なりのオリジナルなフレームワークを構築することを目標としましょう。
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